第36話 今やるべきこと


「ありがとうございます、芽依さん」


俺は芽依さんにそう感謝をして優愛たちの方に体を向けた


「な、何」


「なんだよ、」


少し困っているような優愛と怒っているような裕翔がいた

この期に及んで優愛は被害者づらをしている

ここまで来ると流石としか言えないだろう



どうしよう、これから言うことは本当に言っていいことなのだろうか、またそんなことを思ってしまう


「自分中心に世界が回ってるって考えることも大事だぞ」


「1回本気でぶつかって心で会話をするのも大事だぞ?」


芽依さんに教えてもらった2つのことを思い出す

今までは何か嫌なことがあっても、嫌なことをされても時間が解決してくれると思って自分からなにか行動をすることはなかった

それでいい場合もあるけど、今回はそれじゃ駄目な場合だ、俺が一歩、今までの自分から進まなきゃいけない、褒められたことじゃないかもしれないけど今はそれでいい

今日の朝唯さんには元気を貰った

さっき芽依さんには勇気を貰った

ここまでしてもらって言えない俺じゃない

今日は頑張ってみようと思う


「聞け、そこの2人」


俺が今まで使ったことがないような言葉使いだったので2人が少し驚いている


「俺はお前たち2人が嫌いだ」


いつも受け身で生活していたので人にどう言えばいいか全然わからない

俺は頭の中で文を組み立てて言うことも得意じゃないし、相手を言い負かすのも得意じゃない、頭のいいような言葉を知っているわけでもない

でも、こんな俺でも、心の奥底で沸々としているものはある


「元々は良い彼女だと思ってたし、良い友達だと思ってた、だけど今はできれば関わりたくないと思ってる」


俺がそう言うと2人は目を丸くしている


「いや、でも、まだやり直せるかもしれないし」


2人の内で先に口を開いたのは優愛だった


「やり直せるわけないだろ、さっきの会話も聞いちゃったし」


「ほら、付き合ってたときは出来なかったようなことさせてあげるから、ね?」


「俺はお前が嫌いって言っただろ、もう無理なんだよ、もう好きだったときの気持ちはないんだよ、」


「そっか、あの女かあの女が純平の心を」


「もしかして、あの女って唯さんのことか?」


「そうだよ、あの女だよ、きっとあの女も純平のことを利用しようとしてるよ」


一瞬不安になってしまった

でも、唯さんと普段生活をしていればそうじゃないことがすぐわかった

一瞬でも不安になってしまった自分を殴りたい


「おい、何二人だけで話進めてんだよ、いくら何を言ってもお前が優愛を奪った事実は変わらないだろ、なぁ早くあのクソ女のところ行けよ、また助けてもらえよ、まぁどうせあの女も金目当てだと思うけどな、」


裕翔がそう言いながら俺の服を掴んでくる

流石に唯さんのことをばかにされたら限界だった

俺は裕翔の服を掴み思いっきり壁に叩きつけた


「俺の尊敬している人をばかにするな」

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