第17話 唯さんと動物園と再会(2)


声をかけてきた相手は優愛だった

火曜日に学校であったときは最悪なオーラ出していたのに


「優愛?」


弱みを出したら終わりだと思い平然を装って答える


「えっと、あっと、」


その後言う言葉を考えていなかったのか、

言葉が詰まっているのか、


「純平くん、この人知り合い?」


隣りにいた唯さんがそう聞いてくる

元カノだと言ったら優愛と言い合いになりそうだったのだが、唯さんに嘘をつきたくないので正直なことを言う


「えっと、元カノです」


唯さんにしか聞こえないくらいの声量でそう言う


「てことはあの?」


唯さんがそう聞いてくる


「はい、その人です」


俺がそう答えると唯さんの眉間に少しシワがよっているように見えた

俺は唯さんに笑顔で居てほしいので少し恥ずかしいけどこう言うことにする


「唯さん笑顔が素敵なので俺唯さんには笑顔で居てほしいです」


そう言うと唯さんの眉間によっていたシワがなくなり、唯さんの顔が少し赤くなっているような気がした

俺と唯さんが二人の世界に入っていると

それを遮るように前から声が聞こえてくる


「純平、今までごめんなさい」


そう言い俺の目の前で頭を下げている優愛

俺は驚きすぎて変なことを聞いてしまう


「ん?どうした?なんで謝罪?」


優愛は言い訳のような今までの弁解のようなことを始める


「最初裕翔とそういう関係になったのは私と純平が付き合って1ヶ月ぐらいのことなの」


そんな前から浮気されていたことを知り少し気が落ちた


「裕翔に純平と関係が進まないことを相談したの、純平が全然手を出してくれないって私魅力ないのかなって」


弁解を許している場でも結局相手のせいにするのか

本当にすごい性格していると思い直す


「そうしたら裕翔がそんなことないよって言ってきて、そこからそういう雰囲気になってそこからは私のことを都合のいい女みたいに使ってずるずると関係が続いて、」


泣きそうな顔でそう説明する優愛

それが本当のなみだなのかウソなのかもう俺には分からなかった


「は?俺のせいかよお前だって毎回気持ちよさそうだっただろ」


いつの間にか近くまで来ていた相手の男の方、裕翔がそう言う


「毎回都合のいい女みたいに使って、」


「連絡するたびに楽しそうに来ていたのはお前だろ、今日だってよ」


なんで俺はこの二人の言い合いを聞いているのだろう、もういい加減にしてほしい、この二人の声を聞く度に胃がズキズキ痛む

もしかしたらさっきのパスタが出てくるかも

そう思っていると


「いい加減にして」


そう俺の隣から聞こえた

もう今の俺には俺のために怒ってくれる人がいる


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