第36話 粛清の津波

海斗「ゲルは学びと言うものを忘れたのか。魂界の者は人の心をコントロールする。

   だからこそ独裁を禁じられている。独裁的な用途に使えば、他の魂界の者が制

   御修正に入るか、その師匠格の権限で抑制・処罰される。さらに魂界の者を監

   視する雷界から容赦ない罰を受ける。雷界の処罰からは決して逃れられない。

   というか、魂界の者でそれを犯そうとするものは欠陥品であり、すべての術を

   失うことになる。欲は身を亡ぼす一方、発展させられるのは人間だけ。魂界の

   者には無縁の物。欲など必要ないからだ。思うことはバーチャルで体験でき

   る。存在が生身でない以上、支配欲のみが考え方を誤らさせるからな」

ゲル「欲があるから人間は前に進む。教養がないと暴力的なる。誤った教育もあるか

   らな。狂った者は事実を直視できない。出来ないなら奪え、邪魔をする輩。魂

   界の者のストレスは溜まる一方だな」

海斗「彼らには感情はない、基本的にな。憑依した者と同化すれば感情が芽生えるが

   常に雷界が監視し、思考が乱れるとあらゆる社会現象を利用または起こし気づ

   けの警告をそれに気づけずにいれば更なる大きな現象を起こす。ここでも気づ

   けない場合は師匠格に命じて訂正させる」

ゲル「面倒くさいなぁ」

海斗「自主性を重んじているだけさ、独立独歩が基本だ。集団は争いを招くからな。

   争いの渦中では感情が牙を剝く。集団は独裁を産む。無能な集団程、聞く耳、

   多角的思考が欠如する。欠如された事実は自己都合で埋められる。話し合いが

   成立しない、理解力が欠如するからだ。魂界の者は今、積極的に中酷に介入し

   ている。米国の中酷依存を表上は阻止出来たからな。ここ二・三年は特に砂上

   の楼閣を切り崩している。首謀者の疑心暗鬼に拍車を掛けている、粛清させる

   ことで気づけば誰も側近がいない状態に追い込んでいる。更に国民と党の亀裂

   を明確にし、不満を植え付けている」

ゲル「日本以外は俺が俺がだからな。格差に慣れているが優遇の差には敏感だ」

海斗「中酷の金力を削ぎ、メッキを剝せば損得の事実が見えてくる。それを実践して

   いる。想像力と創造力の欠如を魂界の者は嫌う。彼らは今、輩の目を覚まさせ

   るためにあらゆる分野で資産を削っている。神界は自然災害を用いて破綻に向

   かわせている。本来は地震を用いればいいが使える地震帯がない。それでも脆

   弱な技術で作られた物は異常気象で痛みつけ被害をもたらそうとされている。

   病気の蔓延、政治・構造物の腐敗を促進されている」

ゲル「確かに異常気象が多いな」

海斗「露西亜も中酷も金は自然の恵みで得ている。神界はその反省から動いている。

   日本も例外でない。母国愛を捨てた輩の排除だ。自由民党を分裂させ再編を画

   策するべく魂界の者を動かしている。その意志は伝わってきている。腐った者

   を取り除き、縮小しても粛清を推進させている。中酷に関わる一新の会も例外

   ではない。拭いきれない借金を負わせる。それを応援した府民も同罪だ。神界

   はピンポイントで動けないから被害は拡大するが選んだ者の責任として容赦が

   ない。米国大統領選を睨みつつ、粛清は進んでいるんだ」

ゲル「面白くなってきたじゃないか」

海斗「やっと気づいたか」

ゲル「うるせい」

海斗「忘れていた。欧州も動かしているんだ」

ゲル「ヨーロッパのことか」

海斗「電気自動車の推進の本音は日本の技術に追いつけないから。それを隠すように

   脱炭素と吠える。なら、排出大国の中酷と米国を攻めろ。でも、攻めない。単

   純な構図だ。自然破壊も行う。これで神界と魂界が手を結んだ。EV推進は見

   事に破綻させた。余裕があれば可笑しな差別法案も叩き潰す予定だったが手が

   回らない。人間界も魂界も人手不足だからな」

ゲル「優先順位を間違えなければいいんじゃないか」

海斗「ゲルがそれを言うか」

ゲル「うるせい。でも、実際にはどう動いているんだ」

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