第16話
そこにいたのは数ヶ月ぶりの再会となる幼馴染、
二人は俺の方を見て驚きの表情から怒ったような表情へとかわる。
「ちょっ『ぐぅ〜〜〜〜っ』、んん〜〜〜っ」
「あ、あははは、はぁ〜〜」
何故か
ここは俺から声をかけた方がいいよなぁ。
「二人とも、久しぶり?」
ガバッと顔を上げた
「レオっ!」
俺を庇うようにエイシャがその豊満な胸に俺を抱く。
「「ええっ〜〜〜〜!!!」」
絶叫、それに合わせるようにズザァ〜〜という音を立てて
「そんな…… やっと見つけたと、思ったら、女がいるなんて…… ふっ、ふふ、ふふふっ…… んがぁ、そんなことが、許せるかぁ〜〜!!」
「ッパ〜ン!!」
「ふ、ぐっ!?」
「
俺は冷や汗が吹き出すのを感じながら、ひとまず謝ろうと決める。
「二人とも、勝手に出ていってゴメン」
がっしりとエイシャの胸に抱かれたまま謝罪の言葉を告げた。駄目だ、俺も取り乱してるな。
「ごめんじゃないよ
静かに発せられたその声はまるで喉元にナイフを突きつけられているような不穏な圧力があった。
「落ち着いて
「「相方……」ふふっ…… 相方……」
あれ、俺、対応間違えた…… かな?
二人が四つん這いのまま距離を詰めてくる。近い、近いって。目の前数センチのところまで詰め寄ったところで二人はエイシャに頭をおさえられて止まる。
「うっ」
「うっ?」
「うわぁ〜〜ん、
「
「えっ!?」
「ふふんっ」
「………………」
現在の状況は
二人が冷静さを取り戻したのは、ケモ耳女性のお腹からぐぅ〜っという音が聞こえてエイシャが魚の塩焼きを勧め、彼女がそれに齧り付いて発した『美味しい』の声がこの野営地に響いた時のことだった。
同時に二人のお腹からもぐぅぐぅとお腹の音が響いてきた。
「とりあえずなんか食べる?」
「
「
「はいはい、それじゃあ、ちょっと待っててね。エイシャ、三人にスープを出してあげて」
「ん、わかった」
「「「えっ!?」」」
「ん、料理ができるまでこれを飲んでるといい」
「あ、「「ありがとう」」ございます」
離れ難い魅力を持つエイシャの胸から身体を離した俺は、バッグから昼間獲った魚を三尾取り出して手際よく串を打って軽く塩を振り熾火の
「エイシャ、魚の焼き加減見てて」
「ん、わかった」
「あとは…… よしっ」
離れた場所に石で簡易の竈を組み、熾火を移す。
追加でバッグから大きめの鉄板とサングニエルの腿肉、調味料を取り出す。
下処理を済ませて火にかけておいた鉄板で焼いていくと
驚いた表情を向けてくる三人には悪いけど今は料理に集中させて欲しい。
なんか、ぽか〜んとした表情でスープを飲んでるけどもう少し待っててくれよ。今、美味しい肉焼いてやるからな。
「そういえば、その人、誰?」
「あ、えっと、この子はミドヴィス。私達の…… その、」
「ん? ああ、奴隷を連れてるんだ」
「っ、そう、荷物を運ぶのと
「ええっ、奴隷買ったの!?」
「ん、レオ、こっちだと労働力として奴隷を買うことは普通。買う側にも制約は多くあって、なんでも言うことを聞かせられるわけじゃない」
「そうなんだ、エイシャは奴隷を買ったことがあるの?」
「ん、ううん、私は無い」
「おっと、いい感じに焼けてきた。そっちはどう?」
「こっちはまだ」
「じゃあ、先にお肉出すね」
「ん」
「三人とも、お肉が焼けたからどうぞ」
煮沸消毒をしておいた解体ナイフで適当な大きさに肉を切り分けて、三人に木製の取り皿とフォークを渡していく。
「焼けたら魚の塩焼きも食べていいからね」
相当お腹を空かせていたのか三人は夢中になってサングニエルのお肉を頬張っていた。
話をするにしても三人が落ち着いてからじゃないとできそうにないか。
先に二人のことをエイシャに説明しておくとしようかな。
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