第39話:閑話②
米国が対日戦及び西海岸での戦いを模索している同時期、欧州ではナチスドイツの猛攻による猛威が振るっていた。
完全装備状態の機甲師団は一路奥深く進撃して次々と残存ソ連軍を駆逐していき遂にソ連残存戦力はウラル山脈を越えて東の方に逃走して臨時亡命政権を打ち立てて米国に助けを求めることにする。
ヒトラーは初めて進撃中止を命令して最低限の警戒部隊を置いてその他の部隊は反転してコーカサス地方及び北アフリカを制圧する為に再び進撃命令を下す。
勿論、ヒトラーはその前に、二週間の休息を全軍に与えると共に勲章を授与することは忘れないでいた。
北アフリカ方面には引き続きロンメル大将率いる砂漠のキツネ軍団がコーカサス地方を経由して南下していく。
しかもヒトラーから来年配備予定のパンター重戦車10両がプレゼントされたのである。
ちなみにイタリアもそれに便乗して再びカイロに攻め込むために進軍を再開する。
その最中、大西洋一帯の周囲を警戒飛行していたメッサーシュミット二機が2機の英国軍の大型輸送機を偶然に発見する。
本来ならこの空域はドイツの警戒区域範囲外であったのであるが、このメッサーシュミットのパイロットが未熟であった為、方位を間違えたのであった。
護衛機がついてなく単独二機であっため敵機発見とばかりに撃墜したのであった。
この報告を聞いたドイツ情報部は衝撃を受けて直ぐにヒトラーに伝えられる。
実はこの輸送機には英国王室一家の殆どが乗り込んでいて全員死亡と思われていたが唯一、何かの手違いで次期女王予定のエリザベスのみ、英国本土に残っていた為、生き残ったのである。
ソ連が崩壊した今、ナチスドイツを止められるのが唯一の大国アメリカ合衆国であったがそのアメリカも極東の小国“大日本帝国”によって足元に火が回ってきている状態で欧州派遣軍を本土防衛として帰還命令を出したのでナチスドイツの猛威を防ぐ存在は皆無であった。
そして……英国本土上陸は時間の問題という事は火を見るより明らかだったのでチャーチルは実質上、植民地であるカナダに王室全員を避難させる決断をする。
だが、その情報は暗号解読機エニグマによってドイツに知られてしまい、その報告を受けた者がどう対応をすればいいかヒトラーにお伺いを立てたらヒトラーは知らない振りをしろと厳命すると共にこの指定した空域には一切、入るなとゲーリングに指示する。
ヒトラーの頭の中には利用価値を見出していたのである。
だが、その目論見は見事、失敗してしまいあえなく撃墜されてしまい一時的に避難しようとしたチャーチルも共に大西洋に没したのである。
英国王室唯一のエリザベスが生き残ったことを知った宣伝相ゲッペルスはある事をヒトラーに言う。
「偉大なる総統閣下に我が意見を具申致したく候」
その内容は、エリザベス女史と婚姻を薦めてきたのである。
正統な英国王室の後継者たる彼女と婚姻すれば王室を引き継ぐことになり偉大なるローマ帝国を再現できると共に総統が唱える千年帝国の実現に拍車がかかると。
ゲッペルスの言葉にヒトラーは頷くと直ちにSS特殊部隊をロンドンに送り込むと同時にアシカⅡ作戦を発動する。
♦♦
一方、伊400でも欧州異変の事は伊勢神宮の祭主様から定期的に情報を得ていてそれに関して話題になっていた。
「……ふう、まさかナチスドイツがね? これはどうみてもヒトラーは千年帝国の建国を目論んでいるだろう」
日下は横にいる橋本に言うと彼も頷くがやはりヒトラーは前世を思い出したという事でいいのでしょうか? との質問に日下も頷く。
「まあ、別におかしいことはないだろう。現に石原閣下もあの本土決戦時のことを思い出して今回の布哇占領を思いついたのだから」
その時、通信班の一人がやってきて晴嵐からの報告で後、数時間で上陸作戦を実施することを伝える。
「そうか、だが残念ながら日本軍に手助けができない状況になったからな、全く」
「数々の並行世界を繫ぐ特異点の一つに歪みが発生したとの事ですね?」
「ああ、しかも南極だ。水深6000メートルに沈んでいる元は陸地だった所の特異点がおかしいとのことだ」
この地球上には世界で三つの特異点がありそこは全て数々の並行世界と繋がっているトンネルのようなものである。
伊勢神宮・南極大陸(水深6000メートル地点)・ポタラ宮殿地下の3つである。
「前世と同じくヒトラーは必ず送り込むだろうね? いわゆるシャンバラ伝説を求めて」
日下の言葉に橋本が確かナチスはチベットに調査隊を送り込んだ同時期に伝説の都市“アトランティス”をも探していたのでは? と言うと日下も頷く。
「結局、海の底に潜れる潜水艦を手に入れることが出来なかった為と既に戦局が逆転して防戦一方になり結局は画餅の餅になった」
「ま、変な事が起きないといいですが?」
「……そうだな、とりあえずは南極の特異点に急行しなければいけない! 邪魔が入らないように海底ギリギリで航行するとしよう」
こうして伊400は日本軍の手助けができないまま南極方面へ向かっていく。
但し、晴嵐が何かあった時の保険で上空を飛び回っている。
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