第31話 海斗の役割

ゲル「魂界の奴ら、中酷の指導者とやらに己の愚かさ無知を自覚させ、それに気づい

   た者を遠ざけるように強迫観念を悪夢で植え付けているようだぜ」

海斗「それで自分が任命した側近まで疑い排除しているのか」

ギル「奴らの悪夢に感化されればもう抜けられない。疑心暗鬼が息をするようなもの

   だ。息を止めれば死を意味し、息をすれば嗅がなくてもいい匂いが脳を焼き尽

   くす。悪夢を払拭するには人の意見を聞く耳を持つことだが、疑うしかできな

   い者には打開策はない。奴らと関われば自らを変えるしかない」

海斗「退路を自ら断たせるのか…。確かに敵に回したくないな」

ゲル「よかったなぁ、仲間で。俺はつまらないけどな。暇で時間を持て余す」

ギル「時間を持て余すなら私から粛清に手助けしたい奴がいるって魂界の奴らに伝え

   てやろうか歓迎されるだろうから」

ゲル「断る。俺が暇なのは平和の証だからな」

海斗「都合のいいやつだ」

ゲル「俺はこの国のために動く。実際、安穏とした政権を揺るがす勢力を差し向けて

   いる。大勢に胡坐をかいて何もしない奴らはびくびくしてるぜ」

ギル「それは閻魔大王が動かしている魂界の奴らの成果だろう」

ゲル「そうとも言う」

海斗「調子のいいやつだ。しかし、その勢力が永遠のゼロにならないように願うばか

   りだ」

ギル「気づいたのか」

ゲル「何をだ、俺にも教えろ」

海斗「お前が動かしているんだろ、なら、分かるだろ」

ゲル「意地が悪いのは地獄への切符だぜ」

海斗「正直になれ、ゲル」

ギル「私も同意、あはははは」

ゲル「分かった分かった、だから、教えろ、いや教えてください」

海斗「絵に描いた餅は食えないってことだ」

ゲル「意地が悪いなぁ、ちゃんと教えてくれよ」

海斗「民主主義では数が物を言う。新たな勢力は期待値は高いが数は零。幽霊を怖が

   るようなものだ。注目度の高い今なら勢いで1・2議席取れるだろうが大勢を

   動かすとなれば10議席は必要だからな」

ゲル「大勢を動かすのにたったの10なのか」

海斗「100が必要だが99しかない。残りの1はただの1ではないってことだ」

ギル「与党も盤石じゃない。今組んでいる相手は適任者ではないからな。その組織が

   力を得れれば、物申す立場になれるからな」

ゲル「待て待て待て。その大勢に牙を剥いておいて手を組むのか、それこそ裏切りっ

   てやつじゃないか」

海斗「それが現実だ。宝くじが当たるように議員数が増えることはない。また時間も

   な。そこは大人の事情として理解しなければな」

ゲル「都合がいいのはそっちのほうだろう」

ギル「やり返したつもりか」

ゲル「五月蠅い。事実を言っただけだ。本音と建て前を使い始めたら本筋がぶれる

   ぜ。そうすれば信頼感を損なう。諸刃の剣だな」

海斗「まともなことを言うんだな。だから蟻が巨像を倒す姿を民衆は見たがるんだ。

   例えば、大船に乗ったが沈みそうだとなれば乗り換える者もいるだろう。実

   際、脱退せずに派閥として内乱を起こせば現実的だぜ」

ギル「経済界の中には今の経済化の重鎮に不満を持つものも少なくないからな。投

   資・支持できる政党が現れれば経済化を二分化することも可能だからな」

海斗「厄介なのはおバカなマスゴミだろうな」

ギル「報道は民間では無理だ。利害関係が邪魔をするからな」

ゲル「NHKも日本反逆協会と言われているからな。報道・議員関連には反日やろう

   がつけないようにしないとな」

ギル「閻魔大王が動いたのもその点だ」

海斗「今の放送局は農耕民族の穏やかさを逆手にとって食い荒らす狩人民族にやられ

   放題だからな。トップや報道局から排除すべきだな」

ギル「海斗の役割はそれだ。民間の思いを描くことだ。それが魂界の奴らを動かす原

   動力になる」

ゲル「おっ、役に立っているじゃないか、良かったな海斗」

海斗「お前に言われても嬉しくないわ」







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