◇俺、頼まれる

――西暦201X+1年。


それなりに大変で、それなりに楽しく、

それなりにサボり、そんな毎日。


俺は無難に大学に通い、2年生になった。


平穏な毎日……でも最近、少しだけ、ほんの少しだけ、違和感がある。


なーんだか、言葉にするのは難しいのだが、なんとなーく寂しい、そんな感覚。気が付くと、いつの間にか一人ぼっちになっている。


あれ?これは、もしかして、早めの五月病だろうか?四月病?


そんなある日、

だいぶ前に仲良くなった、駅前のおしゃれなカフェで働いている友人の知人、岬くん。


そんな岬くんから、連絡があった。


……遊びの誘いかな、なんて軽く考えていたら

その真逆……とんでもない話だった。


なんと……岬くんは、危機に陥っていた。

ずっと怪しい女に付きまとわれていて、ついには手紙で呼び出されたのだとか。


それって、警察の出番じゃないのかい?と、俺も答えたのだが、相手の女は同年代で普段は大人しい子だから、大事にはしたくないとのこと。


優しい岬君らしい、判断だ。


そして、彼の代わりとして、この俺に様子を見に行って欲しいと、懇願された。


「無理を承知で言うんだけど、どうしても 恐怖に勝てないんだ、頼むよ」


その声は、まさに懇願だった……。


俺は悩んだあげく、了解した。


――駅前のカフェ

そして、今……。

待ち合わせ場所で待っている、今……、


「やっちまった……」


俺は……とんでもない頼みを受けてしまったと後悔していた。


冷静に考えれば……なんだよ、手紙で呼び出すって、しかも代わりに様子を見る……というより、これでは身代わりだ。待ち合わせ場所は岬くんが働いているカフェで、指定された席に座っているのが俺だ。


これだと……相手が危険なヤツであればあるほど、俺も危険じゃないか……待っているのが岬くんでは無いと分かったら、相手は激高するかもしれない……うわぁ、どうしよう。


……。


……?



……いや、いやいやいやいや違う違う、違うぞ!!

他でもない、あの岬くんから頼まれたことだ。彼は友人の知人だぞ!

これは……頑張らねばならない。俺が自ら、ストーカーを撃退しなければ!

……とさえ思うぞ!


しかし、今日のカフェは客が少ないな……あれ?というか、俺しか、いないな……。

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