初陣 07
独立遊撃部隊『レイドガーディアン』……能力の高いエリート達で構成されている。この隊は自らの戦艦……サターン級戦艦を旗艦とし、護衛のヴィーナス級5隻で構成される独立部隊であり艦隊である……ってヘルプに書いてあった。
ゲームのプレイヤーの立ち位置だから様々な任務に就くのに違和感ない設定と言う事だ。色々出来てそれなりの立場というわけだな。サターン級という大きさは移民などでも使用されているとんでもなく大きな船で、居住区域、食料プラント、ファクトリーなどを備え人類の生存に必要なあらゆる物が揃っている船らしい。
戦艦と言うだけあって船自体にも戦闘力もあり、更に
俺達はこの船に乗り込み、いつ終わるかも分からない……下手したら生涯かけて戦っていく事になるかもしれない。(一応退役とかもちゃんとあるので生涯は言い過ぎだな)
軍用バスに乗ってサターン級旗艦への移動が行われたのだが、相変わらず窓の無いバスはいつの間に艦内に到着していたようで、外から戦艦の姿を拝んでワクワクするイベントなどは無かった。
「大体なんで窓が無いんだ? 俺達に外を見せないつもりか?」
「単純に防御力の問題じゃ無いか? わざわざバスの形を取る意味は分からないが……」
「トラックに乗せられるよりは快適だからいいじゃん」
そんなに真剣に知りたい訳でも無い疑問を話題にしながら俺達……クレイシュメンバー全員はバスから降りると、MAPに表示されたエリアに向かう。もちろん『C03』のメンバー達も一緒だ……ん? アーサーは『C03』メンバーの方へ向かっていったな?
途中、通路から外れそうになった奴がいたが、立体表示の警告アラートが出現して驚いていた……こういった事は基地内にいた時も度々あった。
「未だにチュートリアル中だからお偉いさんの意図から大きく外れた行動は出来ないという事だな」
「いつまでもゲーム感覚でいるのは危険よ」
怒られてしまった……でもあながち間違っていないと思うんだけどな。本当の自由行動が許されるのは初陣を生き残れた後の気がする。
そして広いサッカー場くらいの会場へたどり着いた。既に両サイドには沢山の人間……先輩に当たる人達? が並んでいる。独立艦隊の規模から一部だけだと思うけが、これだけの人数を前にするとさすがに緊張してしまうかもしれない……しないけど。
「はぁ、またこれからお偉いさんの眠くなる演説を聞かないといけないのか」
「駄目だよガット、思っても言っちゃ駄目」
「静かにしなさい」
うんざりするガット、でも気持ちは俺も同じだ。全員指定された位置に綺麗に並ぶと壇上に一人の男が上がった。離れた位置の人間にも見えるよう立体映像も上方に表示されている。
壇上の人物は年を取ったおっさんでは無く20代くらいの青年だった。体格は良く赤い軍服を着ている。長すぎない銀髪に特徴的なのは幅の広いサングラスを着用していた。
有名な人型機同兵器パイロットが最初は仮面を付けた敵だったのにサングラスをかけて名前も変えて味方になっている感じの奴だ。
全員がその男に注目している
「ふっ、長い話しは面白くないだろう……手短に行くぜ。今日新たな覚醒者を迎える事になった。
思ったよりフランクな話し方だな……ん? なんかこの特徴的な喋り方は聞いた事無いか?
……というか、10年でエースだらけの独立遊撃部隊の艦長とか凄すぎないか?
「俺は独立遊撃艦隊『レイドガーディアン』の旗艦であるサターン級戦艦『クライシスヒーロー』の艦長、クールガイだ……クールによろしく頼むぜ」
良い意味でお堅い演説とはほど遠いその内容に、クレイシュメンバー達がざわめいている。それにしても戦艦の名前にヒーローとかダサくね? ん? ちょっと待て、クールガイってあのクールガイか!?
「ふっ、ここに来た覚醒者の中には俺の名を知っている奴らは多いだろう。だが、実際の俺とタイムラグが10年あり、仮想現実にいた俺は10年前のデータを元にしたクールなAIだ。ちなみにお前達も今頃はAI制御の身代わりが前と変わらず仮想現実世界で生きているはずだ」
!?
