第2話
スライム三兄弟
ーーーーー時は中世ーーーーー
勇者を倒して一旗あげたスライム三兄弟だったが、不運なことに大事件の真っ最中だったため、特に注目を浴びることはなかった。もちろんそんなことは梅雨知らず、草原を行軍する三兄弟に迫る影・・・?
わたスラ「くそ、いつまで歩けばいいんだ!」
はるスラ「あてもなく草原を行進するなんて無茶だよ!」
そうスラ「温泉で休憩したいって言ったのはお兄ちゃんたちじゃないかぁぁぁぁ!」
わたスラ「はて、なんのことだかわかりま10(テン)。」
はるスラ「あったかい水に浸かりたいって言っただけじゃないか!」
そうスラ「ご褒美気分になるなぁぁぁ!まだまだ無名なんだから、もっと手柄を・・・」
わたスラ「まあまあ、少し休憩しないと。みんな体力もスタミナもないし。」
そうスラ「チェッ、まあ僕だって疲れ果てているからそれは賛成だけどさ。」
はるスラ「近くの温泉どこぉ〜!?」
わたスラ(お湯じゃなくてあったかい水っていうくせに呼び方は温泉?勉強がなっとらんな。)
そうスラ「ここを抜ければ火山があるはずだから、もう少しだよ!」
わたスラ「火山って、も・し・か・し・て・だけど、あれじゃないよね!?」
わたスラの目線の先には、遥か彼方に見える山があった。いくらなんでも遠すぎる。丸二日はかかるだろう。
そうスラ「うーん、まあ、そうだけど。」
はるスラ「あああああああ!マグマに浸かりてえええええ!」
わたスラ「ふざけるなぁぁぁ!マグマに浸かれるのお前だけだろが!あとなんで赤じゃなくてオレンジなんだよ!色からダサいんだよ!」
ストレスと疲れで、ついに自分の価値観に合わせた見た目の批判が始まってしまった。
はるスラ「なんだとぉこのやろぉ!お前こそ何プラチナとかゴールデンじゃなくて鋼鉄なんだよ!色々だせーんだよ!」
そうスラ「いやいや、どっちもどっちだからね!?」
わたスラ「あ?なんだこの自己中利己的私利私欲行動ナルシスト野郎が。勝負すっか?お?お?」
はるスラ「あれ?なんか見られてない?」
そうスラ「は、気配!」
わたスラ「え?そんなもの1mmも感じないけど・・・。」
はるスラ「バカだもんね。」
わたスラ「あ、確かになんかみられてる感じが・・・!するかも。」
そうスラ「くそ、新生魔王軍の連中かもしれない!」
わたスラ「新生魔王軍って何だよ!」
はるスラ「新生(笑)・・・。」
そうスラ「ええ・・・。人間だけが敵のように思ってたの!?」
わたスラ「毎回解説頼むのすまんけど、ちょっと解説してくれない?」
はるスラ「聞いたこともねぇよ!」
そうスラ「分かったよ。ええと、まず、新生とは言ってもできてから百年は経ってるんだよ。魔王二世が生まれたタイミングでできた派閥なんだ。魔王不在の間、魔王軍の権力を牛耳っていた奴らなんだ。」
わたスラ「奴「等」?」
そうスラ「うん、初代魔王がいた時、一応魔王軍の幹部だったんだけど、魔王の座を狙ってたんだ。でも力が魔王に及ばないから、同志を集めて、全員で会議して決める方針で行ってたんだ。ところが、魔王が死んだんだ。勇者ももちろん死んだわけで、魔王軍の内部はてんやわんやで大混乱。その隙をついて魔王軍の元トップ『魔王代理』に、新生魔王軍を最初に開いた『ファヴニール』が務めたんだ。で、魔王二世誕生でトップから滑り落ちたから、新生魔王軍を全員でひらき、魔王軍から去ったってわけ。」
はるスラ「魔王『代理』w」
わたスラ「魔王『代理』(笑)」
そうスラ「分かったかな?諸君。」
はるスラ「ん?要するにせこい奴らってことでしょ?」
わたスラ「そうたよりよっぽど自己中利己的私利私欲衝動行動嘘つき詐欺師イカサマ野郎てこと?」
そうスラ「いや僕は嘘つき詐欺師イカサマ野郎でもないし、謎にナルシスト抜けてるのはなに?」
