♪36
桜花との日々を思い出していたときに思い出したことがある。
「たしか、ここら辺に、あったはず…おっ!あったあった!」
それは桜花が幼い頃に書いた歌詞。まだひらがなもぐちゃぐちゃで、『く』とか『ん』が逆になってる頃のものだ。
「懐かしいなぁ〜」
おそらく、桜花も覚えていないだろう。こんな紙切れ1枚のことなんて。
「この歌詞渡された時、何かが分からんくて『すご』しか言ってなかった気がする。」
改めて思えば、この頃から桜花は音楽に興味があったのかもしれない。いつも、俺が「これ聴いて」って言われる側で、だんだん同じようなジャンルが好きになっていったっけ。それで、部屋で音楽かけ始めたら、「これ好き」って。あの時の目は綺麗だった。
「桜花には悪いけど、今日はこの歌詞をアレンジしてみますか。」
そう言って作詞ノートを開く。何曲書いたか分からないけど、『NO.』の横に『35』って書かれてるから、ここ1ヶ月でそれだけ書いたことになる。
「飽きっぽい俺がこんなに続くなんて、奇跡だな。」
こんな趣味を教えてくれたのも、桜花のお陰だ。
『君の声に僕の声が混ざり合うとき
幼かった頃の日々が重なっていった
目を瞑りそうになるくらいに
眩しいメロディが
僕の心を貫いた
It's a critical hit.
危ない遊びはおままごと
夜まで騒いで
待ちに待ったお泊まり会
事件は起きないや
期待して眠ったあの日の夜は
脳内メモリがはち切れそうでも色褪せない
君の青に僕の春が混ざり合うとき
理想だった毎日が始まる気がした
「ずっと一緒」って不確定な仮定を集めて
誓い合った「孤独な溝、埋め合おう」ってね
隠し通せやしないほどに
溢れた感情が
僕の心を満たしてった
It's a critical hit.
危ない遊びは禁止だと
ママに言われたけど
僕らはそんなの知らんしさ
勝手に飛び出した
期待して眠ったあの日の夜は
脳内メモリがはち切れそうでも色褪せない
君の影と僕の影が並んで歩けば
通り過ぎた足跡は光って見えるの?
言葉なんて薄っぺらい誓いはいらない
紙とペンで紡ぎ合おう 僕らのカタチを
君の青が僕の影に隠れてしまえば
きっと君は出ていこうとしてくれないから
過去も未来も今でさえも見つめて気づけば
(消しゴムで消した跡)
君の青に僕の春が混ざり合うとき
夢の中で思い描いた日々がやってきて
傷つけあって笑いあって そんな日々だから
他の何にも縛られない 僕らのカタチは
君とのリズムで 描けるはずだよ』
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