第5話
◇◆ ◇◆
そこで
「すまない、こちらに
「レオさんですか?すみません、貴方達は彼とどういったご関係ですか?」
型通りの受け答え、これは想像できていたので
「っ!すみません、こちらにお越しください」
二人は二階の応接室に通される。
「あの、レオさんは何かしたのでしょうか?」
「あ、いえ、私達は
「では、レオさんをどうして探してるんですか?」
「
「そう、なんですね」
「それで、
「レオさんは素材採取に出てから戻っていません……」
「う、うそ、そ、それ、は、何時のこと、です、か……」
それまで口を開かず黙っていた
「落ち着け、
「っ!これが、落ちついて、いられるものですか」
「詳しい話を聴かせてもらえますか?」
「はい、レオさんは指名依頼を受けてリジュ採取に向かいました。採取場所はおそらくこの辺りかと思われます」
そう言って受付さんは壁に貼ってあるこのジェドの街周辺の地図、その一点を指差した。
「ここは、人を襲うような獣も殆どいない比較的安全な採取場所です。その日は午後から強い雨が降っていました。夕方になってもレオさんは戻られなかったのですが、雨をやり過ごしているんだろうと私達は考えていました」
ここ数ヶ月の間に降った強い雨といえば、私達も移動の途中で足止めを食ったあの三日間か。あれはひと月くらい前じゃなかったか。
もし、川に流されたのだとすると状況は絶望的…… そんな嫌な予想が頭に浮かぶ。その間にも受付さんの話は続いていた。
「雨がやんだあと、採取場所近辺の確認に向かった探索者の方から崖周辺が崩れているとの報告がありました。恐らくレオさんはそれに巻き込まれてしまったのでは無いかと……」
信じたく無い情報に頭がぐわんぐわんとまわる。
ガタンと音を立てて
「信じない、
そう叫んで
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
崖崩れがあった場所はすぐに分かった。
川沿いに続く山道が大きく崩れていてその先に進めなくなっている。
「
「うん、気をつけてね」
「
「うん、
「じゃあ、行ってくる」
この世界に来て『勇者』として身につけた身体能力は約二十メートルの崖下までの跳躍を可能にした。崩れたところを下っていくより、こっちの方が安全に降りられる。
崖下の河川敷はそれ程広くない。土砂によって川幅の三分の一は塞がれているが水深はそれなりにある。
これは
それから日が暮れるまでの間、私達は
それらしい痕跡を見つける事ができず、その場で野営をして明朝探索を続けることにした。
「
「そういう
「うっさいなあ、でも、本当にそう、だね…… こっちに来てからも三人でいる時はずっと
「うん…… また、
声を殺して涙を流す
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
翌朝、川の音の変化で目が覚めた。
バチャ、バチャと耳慣れない音に警戒を強め、周囲の気配を探る。それらしい気配はなく、今も続く音のする方へと警戒しつつ進む。
そこでは二メートル程の流木が川の中で何かに引っかかって回っていた。
「何かが絡んでる、のか?」
見える範囲でその流木には蔦が絡んだりしているようには見えない。別の何かが絡んでいるのか?
「私、見てくる」
胴衣とスカートを脱ぎ、錫杖と共に私に預けて
何度か木が引っ張られるような感じに動いたあと
その手には遊動索が握られていた。
「
他の人の道具と混同しない為に三人で決めた印がそこにはあった。
「一度、組合に戻って、この辺りの水害について確認しよう。多分だけど増水してたら結構流されてるかもしれないし」
「うん、そうだよね。帰って来てないんだから」
「捜索に必要な物資も仕入れないとね」
「うん、絶対探しだす」
「ああ、絶対見つけような」
ほんの少しだけ見えた希望に縋りつく。
「待ってろよ、
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