第31話優華を目指して
準備を済ませた私達は早速出発した。乗るのは父さんが生み出した飛行機だ。これで一気にお姉ちゃんの居る国に向かうつもり。
飛行機の中は普通に広くて何日も泊まれそうな感じがする。しかも自動運転らしいので誰も運転しなくていいんだよね。すごくない?
飛行機に乗って数時間後、一つの国が見えてきた。
人間の国とは比較にならないくらい栄えた国、おそらくあれが魔族の国なんだろうね。そして、あの国にお姉ちゃんがいる。
居ても立っても居られなくなったや私達は少し離れたところに着陸した。
お姉ちゃん待っててね、すぐ行くから!
そう意気込んで魔族の国入った私達は数時間後、魔王に呼び出されていた。
どうしてこうなったかは私にもわからない。お姉ちゃんを目指して国を散策して当たりをつけて大きい城の前まで来たは良かったけどどうしても入れなくて門の前で話し合っていると、なぜか呼び出された。
ん? これ私達のせいじゃね?
普通不審者が城の門の前で話し合っていたら捕まるか。普通に自業自得だったね!
それで今魔王様と対面してるんだけど、本当に魔王?
なんか目の前の魔王が魔王とは思えない程の美少女なんだけど。
黒い髪に黒い目、白い肌を持った美少女。さすがにお姉ちゃんには劣るけど町を歩けばみんなが振り向く絶世の美少女と言っていい程だねこれは。
「なんで貴方達は門の前で話し合っていたの?」
魔王、名前はハデスさんが質問してくる。私達はそれに正直に答えた。隠すことでもないからね。
「優華、私の子を探しにここまで来ました。うちの子の探知の魔法を使った結果ここにいる事がわかり来た次第です」
お父さんの説明を聞いたハデスさんは少し目を見開いた。あ、これ絶対なんか知ってるな。
「…………………………私は知らない」
いや間が多いよ! 絶対知ってる人の反応だよ!
「そうか、なら仕方ない、か」
なんで父さんはそれで騙されてるの!?
見て隣の母さん呆れてるからね!
「ハデスさん、本当に優華のことを知らないのですね?」
「うん、知らない」
「では優華のスリーサイズを知っていますか?」
いやどういう質問? 普通もっと何かあるよね?
お母さんおかしくなっちゃった。さすがにハデスさんも呆れて………。
「上から73.84、52.54、76.68」
「……正解です」
いや答えやがった!
しかも小数点まで完璧に言い当てやがった!
ていうかよく覚えてるね母さん! 私も覚えてたけど!
「さてハデスさん教えてください。なぜあの子を知らない貴方が、あの子のスリーサイズを知ってるんですか?」
「しまった、つい条件反射で……」
まぁ確かにお姉ちゃんのスリーサイズ知っててお姉ちゃん自体を知らないっていうのはないよねぇ。
それにしてもお姉ちゃんなんでスリーサイズ知られてるの。もうちょっと気をつけないと!
てかお兄ちゃんとお父さんなにドン引きしてんの?
まぁそれはいいか。それよりも、ハデスさんに聞かないと。
「ハデスさん、お姉ちゃんはこの城のどこにいるんですか?」
「………」
私の質問に、ハデスさんは黙ったままだ。立て続けに父さん達が言葉をぶつける。
「ハデスさん、私達は優華と話をしに来たんだ。この前は訳も分からず別れてしまってね。だから、ちゃんと話をしたい」
「優華は俺の妹だからな、絶対に放って置けない」
お父さん達の話を聞いたハデスさんは、なにやら決心した目をして、口を開いた。
「優華様に会わせることはできない。これは優華様からのお願い。だから今は絶対会わせられない」
「そうですか、優華からのお願いなら、仕方ないですね」
お姉ちゃん、私たちに会いたくないのかな。そんなことを考えていたら悲しくなってきた。
「勘違いしないで欲しい、私から見たら優華様は貴方達にすごく会いたがってた」
心配するように言ったハデスさんの言葉に、私達は安堵の息を溢した。
よかった。お姉ちゃん私達に会いたくない訳じゃないんだ。でも、だったらなんであんなお願いしたんだろう。
「優華様は、おそらく知ってるけど何もかも1人で溜め込む性格。おそらく今回も、何か溜め込んでる」
「……えぇ、知っています。あの子は優しずきて、周りに迷惑を掛けない事を第一に考えていて、頼ることを知りません。いつも1人で解決しようとしてしまいます」
「私も、もっと頼って欲しいって言ったけど結局頼ってくれなかった」
そう言ってハデスさんは拗ねたようにため息をついた。
お姉ちゃんやっぱり何か溜め込んでるんだ。私達で解決できたら良いけど。
「私は優華様と長い間一緒にいるから悩みが何かわかってるつもり。多分、優華様は貴方達と変わってしまったことを気にしてる」
お姉ちゃんはらもう何もかも変わってしまったと言っていた。私達は身分なんかだと思ってたけどどうやら違うらしい。
「優華様は元は人間だったと聞いてる。だから、家族の中で1人だけ違う物になってしまった事が原因だと思う」
「違う物?」
「優華様は、神になった」
ん? 神?
