第5話 お宅訪問

事務所と同期さん達に手紙を出した日のお昼と少したったくらいの時間ですかね

ピーンポーンとあまり聞き馴染みのないインターホンがなりました。

友達がいないから聞き慣れていないとか思わなでください!言い返せませんから。

「お手紙を拝見して来たものです。玲子さんのお宅であっていますか?」

確認してみれば女性が4人いました。

スーツを着た黒髪20代後半の女性と深緑のカーディガンを纏っている20代前半くらいの女性、黄色いパーカーの10代後半の女の子、背の低い海外の顔立ちの10代前半の女の子。

私の予測が正しければ行動が早いですね、というか先頭にいる方が見覚えあるのできっと当たっていますね。

「今開けますねー」

初のインターホン越しの言葉がけです!なんだかハイテクを感じます!

返事を待つことなくマンションのセキュリティを通します

ワクワクしますね!普段幽霊さん達は壁をすり抜けて入ってくるので出迎えをしていないのです。いつの間にかリビングにいて気がついたらどこかに行ってたりするので。

ここに一緒に住んでるのは魔女さんと春実さん、それから小さな子供達が夜間に睡眠のために帰ってくるくらいですね。

子供たちは否定してるんですけど夜間は寂しいそうで一緒に寝て欲しいと伝わってきます

たまに長居する方もいるのですが基本的には御二方と子供達くらいですね。

現在魔女さんはお茶の用意をしてくれています。何も言ってないのに人数分用意してくれるなんて流石です。ですがそのキラキラした小瓶はなんでしょう?4つありますが、え?気にするなって?

春実さんは・・・引きこもってますね。多分気がついてもいないと思います。

そんなことを考えていたら扉の前に着いたのでしょうノックされたので扉を開けます!

お出迎えというやつです!

「いらっしゃいませ。どうぞ中へ!」

出来ました!挨拶がきちんと行えたことに感動です!

4人は「おじゃまします」と入ってきてくれます。

スーツの方はビクビクと震えながら、カーディガンの女性はスーツの方を少し心配しながら、黄色のパーカーの子は頭に猫を乗せながら(しかも幽霊の猫さんです!)、背の低い女の子は目をキラキラさせています

玄関を通してリビングに連れていきましょう

大きなソファに腰掛けてもらい私も腰かけます。

魔女さんが腰掛けたタイミングでお茶を持ってきてくれました、ナイスタイミングです。

普通の方の視点ではきっと宙を浮くおぼんからティーカップがソーサラーと共に机へと移されるのを見た事でしょう

スーツの方の顔が青くなっているのが見えますね。大丈夫でしょうか?

「初めまして、1期生の玲子です。連絡がつかなくてすみません。出来れば仲良くして欲しいです!」

挨拶は大切です。忘れると魔女さんのお説教があるので忘れずに!

「あ、こ、こんにちは。1期生のマネージャーをやってる舞音です。よ、よろしくお願いします」

カタカタと震えチラチラと周囲を見渡す挙動不審の方がマネージャーさんですね

「初めまして。宇佐です、急に押しかけてごめんなさいね。これからよろしくね」

20代前半の女性が宇佐さんですね。落ち着いてて綺麗なお姉さんって感じです

「はい!はいはーい!次にゃあ!にゃあはネコ!本名も音子!よろしく!」

10代後半の女の子は元気なネコさんです。魔女さんのお茶を運ぶ姿に目をキラキラさせてますね。

どうやらVTuberとしての名前が本名の方は私だけではなかったみたいですね

「チサです!面接の時に一目惚れしました、パートナーシップを前提にお付き合いしてください!」

最後は10代前半の女の子チサさん。面接の日に廊下ですれ違ったくらいしか面識が無いのですがいったい・・・

「えっと、ごめんなさい。お友達からよろしくお願いします」

私はまだチサさんのこと何も知りませんからこの返しは当然のことですよね?

