第9話 令和の蜘蛛の糸
悪い奴も一度だけいい事をした。
お釈迦様は地獄にいたその者に糸を垂らした。
悪い奴はその糸を昇り、暫くして下を見ると
大勢の悪人が昇って来た。このままでは糸が切れる。
悪い奴は「これは俺の者だ、降りろと叫んだ」
その瞬間、糸が切れた。ー「蜘蛛の糸」より。
性根が腐っているとはよく言ったものだ。
偶々、いい事をしたが、それは偶々、真意ではない。
十八番が知れる。メッキが剥がれる。
盗人の技術屋は開発工程を知らず、
トラブルにあえばあじゃぱ~。
ウキウキウォッチングでボロをだす。
見えない糸が愚かな者を糸口に明るみにだす。
軽薄短小、浅はかさ。
悪の池の水を抜いてみました。
そこに現れるのは…、楽しみ楽しみ。
立憲強酸党の大東博之が掴まされた怪文書。魂界で蠢く者の会話が聞こえてきた。四方山話の域を超えてないが確信を得ていた。魂界の者は総務省の中で議員の放送法に関する関与に胸糞悪い感情を抱いている者を見つけ出し、その愚痴を書きなぐった文書をあたかも公式文書のように見せかけ、立憲強酸党の大東博之に渡した。禄に仕事のできない大東をよく知る者からすれば、上辺の旨味に騙され、スポンジケーキの不味さなどには気づかないと確信していた。偽文書で国会を騒がせ憂さを晴らすだけの思いは思わぬ犯人探しに発展。総務省は偽を認めれば崩壊を招きかねない。そのために犯人を必死で守る。
当初は「ああ、そうだったんだ」で終えようとしたが大東の執拗な絡みつきに総務省が自らの火の粉と感じざるを得なくなり、自己保身を発令。沈静化には大東議員を排除することだった。総務省に梯子を外された大東は自らのミスも分からず吠えまくる。その威勢のいい鳴き声に可笑しな輩が旨味を感じ引き寄せられる。これが魂界が言っていた「炙り出し」だった。
仁 「そなたらは人の気持ちを弄ぶのが趣味なのか」
龍厳「弄ぶ?操るのが本筋。疑似餌で釣り上げるのは面白いもの
です。今日の味方は明日の敵。この図式が一番」
仁 「恐ろしきかな」
龍厳「温情など要らぬ。馬鹿は痛みも感じぬわ、気になさるな」
仁 「情、か。画策に邪魔なものだな」
龍厳「我らは悪への温情など持ち合わせぬ。立ち上がれない程叩
くのが重要かと」
仁 「口調が変わったな」
龍厳「波に乗り始めた故、関わった江戸当初の気分になったでけ
気になさるな」
仁 「確か、天海に憑依した頃か」
龍厳「昔の事です。米国の動きに参画し闘う魂に触発されたので
すかな」
仁 「本気になった証か」
龍厳「私はいつも本気ですよ」
仁 「その本気度は如何なる方向に行くのか」
龍厳「臭いものは元から絶つのが一番。スパイ防止法ですよ。ま
ともな法が成り立たぬはそれを嫌がる者を排除するのが一
番。自由の基本に掛けている資格を設けるまでよ。自国を
一番に考えぬ者にこの国を任せられぬわ」
仁 「御尤も」
龍厳「自由は規則の上に成り立つ。赤信号は止まる。それを守り
たくない自由などは認められぬわ」
仁 「何かをしたければ偉く成れ、と誰かが言っていたな。組織
は自らに甘く、自己保身に必死になる。そこを突いたか」
龍厳「損得勘定を突いた迄。これは藪の蛇を追い出す第一歩よ」
仁 「それは」
龍厳「有名になった無能な大東議員を使ってその背後に鎮座する
反日議員を炙り出す。餌である資金の糸を辿ってな」
仁 「今回の騒ぎで完結ではないということだな」
龍厳「魂界は池の水面に石を投げ込む。その波紋が各所に広がり
岸にぶつかり戻り混濁し静ませるのが常套手段」
仁 「広がらせ図に乗らせ舞い上がれせ、油断からでた矛盾を突
かれ、その弁解で墓穴を掘らせる、か」
龍厳「結束と秩序は魂で固持できる。餌は愚かな者を結束させ
る。そのような結束は崩壊させる」
仁 「我らは炙り出された者に神仏の教えを刷り込ませば良いの
だな」
龍厳「悪夢という形でね」
仁 「分かった」
龍厳「安倍川が亡くなった今、第二の安倍川を作らなければなら
ない。力量不足は否めないがそこは結束よ。高倉も天下を
目指すためにも岸部に就かせる」
仁 「秀吉の傘下に入り天下を目指した家康か」
龍厳「そうとも言えますかな」
仁 「岸部は変わるのか」
龍厳「変えるのです。早矢仕外務大臣の失態の尻拭きを岸部に撮
らせる。そのためにお願いがあります」
仁 「時空の管理か」
龍厳「お察しがいい。岸部の印度訪問に合わせて中露の蜜月を世
界に知らしめたい。それが成し遂げられれば岸部にウクラ
イナに訪問させる。電撃に」
仁 「電撃?大将を極秘に移動させるのか」
龍厳「吊り橋効果ですよ。極秘に動くことで自らの命の危険性を
実感させる。そして、その危険を軽視すればどうなるかを
見せつける」
仁 「対岸の火事を払拭させるのか。危機感とウクライナの虐殺
の現場を銃に囲まれ体験させ、目を覚まさせるか」
龍厳「はい。目を覚まさせるには体験させるのが一番。家康も命
のやり取りを行い天下を取った。幸村は手に入れられなか
ったが伊達政宗を手に入れた。奴は天下を目指していた。
それを知りつつ泳がせて操った。今の岸部に必要なのは狡
賢さだ。我らはそれを奴に与えた」
岸部総理は焦りを覚えていた。G7の議長国でありながら国際社会に対中への希薄さが疑われる中、毅然とした意思表示を要求されていた。早矢仕外務大臣の失態に乗じて前総理の安倍川の意志を継ぐインド太平洋構想の推進をさせ、国際社会に楔を打ち込むようにウクライナに電撃訪問して見せた。その意志表示はG7の国々に安堵感を与えた。岸部総理はウクライナのブチャを訪れ戦争被害を実感した。幸村に追い詰められ逃げた家康と同様に警備は異例の無防備状態で。おだてりゃ豚も気に上るではないが岸部の男気を見せた形になった。中酷の駐日大使の帰還挨拶を拒否してみせた。
親中議員は黙っていなかった。「話し合いの腰を折る行為」と批判した。中酷大使を笑顔で見送る立憲強酸党、親中議員。自由民党の中にも笑顔で見送る者もいた。甲野大臣の父が主催するレセプションに参加した議員だ。甲野父・傭兵、早矢仕外務大臣・福多元首相、重鎮の三階議員だ。
魂界は無能な立憲強酸党の大東博之を糸口に彼らへと辿り着こうとしていた。不正な金の流れを通して。
甲野大臣の父が主催するレセプションに参加した議員のツイートをリツイートしていたのは党の敵でもある立憲強酸党の大東博之だった。親中議員の甲野家と繋がりを暴露した。本人は気づけていない。そこが上手の手から水が漏るになることになるのか。
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