第1話 夕張玲子

私、夕張玲子は孤児でした。

3歳になる前に親が突然発狂しだし2人とも死に世間から約1ヶ月ほど存在を認識されず過ごしやっと認識してくれたのが家賃3ヶ月分を徴収しに来た大家さんでした。

大家さんが何故かあまり腐っていない両親(死体)を目にした時は赤子よりも大きな声で悲鳴をあげていましたね。

なんやかんや調査や検査があり私は夕張孤児院に住むことになり、十数年過ごした孤児院を出て独り立ちをしたわけです。


私の人生を客観的似みたらこのような説明になりますね。

実際のところはこうです。


激安アパートのさらに激安な怪しい部屋で、それはそれは赤子というものの『あ』の字も知らない両親のもとに生まれてしまいました。

簡単に言えば『事故物件』で生まれた『育児』を甘く見た両親のもとに生まれた私です。

この『事故物件』本当に出るらしく幼い私も見てしまったのですよ、いえ。育てられてしまったのですよ!

というのも『育児』を知らない両親はお酒とギャンブルが好きなあまり素行の良くない方々だったらしく更には年があまりにも若かったそうです。

まぁ『育児』を知らず産んでしまった赤子に触れることなく「勝手に死んでくれ」状態だったそうなんですよ。

それに見兼ねた『事故物件』にお住いの幽霊さんがですね、念力、ポルターガイストを使って『育児』をしてくれたわけです。幽霊さんこそ私の親ですね!

私を育ててくれた幽霊さんはお友達の幽霊さんを呼んでさらにその友達と干渉できる私にとっては賑やかな生活を送っておりました。

私が3歳になる前くらいの時ですね「生きていようが死んでいようが構わない」といったスタンスをとっていた両親もさすがにおかしいと思ったのでしょう。見知らぬ養育グッズが増えていることに。

幽霊さん達は呆れてました「莉頑峩」一同皆そう言ってました。

私のことを1番最初に気にかけてくれた幽霊さんが気にかけてくれて

両親を発狂させて数秒後にはもがき苦しんで死んでしまいました。

両親のことはあまり気にしていなかったのですがまぁ結果的に良かったのかな。とは思ってます

その後も幽霊さん達と一緒に1ヶ月過ごし孤児院に一緒に行くことになり今も私の隣に大所帯を作ってるわけなのです。


孤児院時代の話はまた今度ということにしまして、現在私は小説家をやっておりまして。

それなりに人気になってるらしいです。

幽霊さん達から情報提供して頂き推理小説を書いて出版社に送り付けたら受賞してしまいそれが売れて当分お金に困るようなことは無くなりました。

お金があるからと都内のマンションを買い

必要なのか分からないインテリアや大きな布団、オシャレな食器、よく分からない調味料などを購入させられまして、主に幽霊さんが使用してますね



ーーー蟆代@譎る俣縺溘▽ーーー



ある日のことです。

出版社から連絡がありました、担当さんからです

「はい、もしもし」

『玲子先生、今大丈夫ですね!実は先生に配信をやってみないかという打診がありまして』

唐突に電話をかけてきて、更にはこちらが暇をしていると決めつけてくる方ですが悪い人という訳では無いのです。少し押しが強いだけの方なんです。

「配信、ですか?」

『はい!玲子先生はVTuberって知ってますか?』

VTuberと言えば最近流行っているあのイラストが喋るあれ、ですよね。

「知ってますよ」

『なら話が早い!玲子先生!VTuberやりませんか!』

VTuberってアニメとかラジオとかそういうものですよね?それって声優さんがやるものなのでは?

「すみません、私は声優さんではなく小説家ですよ」

『えぇ、存じてますよ?』

「・・・・・・。」

『・・・・・・。』

おかしいです。話が噛み合っていない感が凄いです

「すみませんが話が理解できなかったので詳しくお話頂けますか?」

『あ、はい!実はカクカクシカジカウマウマなんですよ!』

「へぇ、それで私が理解できると思っていらっしゃるのですか?」

『すみません、ふざけすぎました。』

「それで、説明は?」

『実は他所なのですがVTuberグループの募集がかかっておりまして上の人から「面白い人いたら勧誘しておいて!」と言われまして私ビビビっと来ちゃったんです!これは玲子先生を押して私の推しにするべきだと!玲子先生の執筆する作品を見ればどのような思考回路を駆使して文章を形成しているのかその一端を覗き見ることなど容易!と豪語したいのですがそれすら至らない私含め読者達です玲子先生の一欠片を知る機会と思えばVTuberという配信業も面白おかしくできるのではと思うのですよ!』