お姉ちゃんが神なのは当たり前じゃん何言ってんのこの人?
私が困惑しているとハデスさんは慌てて訂正した。
「比喩的な神じゃなくて種族的な意味での神。一応私も神だから説明する」
種族的な意味の神? どゆこと?
ハデスさんはわからない私達に説明開始してくれた。
「神とは、その体に尋常じゃない程の魔力を宿した生物の事を言う。怪我なども魔力で簡単に修復できてしまう。また、魂が壊れなければ死ぬことはなく永遠に生き続けられる」
え、チートじゃん。ハデスさんの説明を聞いた私の最初の感想がそれだった。
いや決してふざけてはないからね。
だってほぼ不老不死って事でしょ?
最強じゃん。
「優華様は神だから貴方達とはいられないと思ったのだと思う。生きる時間が違いすぎるから」
「生きる時間が違う、ですか。確かにそれなら無理に会って一緒に暮らしたとしても苦しくなるのはあの子の方ですね」
「寿命の違いなんて、いったいどうすれば!」
お兄ちゃんが声を荒げる。気持ちは痛いほどわかる。だってたとえ一緒に暮らせたとしても私達が先に死んでお姉ちゃんが1人残ってしまう。
お姉ちゃんの性格的にまた1人で抱え込んでしまうだろう。
そんなのはダメ。私達は家族全員の幸せを願ってる。だから、誰か1人が不幸になるなんてあってはならない。
でも、どうすればいいかわからない。いや、どうすべきかはわかってる。私達全員が神になって、お姉ちゃんを迎えに行けばいい。
問題は神になる方法。どうやって神になれるのかがわからない。
「神になるには時間がかかる。だから先に不老不死になるといい」
私達が悩んでいるとハデスさんはよくわからない事を言った。不老不死になる?
神になるのではなく?
「エルフの森には世界樹がある。そしてその根元に飲んだ者を不老不死にする泉がある。そこに行き、泉の水を飲めば、貴方達は不老不死になれる」
なるほど?
神になる方法はいまだにわからないけど、不老不死になる方法はわかった。
それに不老不死になってしまえば神になる方法もどれだけ時間が掛かったとしても見つけることができる。
それに、お姉ちゃんと同じ時間生きることができる。でも、なんでハデスさんがここまでしてくれるかがわからない。
私達は赤の他人。お姉ちゃんの為とはいえ赤の他人に不老不死になれる方法なんて教えてくれるのか。
だから思い切って聞いてしまった。
「なんでハデスさんは、私達にそこまでしてくれるんですか?」
私の問いを聞いたハデスさんは少し悩んだ末に顔を少し朱を宿して答えた。
「私は優華様の幸せを願う。私は子としてじゃなく1人の女として優華様が好きだから」
ふむふむ、なるほど。お姉ちゃん盛大にやらかしてるね!
ちょっとお姉ちゃんなんで女の子惚れさせてるの!?
いやそれよりもなにか聞き捨てならない言葉があった。なに、子として?
もしかしてお姉ちゃんの子供としてって意味じゃないよね?
それから私達は先程の真剣な空気を全て吹き飛ばして子供発言の質問をした。
いや仕方ないじゃん。だってお姉ちゃんが子供を作ってるなんて知らなかったし男なんて作って欲しくなかったから我を忘れたんだよ。
まぁ結局男は作ってないらしかったのですごく安堵した。
さてと、ハデスさんと別れた私達は城を出て、次の目的地に行くことにした。
次はエルフの森。そこに、私達を不老不死にできる泉があるらしい。
待っててねお姉ちゃん。私達は1人じゃないから。
【後書き】
どうも緋色です。最近暑さが一段とヤバくなってきましたね。
少し報告です。これからの近況は近況ノートなる物で報告していきます。作品に関することはここに記しますのでよろしくお願いします。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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