第35話 伝えるべきこと


俺は急いで自分のクラスに行った


「あ、純平、どうしたんだ?授業いなかったけど」


俺が教室に入ると歩斗が声をかけてくる


「まぁ、色々と、それより今やらなきゃいけないことあるから」


「そっか、何やるかわかんないけど頑張れよ、っとそれと先生ちょっとキレてたからなんか言い訳しとけよ」


「あぁ、ありがとう」


それから俺は教室を見渡した

あれ?いないな、裕翔がいない


「なぁ歩斗、裕翔は?」


「あー、裕翔は、そのー言いにくいんだけど、優愛と授業終わってすぐどこかいったぞ?」


「そうなんだ、ありがと」


俺はとりあえず人が居ないようなところを探すことにした、具体的に言うとさっき裕翔と揉めたところ


俺は元いた場所から少し階段を上がり、その目的地についた


「あれ?芽依さん!?」


もういないと思ってたのだが芽依さんがいた


「おー桜井、さっき意気揚々と行ったのに戻ってきたのか?」


「いやー、相手を探しに行ったんですけどいなくて」


「あーもしかして相手ってあのどっちか?」


芽依さんはそう言いながら空き教室を指さした

俺はその空き教室を覗いてみる

中には何やら喧嘩をしている男女がいた 


「だから、あいつとは遊びだったんだろ?だったらもう俺とでいいじゃん」


「は?あいつは頼んだら何でもやってくれたけどお前はやってくれないでしょ?」


「俺だって頼まれたことくらいできるよ」


「あいつは出かけたときお金全額出してくれたけどお前は無理でしょ?ホテル代だって毎回私が出してるし」


「は?そのお金だってあいつから出たもんだろ?」


「そうだけど何?あいつが好きで金渡してきてるんだからいいじゃん」


「そんなの援交と一緒だろ」


「あいつの家金持ちだしお金もらうくらいいいだろ?」


中からはそんな会話が聞こえてくる

流石に聞くに耐えなかったので俺も混ぜてもらうことにした


「なぁお二人さん何話してるの?」


俺は二人のいる空き教室に入る


「純平なんで、」


「なぁ優愛お前俺の金目当てだったのか?」


「そっか、さっきの話聞いてたのね、そうだよ、あんたの家が金持ちって知ったから付き合ったんだよ?じゃなきゃ付き合ったりしないって」


「俺の家が金持ちだっていつ聞いたんだ?」


「最初に聞いたのは中学の時、そのときは信じてなかったけど高校で一人暮らしするって言うから本当にお金持ちなのかなって色々な人に聞いたの」


「そっか、最初からお金目当てだったのか」


俺は本気で優愛のことが好きだったと思うと目頭が熱くなる

俺の周りにはお金に集まる人ばっかりだった

もしかして唯さんもそうなのかな?

そう思うと心がどんどん沈み、この場から消えたくなってくる

どうしよう


「桜井、下を向くな、上を向け、今言いたいことを伝えろ」


芽依さんの少し大きい声が教室の外から聞こえる

そうだった、俺がしなきゃないけないことは今思っていることを伝えることだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る