はるスラ「え?だから、人間達と戦う前にまずはこのクソカス野郎どもを潰さないといけないってこと?」
そうスラ「そういうことだね。代理(笑)とはいえ魔王に上り詰めたんだから当然強大だ。新生魔王軍を倒したところで人間達も強くなってきている。さてどーする?」
はるスラ「しれた〜こと〜。」
わたスラ「俺たちが新生魔王軍または人間達を倒し、十二将達が残った方との戦いに集中できるようにする!」
そうスラ「その通り!人間軍では兵器とかなんちゃらとかが発明されているらしいから、急いでどちらかを倒す必要があるんだ!」
???「おいお前ら、長話すぎるぞ!」
わたスラ「な、なんだお前はぁ!」
???「俺は魔王軍偵察の、あ、新生ではないぞ!『ペリカンバード』だぁ!」
はるスラ「なぜペリカンにバード?」
ペリカンバード「魔王様がお前らに健闘に、勲章をくださった!!!!」
一同「うおおおおおおおおお〜!!!!!」
ペリカンバード「ほれ。」
そう言って、一通の手紙を差し出し、ペリカンバードは飛んで行ってしまった。
そうスラ「さっきの気配はこいつだったのね・・・。」
はるスラ「そんなこといいから、早く手紙開けようze〜!」
わたスラ「ドキドキ。」
はるスラ「ワクワク。」
わたスラ「ドキドキドキ。」
はるスラ「ワクワクワク。」
そうスラ「演出はどうでもいいから、早く開けてよ!」
手紙を開けると、デカデカと殴り書き文字が書いてあった。
わたスラ「なになに!?『頑張ったで賞受賞おめでとう。次回も頑張ってくれたまえ。報酬のカツサンドだ。ダジャレだからな。』だと?」
そうスラ「頑張ったで賞(笑)」
はるスラ「うおおおお!そこらへんの小学生が考えたような名前と報酬じゃないかぁ!」
わたスラ「じゃあ、報酬のカツサンドはみんなで食べるか。」
???「ちょっと待った〜!」
草がガサガサと動き、まるで某国民的モンスターゲームのように何かが飛び出してきた。
はるスラ「な、なんだお前は〜!」
そうスラ「ペリカンバードに勇者に、今日はろくなのにあってないな。」
???「カツサンドを置いていけ〜」
わたスラ「名前くらい名乗れや!」
しかし、風貌を見ればすぐにわかる。これはあれだ。凶暴なウサギだ。
はるスラ「あっおま・・・。いつも俺たちをいじめてたクソウサギ!」
???「ちが〜う!俺の名前はバカウサギだ!」
わたスラ「変わんねえだろぉ・・・。」
バカウサギ「俺も親には相当ムカついているんだ!てかカツサンドよこせ!」
そうスラ「まあまあ、ここは落ち着いて。」
バカウサギ「ウルセェぇぇ〜!!!!いじめられたいか!」
はるスラ「いやそのセリフはごろつきだよォ。小物だよ。」
バカウサギ「おら。噛み付くぞ?体当たりするぞ?蹴るぞ?」
わたスラ「ふ。前の俺たちと思ったら大違いだぜ!」
そうスラ「いじめとは言っても、おにぎりと柿の種を交換させられた(強制)くらいだったような。」
はるスラ「違うんだ!その後地面に植えて木が生えてできた柿を、こいつは食ったんだ!」
わたスラ「まあ、渋柿だったし毒味してくれて良かったけど。」
そうスラ(そもそもウサギが木を登るのが謎なんだよなぁ〜。)
わたスラ「そして八つ当たりにいじめもしてきたんだぜ!まじふざけんな!」
バカウサギ「ほら、よこせよ。お金ならやるからよ。」
わたスラ「何?貴様、魔王様の頑張ったで賞カツサンドが金で買えるとでも?」
バカウサギ「魔王だとおおおお!?俺様は昨日新生魔王軍の偵察係に入ったんだ!」
そうスラ「いや底辺じゃんw」
はるスラ「重要っちゃ重要かなぁ・・・?」
バカウサギ「おらぁ〜!ぶっ殺してやる〜!」
わたスラ「お前みたいな底辺にぶっ殺されるほど弱かないわ〜!」
わたスラの強烈なタックル!バカウサギは一撃で伸びてしまった。しかしその直後、また変なウサギが現れた!
