第18話 唯さんと動物園と再会(3)


「いい加減にして」


優愛と裕翔が声の方を向く


「さっきから急に喧嘩し始めて何がしたいの?」


「すいません」


優愛と裕翔が口を揃える


「えっと、まず彼女の方」


「はいっ!」


優愛がびっくりして変な返事をした


「さっき都合のいい女みたいに使われてるとか言ってたけど、ここに二人で来てる時点で弁解できないよ?」


「でっでも、」


「でも何?というか純平くんと付き合って一ヶ月で二股って何?本当は純平くんのこと好きじゃなかったの?」


「えっと、えっと、」


優愛は声にならないような声で唯さんに言う言葉を考えているようだった


「次は彼氏の方」


「はい」


こっちは来るとわかっていたような返事だった


「純平くんがどれだけ傷ついたかわかってる?」


「、、、、」


「私、ずっと辛そうにしてる純平くん見てるの辛かった、純平くん、辛かっただろうに最初誰にも頼らないで頑張ろうとしてたんだよ、それに、最近少しずつ笑ってくれるようにもなったし、」


唯さんの顔が少し歪む

ごめんなさい


「はい」


裕翔はずっと下を向いている


「もう純平くんの前に現れないで、」


「はい、ごめんなさい」


「謝る相手は私じゃないでしょ」


「ごめん純平」


裕翔にそう謝られたが

そんな何にもならない感謝の言葉もう遅かった



最後に形だけの謝罪を述べて二人はいなくなった

結局優愛は何がしたがったのだろうか?

全部唯さんの言った通りだと思う

最初から俺のこと好きじゃなかったのかなと考えてしまう



「唯さん大丈夫ですか?」


俺がそう聞くと唯さんはさっきの口調からいつもの喋り方に戻った


「こんなの全然平気だよ?純平くんの辛さに比べれば」


「そんな、とりあえずどこか座りましょうか」


そう言い少し歩き、動物園の中の公園のような開けた場所についた

そこにあるベンチに腰掛ける


「俺、なにか飲み物買ってきますね何がいいですか?」


「温かいお茶かな?」


「わかりました」


そう言い俺は、唯さんを長時間一人にしないように唯さんから俺が見えなくなってから走った

と言っても気持ち悪くならない程度に


それから数分後


「はい、どうぞ」


「ありがとう、純平くんお金持ってたの?」


「お金はこの間もらったものを使いました」


何故かこの間出かけたときに唯さんからもらったお小遣いを、使わずに取っておいたのでそれを使って買った


俺も唯さんと同じお茶を買ったのでそれの蓋を開け飲む


「あちっ、」


あぁ俺、そういえば猫舌だった


「ふふっ」


唯さんが少し笑ってくれた

舌は痛かったけど唯さんが笑ってれたので良かった



それからは少し雑談をした

多分こういうときは真剣な話をしたほうがいいのかもしれないけど対人初心者の俺にはこんな時どんな会話をすればいいか分からなかった



「純平くん、そろそろ帰ろっか」


「はい、」


「ごめんね、大変なことになっちゃって」


「そんなことないですよ、楽しかったです

それに物知りな唯さんとかっこいい唯さんを見れましたし、俺のために怒ってくれてありがとうございます」


「私はずっと純平くんの味方だよ、なにか困ったこととかしたいこととかあったら言ってね」


「はい、、ならもう一度ここ来ましょうね!」


「今度は何もないといいね」


「そうですね、」


俺と唯さんは少し笑いながらこんな会話をして

家に帰った

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