第38話 反省


「これは派手にやられたね」


保健室に入ると校内の男子から人気の養護教諭にそう声をかけられる


「はい、すみません」


反射で何故か謝ってしまった


「君はやられた側なんだから謝らなくていいんだよ」


「はい、す」


すみませんすまで出てしまった

上の人になにか言われると反射で謝ってしまう癖をなおしたい


「でも、授業サボって喧嘩か〜青春だな〜

何があったかは私は聞かないけど、あんまり気を落としちゃだめだよ、さっきから彼女心配してるよ?」


先生がそう言いながら目線で指した方を見てみると

心配そうにこちらを見ている芽依さんがいた


「彼女じゃないですよ、」


「そうなの?ごめんね気悪くしないでね」


「あ、はい、大丈夫です」


「はい、これで終わり、外で先生が待ってるはずだからそこに行ってね」


「わかりました、ありがとうございました」


俺はそう言って保健室の外に出た

初めて会話したけど気さくで良い先生だったな



「じゃあ桜井と里中、こっちについて来てくれ」


先生はそう言うと俺と芽依さんをよくわからない

部屋に通した



「それじゃあさっきのことについて少し話を聞かせてくれ、もちろん言いたくないことは言わなくていいぞ」


「はい、分かりました」


「じゃあまず桜井、なんで吉田と揉めたんだ?」


「えっと、恋愛関係のもつれです」


「なるほど、」


先生はそう言いながら紙にメモを取っている


「次に里中なんでお前はそこにいた?」


「はい、私は授業に出たくなかったのでそこに行ったら喧嘩をしている人達がいたので録音をしました」


さっき俺を元気づけてくれたときとは変わって真剣な口調でそう答える


「授業に出たくなかった理由は今回の話とは関係無いから聞かないけど、録音した音声は聞かせてもらっていいか?」


「どうぞ」


芽依さんは先生にスマホを渡した



「うん、うん、うん、なるほど、なるほど」


先生はその音声を聞きながらペンを走らせる


「えっと、二人とも教室に戻ってもらって大丈夫だと思います」


先生はそう言うとスマホを芽依さんに返した

どこからどこまでの音声かわからないので不安だったが大丈夫そうだった


「「わかりました」」


「向こうの話を聞かないことにはなんとも言えないけどこの音声からして多分大丈夫、事情聴取のようなことをして悪かった」


「そんな、やめてください、元はと言えば自分がまいた種なんで」


「えーと、それじゃあ戻ってもらって大丈夫です」


促された通り俺と芽依さんは部屋の外に出た


「教室戻りましょっか」


俺がそう芽依さんに声をかける


「ちょっと待って、連絡先交換しとこ」


「連絡先ですか?わかりました」


ポケットからスマホを出す


「よし、これでオッケー、じゃあ戻ろっか」


芽依さんはそう言うと自分の教室の方に向かっていった

芽依さんはいつもの口調に戻っている

切り替えができる人ってすごいな

そんなことを思いながら俺も自分の教室に戻った


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