第38話 ハエ男になるか

 海斗とゲルは次のターゲットの元へと向かった。


ゲル「なぁ、海斗。魂界の奴ら、米国に中酷にと忙しいな」

海斗「まさか、日本人の魂界だけで動いていると思っているのか」

ゲル「違うのか」

海斗「奴らと接触しているうちに分かったんだが、日本から派遣されているのも確か

   だが現地の魂界の者と協力しているんだ」

ゲル「幾ら魂界の者でも言語の壁はあるだろう」

海斗「それがないんだ。上手く言えないが思考・感情が音階のように聞こえてき脳内

   で変換される、みたいな感じかな。私が体験した感じだと」

ゲル「だよな。日本人以外にも魂はあるからな。うん、待てよ。魂界の者は転生しな

   いって言ってたな。死んだ人間が皆、転生すれば魂界の者はいなくなるんじゃ

   ないか」

海斗「人間は大罪を犯さなければ、転生の是非を問われる。転生を拒否した者が修行

   して魂界の者となる。なれない者は永遠に修行ってことだ。ある地域で大量に

   人口が増えるのは落ちこぼれた修行生が断念し、人間に転生する。その際、劣

   る国が罰として与えられる。言い換えれば、転生してその国を変えろってこと

   だ。その国の事情に流され罪を犯せば大罪だ。人間・その他の動物でなく、昆

   虫などになる。この虫螻が、と言うだろ、あれがそうだ。虫になると何十回も

   転生を繰り返し、動物への転生の機会が与えられるが、どのようにかは定かで

   ない。虫は動物に食われるか野垂れ死にする。悪事を働けば、常に命を狙われ

   を狙われる運命が待っているってことだ」

ゲル「悪事を働けば地獄に落ちろってそういうことなのか」

海斗「仏教では地獄というがそこで暮らす元人間分、人口は減るはずだろ。それが増

   えている。矛盾しているだろ」

ゲル「確かに」

海斗「地獄とは昆虫の生き様だったり、微生物であったり、短命か苦悩の循環を意味

   しているんだ。最もそんなことを考える知能がないから苦しむことはないんだ

   が。感情を持てるか否かが生物への転生に繋がる。冥府魔道とか闇というのは

   感情と思考を喪失する世界で生きるってことだ。思考や感情がなければどう生

   きたいかなんて考えられないだろ。だからいつ迄経っても動物にはなれない。

   これが無限地獄ってことだ」

ゲル「人口が急に増えたり減ったりするのは」

海斗「転生するのは一定期間が定められているわけではない。十三年・十七年・二十

   七年・三十三年・五十年修行した者が諦めた時期がたまたま重なって人口が増

   えるってことだ。落第者の増加は好ましくないから神界は大災害や戦争で粛清

   する。そこで集めた魂を再教育する。助かる助からないの分時点は修行で得て

   いた徳の差だ。転生は独自の音楽・絵画が世界に影響を与えている国が優先さ

   れるが成長しなければその良し悪しは分からない。だから、神々は未開地で頑

   張れと送り出す。それが問題になっている。未開地では未開の中で育つので教

   育が行き届かない。虫候補が増える。これがイナゴやカメムシの大発生だ。虫

   の中でも蜂や蟻、特に統制と自己犠牲を伴う軍隊蟻は動物への最短距離だ。私

   が知っている範囲だがね。地球にはある程度定員があるからな。インドの列車

   のような乗り方は好ましくないだろ。独裁者のいる国・地域は粛清の対象とな

   るが、都合よく天変地異に符合できない。だから戦争を起こさせ、破滅へと向

   かわせるんだ」

ゲル「独裁者が悪いんであって国民は関係ない、いや犠牲者だろ」

海斗「独裁者は一人だ。大多数の国民が見逃したとして裁かれる。無関心・無行動は

   罪だと神界は考えているようだな」

ゲル「無関心は同罪か、言えているな」

海斗「文化が育つ国は人口が減る。そこには金が関わる。神々と金は無縁。お布施や

   お賽銭は従事者に対する報酬のようなものだ。人口が減れば移民を受け入れ

   る。その移民の品質を見極めなければその国が汚される。修行未達の育成中人

   間の受け入れは注意すべきだ。入国には大学の試験のようなものが必要だろう

   な。みんなが行きたがる国とそうでない国。入国に至る努力が国力を示す。人

   気のある国が集まって国際機関を構成し、世界を導く。作られた人気は排除さ

 れる、K-popのビルボードのようにな」

ゲル「それはいいな」

海斗「教育とは学歴じゃないぜ」

ゲル「道徳だな」

海斗「ゲルも式神だったな、忘れていたよ。人名や年号、複雑な数式が生きるのに役

   に立つかと問われればNoだ。だがその過程で試行錯誤することが役に立つ」

ゲル「そうだな、考え方を多く持つのは大事だな」

海斗「日本は戦後米国を目指した。その米国人の日本への移住が増えている。教育を

   受け、実際に日本に触れた者たちが多い。ローマ法王が言われた日本が世界な

   ら争いは激減する」

ゲル「なぜだ」

海斗「宗教に縛られず上手く付き合っているからだ。一神を信仰する者は我が神が一

   番と競い合い争う。神々に順位などない。得手不得手で出来る出来ないがある

   から共存しあっている。八百万の神が実際だ」

ゲル「多様性と言いながら宗教の違いは認めない、矛盾してるよな。それよりお前宗

   教家みたいだな」

海斗「よしてくれ。魂界の者と通じていると感覚で伝わってくる。野生とペットの猫

   の違いだ。野生の猫は生きるため縄張りを守るのに必死だ。生きるは争う事。

   ペットは愛情で保護され好奇心が持てる日常が学習意欲を産みが学ぶ。声帯さ

   へ進化すれば言葉も理解して話すだろう」

ゲル「そうなれば五月蠅くなるなぁ」

海斗「あはは、猫の政治家が出てきたりしてな」

ゲル「それが共存かもな、あはははは」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る