第40話 優愛の話
※優愛視点の話です
「ねぇ?知ってる?優愛」
「何が?」
「隣クラスの桜井ってやつお金持ちらしいよ」
中学時代友達だった栞にそんな話を聞いた
「へー、でもこの辺の田舎じゃそうでもないでしょ?」
「うん、少しお金持ちぐらいだってさ」
「やっぱり」
最初はこんなたかが知れてるような雑談から始まった
最初は相手のことなんて知らなかった、
でもこの日から少し興味が湧いた
時は進み高校受験
この日初めて純平と会話をした
きっかけは些細なもので受験のとき私が消しゴムを探していたらこれあげると
純平が私に消しゴムをくれた
これが私と純平のファーストコンタクト
高校入学前
高校受験の少し前辺りからなにか家の雰囲気がおかしかった
毎日母か父どちらかは家にいなくて
両方いたとしてもほとんど会話をしない
するときは喧嘩だけ
私は受験と家族のストレスでこのときあたりから少しおかしかったのかもしれない
高校入学後
高校に入学した最初の休日
父と母は離婚した
理由は母の不倫
母は少し危ないような仕事をしていた
相手はそのへんの付き合いの人らしい
詳しくは知らない、
親権はもちろん父が取った
意外とメジャーな理由かもしれない
でも当事者からすると15年間一緒にいた母がいなくなるということはとても辛かった
少し時がたった
離婚から2ヶ月ほど経った
正確には1ヶ月と少し
最初の方は普通に生活できたのだが
今は少し違う
元々両親が共働きで二人の給料を合わせてやっと普通の生活ができるほどだった
だけど今は父親の給料だけ
当然生活が楽なわけがなかった
父は慰謝料を母から取らなかった
最後まで離婚を渋っていたのも父だ
多分父はまだ母のことが好きだったのだろう
その後
お金がない
どうしよう
幸い名字は変わってないが誰にも相談できないし、したくない、バレるのがはずかしい、
思春期ならではのよくわからないプライドがあった
そんなとき思い出したのが中学時代に聞いた話
その人が同じクラスにいる
これを利用しない手はないと思った
6月
私から純平に話しかけに行った
話しかける話題は何でも良かった
確か適当にテレビの話でもしたと思う
7月
どうにか純平と付き合うことができた
これからどう利用してやろうか
8月上旬
純平とはたくさんでかけた
理由はでかけたときのお金は全額出してくれるし
頼んだらお金もくれる
こっちとしてはマイナスがなくプラスしかない
8月下旬
裕翔と体を重ねた
理由は純平とお金の話で少し揉めたからむしゃくしゃしていたんだと思う
男なんて単純だ
彼氏が手を出してくれないと言ったら
俺はそうじゃないけど、と言ってやろうとしてくる
してる最中はこいつも利用してやろうと考えていた
9月上旬
純平とは仲直りした
俺が悪かったと純平から言ってくれた
裕翔との関係は続いた
いつかこいつは私のためになにかしてくれると思ったからだ
その分純平からもらうお金は増えた
9月下旬
なんかもう色々めんどくさくなってきた
男なんて単純なんだから私に使われておけばいいのに
10月上旬
純平と別れた
浮気をしているのがバレたからだ
相手から諦めるように浮気の話をされた
相手に優位に立たれたのが嫌だった
だからこっちから別れようと言った
私と別れたこと後悔しろと思った
次の日になっても怒りは収まらなかった
つい名前で呼ばないでと言った
その後裕翔は純平に見せつけるように私とキスをした、
キスは気持ち悪かったけど、純平の悲しそうな顔は良かった
10月下旬
純平と動物園であった
私は裕翔と来ていた
お金はきつかったけどいつかのための投資だと思った
そろそろお金がきつかったのでどうにか純平と仲直りがしたかった
どうしようと考えたとき裕翔を悪者にすればいいと思いついた
私は裕翔に雰囲気に押されてやられた被害者になることにした
これなら純平も私とよりを戻してくれるだろう
裕翔が横から色々言ってきた
本当に黙っててほしい、ただの道具なんだから
11月上旬
純平が学校に来た
文化祭実行委員で純平と同じになった
これはよりを戻すチャンスだと思った
その後純平と裕翔は喧嘩をした
純平は先生に連れられて保健室へ
裕翔は暴れていたので先生が取り押さえた
多分もう純平とはよりを戻せない
なんで駒同士で喧嘩なんかするんだろう
二人共私に使われればいいのに
こんなことをしても、こんなことを思ってもいつからか罪悪感というものがなかった
どう頑張っても私はあの人の子供なんだなと思った
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