第33話 本当の話
ホームルームが終わった
くじ引き後の担任の話は特に重要なものがなく
強いて言うとすれば今週から文化祭準備期間なので何も仕事がない人は早帰りということだろうか
ついさっき重要な仕事ができてしまった俺には関係ない話だった
「残念だったな、純平、まぁ頑張れよ」
「俺も応援はしてるぞ、応援は」
「え?協力してくれたりしないの?」
「「ないない」」
俺の席に来た歩斗と来翔が示し合わせたように言った言葉がかぶった
そんなことあるんだなと3人で笑いあった
その時こちらに1人向かってきた
「なぁなぁなんの話してるんだよ、俺も混ぜてくれよ、」
「裕翔、なんの用だよ」
「まぁいいや、ちょっとこっち来いよ、」
「あぁ」
俺は裕翔に呼ばれたのでついていくことにした
本当ならついていきたくなんかないし、そもそも顔すら見たくないけど、こいつとは話をしなければいけないことがあったのでついていくことにした
俺と裕翔の間にあったことを知らない二人はぽかーんとしていた
裕翔についていってあまり人のいない場所まで来た
次の授業の準備もあるので手短にしてほしい
「なぁ純平、なんで学校来たんだよ、」
裕翔がよくわからない質問を俺に投げかけてくる
「高校に通うことが今俺のすべきことだから」
「そうか、ならもう1つ聞く、なんで俺の優愛を奪った!!」
そう声を裕翔は声を荒げる
「えっ、奪ったって、え、どういう」
「俺と優愛が幼馴染なのは知ってんだろ」
裕翔と優愛が幼馴染ということを知ったのは優愛と付き合った後、付き合う前には知らなかった
「付き合った後に優愛から教えてもらった」
「は?知らなかったって言うのかよ」
「知らなかったよ、付き合うまで」
「っっつあぁぁぁ」
裕翔は声にならない声をあげる
「それはごめん」
「ごめんだと、被害者ずらしておいてよく言えるな」
「そんな、ことは」
ないとは言えなかった
「俺のほうが先に優愛を好きだったのに、取ったのはお前だ」
裕翔はそう言って俺の服を思い切り掴む
「お前のせいで、お前のせいで」
裕翔は叫ぶようにそう言って俺の服を掴んでいる手に力を入れる
「やっとだ、やっと、あのとき優愛が振り向いてくれたと思ったんだ、最初は二股のような関係だった、でも俺はそれでも良かった、だんだん優愛は俺の方に傾いてくれた、そしてやっと俺の方に来てくれたと思ったのに、この間の動物園のとき、そんなことなかったってわかった、それなのにお前は被害者ずらして、あの女の人に頼って、本当に泣きたいのは俺なのに」
俺には返す言葉が見つからなかった
キーンコーンカーンコーン
1時間目開始のチャイムがなった
「っち、もういい」
裕翔はそう言ってクラスの方に向かった
俺はどうすればいいか、この感情をどこにぶつればいいか分からずそこにただ立っていることしかできなかった
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