やっぱりそうか、あのクールガイは……
俺は仮想現実の事実よりも
「艦長と立場になってしまった今、戦場で肩を並べる機会はほぼ無いと言って良いだろう……だが、俺は
だから
その途端に会場が大きな拍手で包まれる……なんだか演説内容はアレな気がするのだが凄いカリスマ性があるようだ。
しかし、艦長となったら戦場には出ない……まぁ、そうだよな? だけど機会があれば俺はクールガイと戦ってみたい。大会は中断してしまったけれど
俺は新たな決意に心の炎を燃やした。
「あなたの考えている事は分かるけど、下手な事をすると銃殺刑だからやめなさい」
「えー」
アイリから決意に水を差されて心の炎は鎮火させられた。
「いよっ!! お前達の部隊長を務める事になるイェーガーだ。今後は俺の指示に従って様々な任務をこなしていく事になる。よろしくな」
次に指示された部屋で待ち構えていたのは俺達の部隊を指揮する部隊長だった……額から一本の角の生えた巨体のオーガだ。グレーのボディースーツを身に纏っていて、多分体格から見るにゴッツいアーマーを装備しそうな予感がする。
あれ? なんか目が合ったらジッと睨み付けてきた……俺何もしていないよな?
「おう、お前がエイジか? 俺の5年続いた歴代記録を速攻で破った覚醒者って言うのは?」
「え? あの『アトミックランチャー』の?」
これはまさか生意気だからシメられちゃうテンプレの流れか?
「やっぱりそうか!! あのリプレイを見た時は痺れたぜ!! この野郎、よくも俺の記録を抜きやがったな!!」
心配とは余所にイェーガーは笑いながら肩に手を回してグイグイ引き寄せてきた。かなり気さくな人物のようだ。
「いえ、機体の相性でこちらが近接有利だっただけですから」
「普通、あのステージなら遠距離機体の方が有利だってのに、お前はそう取るのか!! こいつはとんでもない大物だな、ガハハハハッ」
「イェーガー隊長、僕はアーサーと申します。これからご指導よろしくお願いします」
突然アーサーが出てきた……多分、自分も隊長に勝ったんだってアピールしたいんだろうな。まぁ、邪魔する理由も無いので好きにさせよう。
「アーサー? おお、お前も俺の記録を破った奴だったな……今期の覚醒者達は期待出来そうだな」
今度はアーサーに肩を回してグイグイ引き寄せている……イェーガーはご機嫌だ。アーサーは自分で前に出ておきながらちょっと嫌そうな顔をしている。
「もちろん5年前より俺は強くなっている。つーか遠距離機体の練習したら歴代一位になっただけで、実際得意なのは『スレイグラップラー』なんだけどな、ガッハッハッハッハッ」
何てこった、本人の見た目通り白兵戦機体が得意なのか……やはり世の中は広いな。でも俺は苦手機体なんて無いから……負けてないから。隊長なら模擬戦とかやってくれるよな?
「あなたの考えている事は分かるけど、着任早々は止めておきなさい」
「えー」
「てーことで、この艦は0時の時点で出航する。明日から実施訓練を行うからスケジュールをしっかり確認しておけよ?
部隊長から挨拶に続き任務や訓練の説明がされ解散となった。支給される装備や備品は確認出来たので、俺はさっそく
「えー? どうしてわざわざ素材なの?」
ただの買い物……しかも面白みも無い素材の買い出しなのに、チームメンバー全員付いてきた。
「もちろんファクトリーのTECを上げるためだ……これは数をこなさないと駄目だからな」
今現在、俺の所持しているファクトリーのランクはDだ。最初から個人で持てる最高のランクのものになっている……これ以上のファクトリーは販売されていない。
ランク自体はGから始まりF→E→D→C→B→Aの順番でレベルが上がって行き、その上にS→SS→SSSと、最高がSSSランクとなっている。
そして初期型の
「うへぇー先が長すぎるな……本当に1年で出来るのか?」
「出来る (ゲームと一緒だったらだけど)」
とにかく俺がまずやるべき事は武器はもちろん、食べ物、日用雑貨。そして物作りだけでは無く、加工、分解などの物を変化させる技術などをまんべんなく上げていく事だ。小さい事からコツコツと……でもその道筋は最短ルートを進んで行く……それがアークキャリバーへの道となるんだ。
「待っていろよ
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ちょっと特徴的な人物が出てきてどこかで見た事がある人がいるかもしれませんが、
ちゃんと許可を得て登場させているので間違っても確認を取らないようお願いします(版権的な問題とかは全くないです)
面白かったら★★★、フォロー、応援、レビューなどなどお願いします……物語を紡ぐ原動力となります。
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