「はい!絶対に墜してみせます!」

いったいどこに落とされてしまうのでしょうか?崖の下に落とされるのは体験したくありませんね、ホラーとかミステリー小説書く時に取材しに行った時に幽霊さんに聞いたら随分と地面は硬いそうです。痛いのは嫌です

挨拶が終わって一息入れましょう

魔女さんの入れてくれた紅茶は格別です。魔女さんの入れてくれた紅茶しか飲んだこと無いのですがね

「わっ、美味しい」

マネージャーさんがやっと落ち着きましたね

そういえば先程の小瓶は出されていませんでしたがどうなったのでしょうか?

「ほんと、美味しいわ。普段紅茶は、飲まないのだけどこれならいつでも飲みたいわね」

宇佐さんにも好評のようです

魔女さんの入れた紅茶は心も体もポカポカになるんです。

「にゃあはおかわり所望する!」

カップを掲げ可愛らしいポーズを取ってますね自然体でこのポーズこれが萌えですか

「香りも色もキラキラ?していて楽しめますね」

色?私のは普通ですね

キラキラなんてしていないはずなのですが

もしや魔女さんがなにか入れたのですか?

「え!?さっきまでそこにいなかった老齢の女性が」

マネージャーさんが魔女さんの方を向きながら驚いていますね

「私にもはっきりと見えます!絵本とかに出てきそうな魔女のような女性です!」

おぉ、今では魔女=少女の時代と言っても過言では無いのに絵本の魔女さんを思い浮かべるだなんて宇佐さんやりますね

ネコさんはソファーから勢いよく立ち上がり魔女さんの周りを回ってます、時々匂いを嗅いでは「ふにゃ」っと顔を柔らかくしてますね

チサさんの方を見れば、これは呆然としているというのでしょうか思考が停止してますね

『おや、薬の周りが早かったようだねぇ。こんにちはお嬢さん方』

魔女さんが人間の言語で威圧の少ないように話してくれます。普段の会話ではあちらの言語なのに優しさが飽和してしまいますよ

というかやはり魔女さんがなにか仕込んだのですね、普通の方は心霊の類は見えないし干渉できないって習いましたよ!貴女に!

「あ、はい、はじめましてVTuberグループ「八百万」の舞音です。マネージャーをしてます」

マネージャーさんが名刺を渡してます。どうやらおぼんを持っていた魔女さんを私の身内として認識したのでしょう正解です。お見事

『これはご丁寧にどうも、自己紹介はなくてもいいよ。さっきのも聞いていたからね。早速本題だこの子が連絡が取れなかったのは知ってるな?どうやらこっち側の存在がちょっかいをかけてきたらしくての上手く連絡が取れなんだらしいんだ。この子は少し魅入られただけで悪い子じゃない仲良くしてやってくれないか?』

魔女さんはネコさんの頭に乗っている猫(幽霊)さんをなでなでしながらそう語りました

魔女さん優しすぎます、惚れてしまいますよ

魔女さんは私の親のような存在なので私はマザコンなのでしょうか?

猫さんが頭の少し上を撫でられているのに気が付き頭上に手を伸ばしてます、可愛い。おっ触れたようです。徐々にネコさんの表情がニマニマしていくのが分かりますね頭上の猫さんを抱えなでなでし始めました。猫さんが好きなのですね



ーーー蟆代@譎る俣縺溘▽ーーー



魔女さんが出した紅茶に幽霊が数時間だけ見えるようになるお薬が入っていたみたいです。

その効力によって魔女さんが見えるらしいです。

猫(幽霊)さんを最初感じ取れなかったのは単純に魔女さんの霊圧が強すぎたせいらしいです。霊圧ってなんなのでしょうね?

