第26話
翌朝起き出してきた
「おはよ」
「あ、「おはよう」」
「あ、今朝の朝食は燻製肉とパンな」
「「ええ〜〜っ」」
二人は不満の声をあげるけど、「他の人の目があるし、収納魔術のことがバレたらまずいだろ、色々と。だから我慢してくれよ」と小声で諭す。考えてみて欲しい。あれだけ雨が降ったのに、どっから薪を用意するんだよ。そりゃ、薪がわりになるものはバッグの中にあるけど。
「「あっ……」」
「分かってくれた?」
「うん、「分かった」」
「天幕の中に食事の用意してるから、ミドヴィスも交代で朝食な」
「はい、有難うございます」
二人にはああ言ったけど、魚の塩焼きを一尾ずつつけてある。こっそりと「外の人に見つかるなよ」と伝えると疑問符を浮かべていたけど天幕に入ったら分かるだろう。
全員が朝食を済ませた頃になると丁度、馬車が動き始めていた。そのあとについていくように荷馬車も動き始めた。
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
馬車が去って十分な時間を空けてから、天幕を収納する。
そして俺達もアンディグに向けて出発した。
途中でもう一泊してアンディグの町に辿り着いたのは翌日の午前中だった。
その日の昼過ぎまではエイシャの家でのんびりすることにした。
三人を休ませている間に探索者組合への報告に行くつもりでいる。
流石に探索者組合でバッグからアレだけの量の採取物を出すのは問題の元だ。
それとは別に、もう一つの問題に気がついた。家が狭い……
いや、二人で過ごすのには問題が無かったのだけど五人になると流石に狭い。
「流石に狭い……」
「ちょっと
「エイシャ、この家って持ち家? 借家?」
「ん、ここは借家。町から少し離れてるから格安」
エイシャが借りているこの家。敷地内の作りは農家のそれ、母屋には六畳間(程度)が二部屋(片方は寝室として使用・もう一部屋は多分、元子供部屋。机と子供サイズの二段ベッドが残っていた)と六畳のリビング兼台所。それと裏から外に出てちょっと離れたところに風呂とトイレ。
敷地内には他に納屋があって、そっちが物置と作業場を兼ねている。
残されている家財は自由に処分していいと許可が出ているというから三人には子供部屋を使ってもらうか納屋に手を入れるかだ。
農地もあるらしいのだがそっちは手付かずになっている。管理という名目でエイシャは草を刈って焼いているらしい。俺も農作業はやったことがない。
リビングに集まった俺達は部屋割りについて話し合っていた。
意外なことに二人は「納屋でいい」と言って、エイシャは「母屋を使うといい」と主張している。
「どうして?」と
「奥さんが別の建物で生活するの?」
「「あっ……」」
こうして別居の案は無くなった。
いや、奥さんが三人って、全然実感がないんだが……
「ひとまず納屋の方へ荷物を運び出してから組合に報告に行こう。帰ってきてから皆んなで日用品と食材を買いに行こう。あ、お昼も外で食べようか、ずっと同じような物、食べてたから別のもの食べたいしな」
「ん、レオがそう言うなら」
「うん、作ってもらってる私は異論なし」
「私も」
「エイシャ、空の樽と大きめの木箱ある?」
「納屋にあったと思う」
「あとで確認しようか」
「ん」
元子供部屋から解体した子供用の二段ベッドと机を納屋へ運び出す。そのついでに樽と木箱を確認してそれらの掃除をミドヴィスに頼んだ。
すっかり家財の無くなったその部屋の掃除を済ませた頃にはミドヴィスの方も作業は終わっていた。
樽と木箱を荷車に乗せて空のまま探索者組合に向けて引いていく。
結局、
空荷だから
それを彼女達も同じように感じていることは表情でわかる。
ある程度の距離を引いたら交代を繰り返して探索者組合までの間にあるお店なんかを三人に案内していく。
途中、いい匂いをさせている露店があったから、ちょっと買い食いなんかもして歩いていく。
探索者組合に到着した時は隣に
「じゃあ、俺とエイシャは報告に行ってくるから荷車見てて」
「「は〜い」」
「あと、
「うん」
「分かってる」
これは念の為、もしもルゥビスから二人の捜索依頼が出ていた時は面倒なことになるからね。
木箱から取り出すフリをして籠一杯の薬草を取り出す。ライパンは麻袋に入れた状態で樽に出す。多分、あとで荷車ごと裏にまわすことになるからね。
「よし、行こうか」
「ん」
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閑話を一緒に投稿しています。
宜しければ、お読みください。
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