第2話 「糞害」とは、論理の通じない者たち

 役人天国、バレれば地獄

 自分の金じゃないから、垂れ流し

 歳出三昧、必要不可欠の不可欠はどこへやら

 それでも必要、必要のその裏で

 金のなる木は渡さない

 補助金、利権、既得権益

 甘い汁ほど手放せない


 義は、仁に今の人間界の腐敗を嘆いていた。


仁「義よ、何故、人間界に首を突っ込む」

義「乱れ方が尋常ではなくなったからだ」

仁「確かに、裁きの上で理屈に合わないことが多いな」

義「ネットで情報を得る手立ては多様化したのは喜ばしい事だ。

  便利さは結論を急がせる。結論ありきで過程を重んじない」

仁「電気自動車の問題然りか」

義「そうだ。在り余った電気の使い道として電気自動車を推進す

  るなら理解もしよう。電気スタンドも設けず車を増やして如

  何にする。産声を上げた産業に未来を託す準備もなく、な」

仁「そもそもは温暖化対策だったな。それをいうなら太陽パネル

  や電気自動車を作るために大気を汚染させている。CO2を抑

  えたければその排出先を停めればいいだけではないか」

義「中酷はCO2を垂れ流している。青空を覆いつくす排煙でな。

  美しい地球の中で防塵眼鏡・マスクなしでは生きられない現

  状を問題視もせずにな」

仁「太陽光パネルの未来は、有害物質による土壌汚染だ。植物・

  鳥類・昆虫・微生物が犯され、食料危機を招く諸悪の根源

  だ、それを人間は促進させているな」

義「大量生産・大量廃棄の時代は終わったと嘯きながら、電気自

  動車も太陽パネルも廃棄方法を得られないまま推し進めれば

  待ち受ける未来がどのようなものか容易に想像がつくはず」

仁「つかない、と言う事か。今の人間はそんなにも愚かなのか」

義「裁くだけでは違和感で終えるが現場を知れば…」

仁「大王が現場を観たいと設けられた冥土喫茶か」

義「訪れる者を裁く上で昔にはない愚かさが目に余った」

仁「原因は何だ?」

義「読解力の低下ではなく、欠如だ」

仁「論理的思考で解を導き出せなくなっているのか…」

義「それが現実だ。本が読めなくなっている」

仁「それは説法が通じぬと言う事か、根本が揺らいでるな」

義「ネットの世界は本を読む文化を人間から奪っているとは思い

  たくないがその足音は日毎に大きくなっているのは確かだ」

仁「読書とネットか…。確かに行間を疎かにしているな。それと

  文脈が読めないか…」

義「安易な結論に満足し、その過程やその後の問題を見逃し、や

  がて考えられなくなる。考えなくなれば今の考えが正しいと

  思い込む。それが恐ろしい結論でも気づけなくなる」

仁「裁くことは罪と向き合わせると共に立ち直らせるきっかけと

  なる機会を与えるものだぞ」

義「それが性善説だ。それが崩壊している」

仁「根が腐り切っていると言う事か…まさか」

義「論理的思考ができない。明らかに可笑しいことに気づけな

  い。自分の発言の矛盾が分からない。だが、理解できる自分

  たちに不都合なまたは攻撃できる文言には敏感になり、矢継

  ぎ早にそこを攻めてくる愚かさ」

仁「魂界で言う80%理論だな」

義「80%とは具体的でなく大半が思う事を意味する。皆が思う事

  を拾い上げれば切りがない。許容範囲というものが理解でき

  ないのだ」

仁「今時で言えばゼロリスクだな。ゼロなどない。限りなくゼロ

  に近づけると言う意味が理解できないと言う事か」

義「Witterは140文字程度の短文だ。広告文に類する。刺激的な

  言葉で興味を引く。行間・文脈が読めなくなる。生死の問題

  と言えば、必ず生き、必ず死ぬではない。…こともあるとい

  うことが理解できない。マスゴミや政治家に多い。刺激的な

  言葉を散りばめ大袈裟に表現し、注目を浴びる。その過程や

  末路を想像しない、出来ない」

仁「犯罪者には坊主憎けりゃ袈裟まで憎いを短絡的に用いる者も

  いますな」

義「個人的恨みがいつしか社会への恨みに。それが大量無差別な

  事件に繋がる、いや、繋げてしまう、恐ろしい限りだ」

仁「個人の歪みが社会に向く。歪んだ者たちは、歪んだ者同志を 

  裏切れない。誤りに気付いてもそこから抜け出せない、か」

義「心身ともに生まれ変わるしか、改心できない、それが今の人

  間界の可笑しな輩たちだ」 

仁「更生を目指した裁きに意味がなくなったと言う事か」

義「否定はしない。他に方法が見出せない現状ではな」

仁「可笑しな輩は真実が観たいわけではない。仲間と攻撃対象を

  見出し、叩きのめすことが快感になり、それを正義と思い込

  んでいるのか」

義「私も大王もそうにしか見えない」

仁「私が呼ばれたのは糞を取り除くためか」

義「取り除くか…。分かってくれたようだな」

仁「警死庁長官は義だな。私は死霊課課長、粛清係は魂界の者た

  ちに任せる、か」

義「看板は挙げたが具体的な動きは何も決まっていない」

仁「急ぐ案件ですがじっくり行きましょう」

義「急我は回れ、では焦りを覚えるが雷界の動きも気になる」

仁「もう、知られていますよ、大王の動きは」

義「そう思うか、しかし、未だに動きはない」

仁「これは噂話ですが、雷界にも人間界の歪みを危惧されている

  方がいるとか」

義「そうなのか、それは心強いが安心はできないな」

仁「そうですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る