???「君たちぃ〜、ちょ〜っと待ちなさ〜い。」
耳になんかつけてて、そこから音楽が流れている。人間達から盗んできたのだろう。そして耳にはA、Bの文字、服にはC、Dの文字が。
???「俺はこの音楽を聴いてテンションを上げて敵を倒す、ABCDウサギだ!」
わたスラ「しょうもねぇ・・・。」
ABCDウサギ「俺は、4級偵察部隊に昇級したのだ!」
はるスラ「底辺であることに変わりはないウサギ族であった。」
そうスラ「・・・・・・。異議なし。」
ABCDウサギ「許さん!くらえ!A〜B〜C〜D〜E〜F〜G〜!」
わたスラ「違うな、お前はソングを間違えている!」
ABCDウサギ「何ぃ!?」
わたスラ「ABCDいいえ藤井、だ!」
はるスラ「いや何言っとんねん!」
そうスラ「なるほど、確かに一応ソングにはなっている!!」
ABCDウサギ「いい加減にしろ〜!くらえウサギドロップキック!」
はるスラ「マグマアタック!」
ABCDウサギ「うわー!服が燃える!」
わたスラ「ソングを間違っているウサギ如きが叶うわけないだろう!」
はるスラ(いや、間違ってんのはお前だろが・・・)
ABCDウサギ「あ、兄貴、後は頼みましたぜ!」
そうスラ「これはRPGでよくある、ボス戦か!?」
???「よぉ、舎弟が世話になったな。」
なんと木の上から、ものすごーく巨漢なデブウサギが降ってきた。
わたスラ「もう完全な不良じゃん・・・。」
???「俺の名は聞いて驚けザ・デブーだ!」
はるスラ「ウサギってろくな名前のやつがいないな・・・。」
ザ・デブー「俺は、新生魔王軍の偵察隊第15陣の隊長なのだ!」
そうスラ「何も威張れることないじゃん。」
ザ・デブー「まあいい、お前らは魔王軍如きには言っているという話だから・・・。」
わたスラ「む?」
ザ・デブー「粛清してや
はるスラ「テメェこそ新生魔王軍如きだろうガァぁぁぁぁ!!!!!!」
そうスラ「ボス声ちっさ。」
ザ・デブー「ヒエエエエ〜。」
わたスラ「ボスが気合いで圧倒されてどうすんねん。」
はるスラ「ふう、久しぶりに大きい声出したぜ」
そうスラ「みんな、横飛びだ!」
そうスラは、地面に映ったデブウサギの影を発見したのだ。
ザ・デブー「ち、避けられたか・・・。」
わたスラ「メタルタックル!」
ザ・デブー「いてええええええええ!しかし耐える!」
はるスラ「うーむ、魔法力が足りなくてマグマアタックが出せないから、高温で倒すぞ!」
ザ・デブー「あちいいいいいいいい!だが耐える!」
わたスラ「すごい我慢強さだなぁ・・・。」
ザ・デブー「これが俺の能力、「我慢」だ。」
その時、そうスラが後ろから毒針を突き刺した。
ザ・デブー「しかし耐え・・・。な、体が動かん!」
そうスラ「相性的に、麻痺毒にしといたのだ。さて、どうするか。」
はるスラ「俺たちは、」
わたスラ「答えは一つ!」
そうスラ「マグマでもや
はる、わたスラ「おーい、ペリカンバーーーーーーーーード!」
ペリカンバード「うるせええええ!どんだけ大声で呼ぶんだ!」
