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「この……少女は?」

 案内人に聞くと、2か月ほど前に仕入れた世にも珍しい白狼人族の少女らしい。

 人間が狼の様に変身する訳ではなく、狼に憑依し群れを統率し、狩った獲物の生命力を吸収して何100年も生きる種族らしい。

 彼女が率いてた群れは元々小規模だったが、とあるエルフに襲い掛かった時返り討ちに遭い、群れの精鋭をやられ敗走してる時運悪く?狼の素材を集めていた冒険者達によって彼女以外全滅したらしい。

 その冒険者達も白狼人族をよく知らず、珍しい白い狼を生け捕りにしようとした時少女の声で喋りだした事に混乱し、とりあえず狩猟ギルドを通してこの奴隷市に売ったらしい。

 

 ……2か月前ね……十中八九あの時の白い狼の事だろうな。思えばこの性奴隷の部屋に上手く誘導されていた気がする。エルフは珍しいというし入場した時からアタリを付けられていたのだろう。酒場の客も仕込みかもしれん。


 とりあえず彼女と話をしたいと案内人に告げ、面会室に通される。奴隷は従属の魔法により抵抗は出来ないらしい。

 「……おい、俺の事を覚えているか?」

 彼女は虚ろな目をして下を向いていたが、俺を見ると

 「!?……お、おぬしはっ!」

 「やはりあの時のロリ……白い狼か……人の形にも化けれるんだな」

 白く腰まである髪、赤い瞳、見た目的に小○生にしか見えない体型、無論あの時出会った白い狼とは全然違うが、状況証拠からこの少女がそうと確信していた。

 「……凄腕のエルフの癖に白狼人族を知らんのか?ワシらは化けているのではなく人間と狼の2つの身体を持ち、接触すれば自在に入れ替わる事が出来る。実体はおぬしらの言葉でいうゴーストの様なものじゃ」

 ……曰く、狼の体で他の狼を率いて狩りを行い、人間の体で道具の作成・薬の調合など狼では出来ない事をする。成程上手く出来ているもんだ。

 身体が劣化すると別の弱った人間・狼に憑依し直して何100年も生きれるらしい。

 「それでそんな見るからに力のなさそうな少女の姿なのか。もっと力の強い人間に憑依すればよかったんじゃないか?」

 「この身体の主は1年ほど前に他のモンスターに襲われていて、見つけた時には両親は殺され彼女自体も生死の境を彷徨っていた。まだ年端も行かぬ少女を哀れに思い憑依したのじゃ。ワシが憑依する事で徐々に回復するからな」

 「2つの身体があるのなら、あの時狼の首を差し出そうとしたな?人間の身体が残ってるから安心だった訳か」

 「そんな都合の良い事はない。片方に憑依している時にある程度もう片方を動かす事は出来るが、本体が入ってる方がやられたらそれで終わりだ。あの時差し出そうとした首は偽りなくワシの首じゃ」


 ……その後いくつかの面談の後、奴隷市の支配人と交渉に入る。

 彼女は掴まった後従属の魔法で強制しない限り食事もとらず、まるで死にたがっているような状態らしい。

 モンスターとはいえ見た目少女(先ほどの話からすると実際身体は少女らしい)な者を無下に扱うのも躊躇われ、彼女がまるで歯が立たなかったファンタ村に住むエルフ、つまり俺がこの街に来ているのを聞きつけ、やはり暗にこの奴隷市に来るよう誘導したそうだ。

 

 ずるいな、そういう話を聞いたら断れないじゃないかorz


 無論俺の腕とかも、まだライセンス未収得な点等も把握されていた。

 代金も今までかかった実費や彼女を捕獲した冒険者への報酬分だけで構わないらしい。

 とりあえず連れに相談する、という事で保留し、一度宿に戻った。

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