それと、声は届けようと思ったら通常時でも聞き取れるらしいのですが、魔女さん達いわゆるココの常連さん達なら問題ないけどほかの方達はあまり人間の言語を上手く扱えないみたいで聞き取れないようです。

現在は魔女さんとマネージャーさんがお話をしており、宇佐さんはどうやら私の小説のファンだったらしくサインしてあげたら喜びのあまり意識が飛んでいってしまいました。ネコさんはトイレに行ったっきり戻ってきませんね。チサさんは私のお膝に座って私と談笑してます

「チサさんは本は読まれますか?」

「はい!学校にお友達が少なくて休み時間は本を読んで時間を潰してます!」

「私も、学生時代はお友達が少なくて(居なくて)本ばかり読んでいましたね」

「そうなんですか!?玲子さん美人さんだから同級生の方達はみんなしり込みしてしまったんですねきっと」

「いえいえ、私に愛想が無かったばかりに皆さん話しかけなかったんですよ」

「私が同じ学年だったら嫌われないくらいに話しかけにくのに」

「学校という括りではありませんが事務所という枠組みに一緒に入っているのです、嫌われないくらいに話しかけてみてくれてもいいんですよ。もちろん、私はよっぽどの事がない限り嫌いになんてなりませんけど」

「はい!たくさん話しかけに行きます!たくさんコラボしましょう!」

「はい、よろしくお願いします」

私の方を見て満面の笑みを掲げるチサさんは可愛らしいですね

チサさんと談笑に花を咲かせていれば廊下から足音がします、走ってるのですかね?走る距離なんてありませんけど

勢いよくドアが開けられネコさんが帰ってきました。その手には腕を掴まれた春実さんが驚きの顔をしてます

「見て見て!にゃあ見つけた!」

獲物を捕まえて見せてくれる猫さんのようですね

可愛らしいので頭を撫でておきましょう、おや?チサさんがお膝から降りてくれません。この頭を撫でたい衝動をどしたら良いでしょうか?仕方ありませんチサさんの頭を撫でて衝動を抑えましょう

「(ウリウリウリウリ)」

こちらから表情が見えないのが残念ですね

この空間にも慣れてくれたのか肩の緊張もほぐれてますね

『玲子助けて〜、陽キャ怖い!いやこれ天然?わかんないけどとにかく助けて〜!ぼっちに大人数の空間は体に悪いの〜!死んじゃう〜!』

春実さんが何か言っていますが頭を撫でるのに忙しいので助けることはできませんね

「(ウリウリウリウリ)」

いい匂いですね、お日様の匂いでしょうか

チサさんは可愛くてお日様の匂いのする女の子です!

「玲子、にゃあこの人友達なりたい」

ネコさんは春実さんが気に入ったみたいですね

トイレに行っている時間が長いと思いましたが春実さんを観察でもしてたのでしょうか?

「春実さん、ネコさんが友達になりたいと言っていますよ」

言葉は通じているはずなんですけどね

春実さんは首を横に振って拒絶してますね

『無理無理無理無理、私トイレに引きこもってる陰キャだし。友達とか必要ないし。てか友達とか出来たことないし。そもそも友達って何するのか分からないし。友達になった時のメリットとかデメリットとか聞くけどそれもわかんないし。「あ、おはよう」って挨拶されたと思ったら後ろの人で恥ずかしくなるあれやられた日にはしんじゃうし。そもそも私幽霊だから人間に見られないし、でもでも友達ってなんだかいい響きだなとは思ったりも・・・するかもしれない。けどけど・・・』

どうやら初めてのことで感情が追いついていないみたいですね

ここは春実さんの同居人として背中を押してあげましょう

「ネコさん春実さんが友達になって欲しいそうです。後で連絡先を交換してもらうといいですよ」

ネコさんはとっても嬉しそうな顔して「うん!」と頷きをくれます。春実さんのこと本当に気に入ったのですね



ーーー蟆代@譎る俣縺溘▽ーーー



それから1時間ほどしてから皆さん帰りました

連絡先もきちんと交換したのでこれで安心ですね

帰り際ネコさんとチサさんが帰りたくなさそうな顔をしていましたが急な訪問だったので泊まり用の用具などありませんし心を鬼にして帰ってもらいました。

お2人は「また来てもいい?」と聞いてきたので「いつでも来ていいですよ」と返答しておきました。

可愛らしい同期に恵まれました!どや!

帰る頃には薬も切れてきていたので魔女さんや春実さんの姿がぼんやりすると言っていましたね

また会える日を楽しみにしていましょう。

さ、配信の準備でもしましょうか。

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