案の定、偵察部隊のトップ、ペリカンバードが降りてきた。
そうスラ「こいつは第15隊偵察隊の隊長だ。魔王軍本部で処分してくれ。」
ペリカンバード「へえ、なかなか貢献してるじゃないか。まあ、運んでやるよ。」
はるスラ「デブだから落とさないように気をつけてね!」
ペリカンバード「魔王様には一応報告しとくから!」
わたスラ「大袈裟に言えよ〜!」
ペリカンバード「いやだよ〜!」
ペリカンバードは、どこかへ飛んでいった。嵐の中に入っていったのは、魔王城の場所がバレないため・・・、だろう。偵察隊のエリートだから、ミスとは考えたくないものだ。
そうスラ「あ、温泉あったよ!」
はるスラ「あれ?火山は全然まだじゃん。」
そうスラ「冗談じゃないよ!これ以上火山に近づいたら暑くて死んじゃうよ!」
わたスラ「いや、一名は無事だろ。」
はるスラ「能力強化のためにも俺だけ行ってきていい!?」
そうスラ「温泉に浸かってからね!」
どーんとでかい看板に、『火山前 とっても極楽温泉東』とある。『魔王軍は割引』とも書いてある。おそらく、魔王軍の誰かが経営しているのだろう。
店主「どうも〜。」
わたスラ「お値段は?」
そうスラ「僕たち、魔王軍なんだけど。」
はるスラ「さっき偵察隊長ぶっ倒してきたよ!」
店主「じゃあ、9割引だね!」
わたスラ「どれくらい?」
店主「まあ、3コインってとこだね!」
わたスラ「あれ?全財産消えね?」
はるスラ「宿屋代は?」
店主「魔王軍だから温泉代に込みで入ってるよ!」
そうスラ「よかった、ぎりぎりはらえた。」
そして、早速念願の温泉へダーイブ!二階は寝室になっているらしい。
はるスラ「あ〜、極楽極楽。」
そうスラ「極楽〜。」
わたスラ「リラックスできるなあ。」
ー十分後ー
そうスラ「さ、また旅に出るよ!」
わたスラ「ええええ〜?一晩泊まってこうよぉ〜。」
はるスラ「そうだよぉ〜。」
そうスラ「分かったわかった!わかったからネチネチするな!」
早速、二階の寝室へ行く。三人部屋に入ると、結構広くて、便所と、布団が三つあった。
はるスラ「そういえば、今どこへ向かってるの?」
そうスラ「アプババブラ密林に向かってるよ。僕らの戦力アップが狙えるからね!」
わたスラ「後は何かある?」
そうスラ「実は、アプババブラ密林は、新生魔王軍の幹部がいるらしいんだ。」
はるスラ「と、いうことは〜?」
わたスラ「戦力アップもして幹部をぶっ倒そうって魂胆か!」
そうスラ「そゆこと!」
はるスラ「明日は大仕事になるかもなぁ〜。」
わたスラ「え?吸収の時間じゃないの?」
そうスラ「いや、一度吸収した物質は、格段に吸収が速いんだよ。」
はるスラ「よし、大暴れするぞ〜!」
わたスラ「一旗あげるんだ〜!」
そうスラ「頑張ったで賞なんて適当な勲章じゃなくて、もっと正式なのをもらうんだ〜!」
一同「お〜!」
わたスラ「おやすみ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます