第二十八話 作戦会議③
「エロよ。澪は超初心だから、ちょっとしたエロでも毛嫌いするわ」
と、そんなことを言ってくる真冬。
意外すぎる……と言っては失礼かもしれない。
だがそれでも。
「意外だ。あれだけ積極的なのに、そういう方面が苦手なんて」
「なんというか、あの子は理想が高いのよ」
と、陸の言葉に対して言ってくる真冬。
彼女はそのまま、彼への言葉を続けてくる。
「澪は昔から『漫画のヒロイン』に憧れているのよ。だから、王子様のような男性に惹かれる傾向があるわ」
「お、王子様……不良から澪を助けたりしたけど、それが琴線に触れたのかな」
「まぁそれでしょうね。理由はともかく、あなたは澪からしてみれば王子様なのよ」
「う、うんむ」
「そして、澪の中の王子様は王子様なのよ」
「つまり……どういうことだ?」
「王子様はエロいことに興味もないし、エロいことをしようともしてこないわ!」
「っ!!」
たしかに。
少女漫画の王子様が『俺、エロいの大好き! パンツパンツ! うひょおおお!』とか言ってたら嫌だ。
なるほどわかってきた。
澪に嫌われるには要するに。
「俺がエロいことに興味ありまくる変態ってロールプレイすればいいんだな!?」
「そういうことよ」
パチンっと、指を鳴らしながら陸の言葉に返してくる真冬。
陸はそんな彼女へと言う。
「でも、澪にエロいことするのはなんか違う気がする。嫌われるためにそんなことをすれば、澪を傷つけることに——」
「澪にしなくてもいいじゃない。そういうことに興味がありますって、そんなアピールをすればいいのよ」
「た、例えば?」
「例えば……そうね。なるべくいかがわしいフィギュアを一緒に見に行って、そのフィギュアのエッチなところをなるべく気持ち悪く超早口で解説するとか」
「て、天才か!?」
「ふふっ、それほどでもないわ」
と、自らの髪をふぁさっと手で払う真冬。
美少女だけあって、その様は相当美しい。
さすが陸と同様の存在だ。
などなど。
それからも、陸と真冬はあーだのこーだのと、細かいプランについてお互い話し合った。
結果はかなり上々。
(これならなんとかなるかもしれない。やっぱり二人で話し合うと、考えの幅が広がるな)
陸としてはもう少し話し合っていたいところだ。
だがしかし、外からは夕陽が差し込み始めている。
(そろそろいい時間だな。あんまり真冬を長居させると、奈々と対面しちゃうかもしれないし)
そうなったらもともこもない。
もっとも、いつもの奈々傾向からして、この時間帯は友達と教室で駄弁ったり遊んだりしている。
まぁ心配はないに違いない。
などなど。
陸がそんなことを考えたまさにその瞬間。
「ただいまぁ」
と、聞こえてくる少女の声。
間違いない。
(なっ!? どうして奈々がこんなに早く……っ)
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