第52話 家族
「っは」
良くない夢を見た
いや、正確に言うとこれから良くないことが起きそうな夢だった
時間を確認すると12時30分だった
寝たのが10時前ぐらいだったので3時間行かないぐらいで起きてしまった
(変な時間に起きちゃったな、水でも飲みに行くか)
そう思い起き上がろうとしても体が起こせない
何故か体が重い
少しして頭がはっきりしてきたので周りを見渡す
隣には芽依さんが寝ていた
(って、芽依さん!?)
逆隣を見ると唯さんと目があった
唯さんは俺の腕に掴まっている
(え、唯さん起きてたの?なんか気まずい)
「えっと、おはようございます?」
「ふふっ、おはよう」
「俺ちょっと水飲んで来ます」
「なら私も」
唯さんはそう言うと俺の腕を離してくれた
リビングに移動してコップに水を注ぐ
「唯さんはずっと起きてたんですか?」
「うん、寝ようと思って部屋に行ったらなんか純平くんうなされてたから」
「ごめんなさい、昔の夢を見ちゃって」
「昔の夢?」
「はい、と言っても多分あのあとからが重要だと思うんですけど」
「どんな夢だったの?」
「なんか公園に行ったら喧嘩してるカップルみたいな人がいて声をかけた?みたいな感じでした」
「なるほどね、あのときのか」
「あのとき?」
「いや、何でもないよ、それよりずっとお母さんって言ってたけどお母さんは夢に出てきてないの?」
(お母さんか、そういえば少し出てきてたような)
「多分少しだけ」
「そっか、そっか、さっきうなされてるときに頭撫でたら収まったから何かあるのかなーって、ごめんね良くない夢だったのに思い出させて」
「いえ、でも夢にお母さんが出てきたのは少し嬉しいです」
「そうなの?」
「はい、俺は3人姉弟の真ん中で、3つ上に姉がいて、4つ下に妹がいるんです」
(そういえばさっきの夢に出てこなかったな、)
「純平くんって姉弟いたんだね」
「それで母は妹を産んで少ししたあとにいなくなって、」
「そう、なんだ、」
「そんなに悲しい顔しないでくださいよ、死に別れたとかじゃないので、」
「なら会えるの?」
「いなくなった理由も父が仕事ばっかりで家庭を大切にしないからだったので会おうと思えば」
「ごめんね、この話多分私が聞いていい話じゃないよね、」
「いえ、別に暗い話でもないので」
俺がそう言うと唯さんは俺の方に来て俺のことをギュッと抱きしめてくれた
(優しい暖かさだ)
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