第34話 考えるべきこと


俺は何をしてるんだろう

裕翔が先に優愛のことを好きだったのに俺が取ったってことか、、

さっき裕翔が言ってた


「やっとだ、やっと、あのとき優愛が振り向いてくれたと思ったんだ、最初は二股のような関係だった、でも俺はそれでも良かった、だんだん優愛は俺の方に傾いてくれた、そしてやっと俺の方に来てくれたと思ったのに、この間の動物園のとき、そんなことなかったってわかった、それなのにお前は被害者づらして、あの女の人に頼って、本当に泣きたいのは俺なのに」


という言葉が頭の中で反芻する

ずっと俺は自分が被害者だと思ってた

だけど先に酷いことをしたのは俺だった

好きな人を奪う、俺がされて嫌だったことを知らなかったとはいえ先にやったのは俺だ

こんな時唯さんだったらなんて言ってくれるだろう


「純平くんは悪くないですよ」


って言ってくれて俺を責めないでくれるだろうか

もしくは


「今回は純平くんも悪かったと思いますよ」


って言ってくれて謝罪を促してくれるのだろうか

俺が1番嫌なのは


「私は純平くんが被害者だから、可哀想だから優しくしてたのに、本当は君が加害者であっちの子が被害者なの?もうお前なんて嫌いだ」


って言われること

俺は唯さんに嫌われてしまったらどうすればいいんだろう

こういうとき俺は最悪を考えてしまう

唯さんあなたはこんな俺でも許してくれますか



足に力が入らずその場にへたり込んでしまった

あれ?なんでだろ、前がよく見えない、


俺はその場に座り込み声を殺して泣いた



「ふーんふーんふーん」


誰かの声がする

早く心が標準に戻れと思ってもそれと反比例するように心はどんどん沈んでゆく


「んー今って授業中じゃないのか?」


誰かがこっちに向かってくる

うずくまっているので先生か生徒なのかもわからない




「その上履き、1年生か?」


学年ごとに色が違うのですぐに学年がバレてしまった


「なぁ何してんだ?お前もサボりか?」


「違いま、」


声がかすれてしまってよく出ない


「もしかしてお前泣いてるのか?」


「   」


バレたくなかったのにすぐにバレてしまった

その通りなので何も言えない


「なぁここであったのもなにかの縁だろ?何があったのか話してみろよ」


「人が聞いてあまりいい気分になることでもないので」


「そっか、ならお前が心開いてくれるまであたしが喋るから言いたくなったら言ってくれ」


「あたしの5個上にさすげー優秀な姉がいるんだよ、でも男運はなくてさ、高校の同級生に好かれて断ったら嫌がらせされたり、バイト先の人にストーキングされたり、けどこないだウキウキで電話くれてさ、好きだった人に再会できたって、嫌だったことから救ってくれたヒーローなんだとさ、ってこんな話されても何が言いたいかわかんないよな、」


俺は顔をあげてうなずく


「お、やっと顔見せてくれたか、意外とかわいい顔してるな、まぁそんなことはどうでも良くて、あたしが言いたいのは嫌なことじゃなくてよかったことを考えろってことだ、あたし不器用だからよく伝えなれなくてわりーな、世界ってのは残酷でお前が笑ってても泣いてても回る、だけどさ、お前の世界は回ってないだろ?嫌なことなんて考えないで自分中心に世界が回ってるって考えることも大事だぞ」


世界が自分中心に回ってる、そんなこと考えたことなかった


「案外さ、考えてる最悪なんて起こんないんだよ、もしお前が今考えてることに誰か関係してる人がいるんなら1回本気でぶつかって心で会話をするのも大事だぞ?」


本気でぶつかる、

そっか、俺が今しなきゃいけないのは、落ち込むことでも最悪を考えることでもないんだ、本気でぶつかってみることなんだ


「ありがとうございます、なんで初対面の俺にこんなに優しくしてくれたんですか?」


「あぁー初対面ってもあたしはお前のこと知ってるからな」


「え?」


「あたしの名前は里中芽依、あたしのことは唯に聞いてみな」


「唯さんの家族?!」


「ははっ、お前さっきと顔つき変わったな、今やるべきことはわかったか?」


「はい、ありがとうございます」


「よし、ならこのことは後で利子付きで返せよ、」


「利子ですか?わかりました」


「なんだお前鈍感主人公か」


「はい?」


「まぁいいや頑張れよ」


「はい」


チャイムがなっているのも無視して俺はとある場所に向かった

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