第7話 捜査

 次の場面では、もう警察が来て、その浜辺を捜索していた。

 そうだ。あのグラスには、たしか、あのガラクの特産品のガラス玉がしずめてあった。

 警察が海の底をさらうと、あのガラクのガラス玉がたくさん出て来た。

 若い女性の警官が、信じられない、という顔をして、ガラス玉がたくさん入ったを上官に見せている。

 青いの、黄色いの、オレンジ色の……赤いのもあるかな?

 どのガラス玉の色もピュアな色だ。

 警察は、若い男が取り落としたグラスの破片を探しているらしい。若い女性警官は、こんなにガラス玉がたくさんあったらグラスの破片なんか見つけられません、と言いたいようだ。

 でもグラスの破片は見つかるだろう。ガラス玉とは形が違うのだから。

 しかしその青い飲み物は海の水に流れてしまった。もし毒が入っていたとしても、そんなものは出て来ない。その破片か、このあたりの海水かを超微量分析とかいうものにかければ、あるいは何か見つかるかも知れない。海の水に洗われていても指紋だって見つかるかも知れないが。

 それでも、あの女が毒を盛った、という決定的な証拠にはならないだろう。毒は他のだれかが入れて、女はそれを知らなかったのかも知れないし、たまたま女の飲み物を飲んだときに症状が出ただけで、先に毒を盛られていたのかも知れない。

 あとは毒物の入手経路みたいな話になるのだろうけど。

 でも、女がつかまることはないだろう。

 また、つかまってほしいとも思わなかった。

 海のかすかな青を白いほほに宿している女は、とても自然に、美しく笑っていた。

 あのグラスにしずめてあったガラクのガラス玉は、ピュアな青色だったかな?

 もしガラスのなかに入っているのが液体で、その美しい液体が毒だったとしても、分厚いガラスを通して液体が外に出て来ることはあり得ない。

 毒ではない。

 あのピュアな美しい青色が、男の体質や気質に合わなかった。

 それだけのことだ。

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