第三話『そこにアイはあるか』 その⑲再会
「くっっさwww 甲本アリサくっさwwww」
「分かってるからいちいち言うなよマリ」
駅の裏道に戻るとマリ、めぐ、そして泣き顔の佐久間がいた。なに泣いてんだお前。
でも、全員揃っていて正直かなり安心した。服は臭いけども。
「おっ帰りアリ先! めっちゃ汚ねーけど何人ぶっ倒したの??」
ほれっとマガジンを投げ捨てると、それを小野田が目を輝かせて拾う。
「これで7つ揃ったー! なんか昔やってたナンチャラボールみたいッスね!!」
「そんないいもんじゃないけどね。で、不動の権田。もうあんたら下っ端のマガジン7つ揃えたんだし、いい加減にそっちの大将の居所教えてくれてもいいんじゃない??」
マリが銃口をおデコにくっ付けながら尋問する。間違いなくこの権田が今日一番の被害者だ。しかし、それでもスマホに文字を打ち込むように指示してもそれを拒否する。こいつも凄い女だな。
「もういいだろ権田。安心しろ、行くのはオレ一人だからさ。撫子対撫子。それだけなら問題ないだろ? これはオレとお前との女と女の約束だ」
口のガムテープを剥がしてやる。百も承知だったけどめっちゃ濡れてる、、
「………ならいいよ。
「「「
本当に目と鼻の先の地下へ続くカラオケ屋。そこのパーティールームに居るそうで、、
その根性にちょっと感動しちゃったじゃねぇか! 小野田も権田にやたらと謝っていた。
「でもよぉ? 甲本、本当に一人で行くのか??」
佐久間の台詞に女四人は露骨に肩を落とした。これだから男はダメだ。あ、イジけた。
「ちゃんと決めてくるから安心しろよ。ま、充電と着替えは済ませるけどさ」
めぐの鞄を見る、と、めぐは真っ青になった。マジゴメンだけどサイズが合うの君しか、、
「やめろ絶対臭い移る!! やめろ絶対臭い移るっ!!」
絶叫するめぐを寝技で抑えつける小野田。例の如く首元を嗅ぎ回ってニンマリしてる。
それを眺めながらめぐの鞄から制服を取り出していると、マリが肩を小突いてきた。
「ねぇ、甲本アリサ。鷹木ヒトミのことで一つ面白い仮説があるんだけど聞きたくない?」
「はは、なんだよその悪い顔。でも今のマリのアドバイスだったらオレも聞きたいけどな」
どこか一皮剥けた雰囲気のマリだ。初めての喧嘩がよっぽど楽しかったらしい。
オレの時は楽しさなんてなかったけど、夜はギンギンに寝れなかったのは覚えてる。
その辺の話も今度してやろう。マリからも部活の話を沢山聞こう。なんかそう思った。
アドバイスを聞き、着替え、充電器できっかり46%にする。準備完了だ。
さぁ、行くぞアリサ。一度負けた相手。それに今だって向こうの方がずっと強い。
けど、だからこそだ。オレは行かなくちゃならないんだ。
弱いオレだからこそ、オレには誰よりもあいつが必要なんだから。
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