どの様な位置付けの作品なのか

北方先生の略歴です。



大学卒業後、約10年間、純文学作家として

肉体労働をしながら執筆活動を続けるも

デビューには至らず。


路線変更し、

エンターテイメント小説を書いたところ

それが、出版社で好評を受け

『弔鐘はるかなり』(1981)で作家デビューします。


第2作目が『 逃がれの街 』(1982)。


第3作目の『 眠りなき夜 』(1982)が

第4回 吉川英治文学新人賞、

第1回 日本冒険小説協会大賞を受賞し

一躍、人気作家となります。



その後、年間10作!という超ハイペースで

作品を作り続け

日本のハードボイルドを代表する作家となりました。


90年代より歴史小説に路線変更し

『三国志』『水滸伝』『チンギス記』など

ヒット作を作りながら、今も活動中です。




私の印象では、第3作目の『 眠りなき夜 』で

北方スタイルの文体が確立され、

以降の作品に繋がるように感じました。



デビュー作『 弔鐘はるかなり 』は

また違う意味で異色作です。


舞台は横浜。警察を追われた主人公。

4年前の事件。警察との軋轢、暴力団同士の抗争、鍵となる男。


揃いすぎてるくらい、揃った設定。

手垢が付きまくったハードボイルド小説のプロット。

デビュー作だからこそ、あえて手垢の付いた設定の中で

自分の力量を示す、という意図を持って書かれた作品だからです。




そして第2作目として出版された

『 逃がれの街 』。

実は、こちらの方が最初に書いたエンターテイメント小説で

原題は『 ふたりだけの冬 』だったそうです。


この作品が何故、異色作かと言うと、

それは

10年以上、デビューの当てもなく、ひたすら書き続け、腕を磨き続けた

自分という若者の熱量と存在を、全て叩き込んで

作家を辞める覚悟で挑んだ作品だからです。



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