つまるところ小説家でもVTuberという配信業はできるという訳ですね

「ふむ、わかりました。文面にして詳しい情報を送ってください。検討しておきます。」

『あ、ありがとうございます!楽しみにしてますね!』




ーーー蟆代@譎る俣縺溘▽ーーー



「それでは、志望理由をお願いします」

VTuberになるための面接に来ております

もちろん保護者(幽霊さん今回は1人)が憑いてますが

『死亡理由?それって私の〜?私の死亡理由はストーカーに刺殺されたって感じだよー』

今回憑いてきたのは生前アイドルをしていた虹子さん。年齢は18歳って言ってる調べようとしたら鬼の形相で止めてくるから調べてないです

虹子さん生前はすっごく売れてたアイドルだったから厄介ファンがストーカーになっちゃってお兄さんとお出かけしてる時に刺されたらしい。

昔は寝物語として話してくれてたなぁ

「志望理由は刺殺です!」

あ、、間違えた。虹子さんにつられちゃった

「刺殺?」

「すみません間違えました、担当さんから勧められまして」

恥ずかしいです。虹子さんの方を睨んでおきましょう

「気を取り直して、続いてどのような配信をしていきたいですか?」

『そりゃぁ玲子と私がイチャイチャする配信でしょ!いつの時代も百合が1番安全にファンを喜ばせられるんだから!』

虹子さんは平成後期に死んでしまったのでナウでヤングな言葉を使ったりするんです。勉強になりました

「私、よく心霊現象って言うんですかねまぁあるんですよそれを売りにしたいなぁって思ってます」

「心霊現象ですか?」

少し疑われてますね。虹子さんに目配せをしましょう

『異性関係は絶対にダメよ!私死んでから思うよよお兄ちゃんと歩いて買い出しに行っただけで刺されちゃうのよ世の中の女の子みんな可愛んだから刺されまくっちゃてアイドル文化が廃れちゃうんじゃないかって!ねぇ!そう思うわよね!玲子!ってどうしたの?』

こちらに気がついていませんでしたね叩いておきましょう


ーーースパーンーーー


「!?」

面接官さんを驚かせてしまいましたいけませんね

謝っておきましょう。

「すみません、うちの者が余計なことを言っていたので……」

「え?え?え?」

「虹子さん、いつもやってるあれやってください」

『玲子〜あれやっていいの?魔女さんに怒られちゃわないかな』

私の育ての親である魔女さんにはみんな頭が上がらないみたいです。虹子さんは自由な方ですが魔女さんにだけは忠実なんです

「魔女さんには許可もらってますよ」

『ホッ良かった。ならやっちゃうね〜!』

面接官さんはポカーンと何がなにやらな表情をしています

『繧?▲縺ア繧顔ァ?#縺後>繧句?エ謇?縺ッ縺薙s縺ェ蝨ー蜻ウ縺ェ繧ェ繝輔ぅ繧ケ縺ェ繧薙°縺倥c縺ェ縺上※縲√b縺」縺ィ邏?謨オ縺ァ繧ゅ▲縺ィ繧ュ繝・繝シ繝医↑繧ケ繝??繧ク縺ァ縺励g?』

意思が強い言葉はやはり普通の人でも聞こえてくるみたいですね。私には副音声も聞こえてくるのですが

『やっぱり私達がいる場所はこんな地味なオフィスなんかじゃなくて、もっと素敵でもっとキュートなステージでしょ!』

面接官さんが顔を青くして気分が悪くなっているみたいです。虹子さんにあてられたのですかね

虹子さんのいつもやっているあれとは部屋の模様替えですどこから持ってきたのかカラーテープをポルターガイストで浮かし飾り付け折り紙を一瞬で切り輪っかの繋がったアレをものの数秒で作り上げ水性絵の具で壁をメッタメタに彩っていきます(虹子さんに美的センスはありません)

「すみません、虹子さん久しぶりに飾り付けしていいって言われて張り切りすぎちゃったみたいで……」

「・・・・・・。」

今にも倒れそうな顔してますね。

誰か呼んだ方がいいですかね

「大丈夫ですか?」

『あら?どうしたの?顔色悪いわよ〜』

虹子さんも心配しています

青と赤で構築されたホラーゲームとかでありそうな子供部屋のように飾り付けられそこに倒れそうな面接官

私、どうすればいいのでしょうか?


ーーーバターーー


あ、倒れちゃいました。

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