第39話 擬態事件

海斗「魂界の者と関わって感じたことがある。不思議に思っていたんだ。奴らが今ま

   で目立たなかった、いや目立とうとしなかったのに米国の大統領選を機に表に

   出てきたのか」

ゲル「それは俺にもわかるぜ。海斗と通じて分かってきたんだ」

海斗「頼もしいな」

ゲル「魂界の者が一番嫌がる独裁者の出現だろ。大統領選ではその独裁者が個別の利

   益の中に生まれ特定できなかった、烏合の衆って奴だ。騙す奴でなく騙されな

   い奴を強化することで次回の大統領選に挑もうとしている。ところが露西亜や

   中酷は特定できるから奴らの動きは活発化したんだろ。もう一つの厄介な国は

   ローマ法王が匙を投げたように魂と肉体を焼き尽くし、生まれ変わるしかない

   者には破滅をもって、隷属化され鍛えなおさらなければ目を覚まさせることは

   出来ないからな」

海斗「それでも無理だ。幼年期の洗脳はそんなに簡単には消えない。孤立化させ、自

   分が世界で最も底辺だと感じさせなければ、深層心理に巣食う集り屋根性はな

   くせないだろうな」


 海斗とゲルの話にギルが割り込んできた。


ギル「海斗が言っていることは着実に行われている。経済が破綻しているのに高級物

   件、仮想通貨、投資に躍起になっている。ギャンブル依存症ではなく、解決策

   を考えられないんだ。それに加えてた怠惰。近道ばかりに目が行き、考察でな

   く略奪でしか何もかもが得られない。もう、終わっている。関わる者にとって

   迷惑でしかない。国家予算の何倍かの借金。中酷も同じだ。ただ中酷は指導者

   が変われば復興があるかもしれないが缶酷は指導者も国民もイカレテイル。

   気づくまで追い込むしかない」

海斗「しかし、可笑しな輩の排除に動いていた魂界の者が困惑してる状態が起きてる

   みたいだ」

ギル「気づいていたか。私がここに来たのも不穏な動きが拡大しそうだからだ」

ゲル「何だよ、また俺だけが仲間外れじゃないか」

ギル「可笑しく思わないか。腐った物言わぬ日本が変わろうとした時期にその指導者

   が亡くなった」

ゲル「宗教がらみのやつか」

ギル「表面上ではな」

ゲル「裏があるのか」

海斗「可笑しく思わないか。宗教団体への憎悪。本来なら潜入して主催者を葬ればい

   い簡単ではないが難しい訳でもない。憎む度合いに比べて諦めが早い。そこで

   狙ったのが幹部でもないただの社交辞令で容認しただけの者を狙った。坊主難

   けりゃ袈裟まで憎いにも程がある。犯行者の憎悪に疑問が残る」

ゲル「含みある言い方をやめてくれないか」

ギル「じゃ、これを観ろ」


 ギルがゲルの前に映像を映し出した。







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