主人公の大学生・三木くんいわく、彼にはアホな友人が二人います。一人は名塩。一人は加西。
しかし、二人のバカな言動や行動に突っ込まずにいられない彼もまた、一人のバカなのです。
これはそんな、三バカの、三バカによる、三バカのための、笑いあり・友情あり・涙あり?なバレンタインの物語。
仮にもレビューなのに、「アホ」とか「バカ」とか書いていいのだろうかと思いつつ、
読んでいただければ分かりますが、本当に面白いです!
コメディって書くのが難しいと思うのですが、二人の会話とそれに対する三木のツッコミのテンポが面白くて。
現実の固有名詞をもじった名称がいくつか出てくるのですが、それも笑えます。特に、どきエモが頭から離れません。
シリーズものですが、この短編からでも十分に楽しめると思います。2万字という文量も気にならず、読んでいるとチョコのように時間が溶けていきます。
バレンタインって甘い恋のお話が定番かもしれませんが、こういうバカなバレンタイン小説が2つくらいあってもいいと思うのです。
2つ?と思ったあなた。
この三バカがバレンタインにバカをやるのは、今回が初めてではありません。この『バレンタイン・レクイエム』の読了後、よろしければそちらもコレクションから読んでみて下さい。
待ちに待った三馬鹿の新作は、ある意味原点回帰ともいえるバレンタイン回です。
けれど彼らはただただ馬鹿だった高校生の時とは違うのです。大学生ですから、学がありますから。なんかもうアカデミックな理論を展開させて、今年こそは、『まるで女っ気ナシの大学生活に終止符をピリオドる』気満々なのです。
名塩(眼鏡)と加西(筋肉)、この二人の馬鹿が考え出した作戦名は『バレンタイン・レクイエム』。彼らは本気です。バレンタインを真っ赤に染め上げる気でいるのです。己らの返り血で。
そこからさらに小難しい理論を振りかざして、意気揚々とバレンタインへと向かうのですが――?!
もう、安定の馬鹿。
三木君へのエールが止まりませんて。
ただこのまとも枠の三木君も今回はちょっとヤバいところに足を突っ込んでます。一部の方々から熱狂的な支持を受けつつありますね、これは。
一瞬、『青春』『友情』『同じ穴の狢』などなど、そんな風が吹き荒れましたが、やはり最後は安定の馬鹿。
今年もこの三馬鹿を見守っていきたい所存です。
薮坂さん、イベントの度に奮起する彼らをぜひまた今後もよろしくお願いいたします!