第20話 唯さんと紅葉


「おはよう純平くん」


「おはようございます唯さん」 


少し考え事をした後ぼーっとしていると唯さんが目を覚ました

いつもなら唯さんのほうが先に起きているので今日は珍しかった


「今日起きるの早かったね」


「なんか早く起きちゃいました」


「体が健康になってきてる証拠かな?」


そう言ってクスクスと笑う唯さん

俺もつられて笑ってしまった



唯さんが起きてキッチンへ向かう

俺はもう少し寝ててもいいよと言われたのだが

朝ごはんまでリビングで待ってようと思う

唯さんがご飯より先に出してくれた温かいお茶を飲みながらテレビをつける

ニュース番組で紅葉について特集されていた

きれいだなと思いながらそのテレビを見る


「純平くん、ご飯できたよ〜」


「、、、」


「純平くん?」


「あっ、すいません」


唯さんがご飯を作ってきてくれたのにテレビに夢中で最初気が付かなかった


ご飯を食べながらこんな会話をする


「純平くん、さっきテレビ真剣に見てたけど紅葉見たいの?」


「んー見れるなら見たいですけど、」


「よし、じゃあ今日は紅葉見に行こうか」


「いいんですか?」


「うん、私も紅葉見に行きたいとは思ってたから」


「それなら良かったです」




今日やることも決まったので準備をする

と言ってもピクニックをするわけではないので特に持ち物もなかった




唯さんの家の近くにある少し大きめの公園に向かった



公園に着くと今日が休日ということもあってか人がたくさんいた

見る感じ親子で来ている人が多く思う

そんな光景を見ていると、隣から声が聞こえた


「いいなぁ」


「どうしたんですか、唯さん」


「えっと、それほどのことじゃないんだけど

親子で遊んでいるのいいなって思って」


「たしかに、楽しそうですね」


「あの、純平くんって子供好き?」


「子供ですか?どちらかというと好きですね、

と言っても中学生の頃地域交流とかで遊んだぐらいですけど、」


どうしたんだろう唯さん急にそんな質問して?


「そうなんだ、私も好きだよ」


「かわいいですよね」



そこからは紅葉を2時間ぐらいぼーっと見ていた

秋も終わりに差し掛かっているので公園中の木はほとんど紅葉していた

色々な種類の木が隣接しているのか赤と黄色のグラデーションのようになっているものもありとてもきれいだった



「紅葉きれいだったね」


「そうですね、秋って感じでした」


「また来年も来たいね」


「そうですね」


一応返事はしたが一年後俺と唯さんはどうなっているのだろうか

今はたまたま助けてもらっているだけなのでこれが終わったら前までのような駅で見かける人に戻ってしまうのだろうか


そんなことを考えながら唯さんと家に戻る

家からそんなに遠くなかったので徒歩で来ていた

歩道を唯さんと隣並んで歩く

まだ俺の両手は空いていた

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