第二十七話 作戦会議②

「ひょっとしてこれ、俺が澪に……真冬が奈々に嫌らわれれば、すぐに解決する話なんじゃないか?」


「っ!」


 と、驚いた様子の真冬。

 彼女はそのままの様子で、陸へと言葉を続けてくる。


「あなた……天才?」


「ただ問題もあるけどな。嫌われるといっても、相手を傷つけないように嫌われないと」


「そうね。性格が悪いと自負している私でも、私を好いてくれている人を傷つけるのはさすがに……えぇ、気が引けるわ」


「というわけで、今から『相手を傷つけないように、いかにして嫌われるか』について話し合いたいと思うんだが、それでいいか?」


「ええ、異論ないわ。奈々も澪も、嫌いな相手には告白しない。それすなわち、私達の心臓は爆発しないということですもの」


 すごい。

 二人で話し合って、少しもしない間にこんな簡単な解決法が見つかった。


 いける。


 これなら死に戻りしなくてすむ。

 告白されると爆発してしまう故、彼女作れない問題は痛いが。


(今はとりあえず死なないことを優先だ)


 どうして告白されると爆発するのか。

 どうして死ぬと死に戻りするのか。

 それらは本当に神によるものなのか。


 そういうのは後から考えればいい。

 

 などなど。

 陸がそんなことを考えていると。


「それで? 奈々にどうやって嫌われればいいのかしら?」


 と、そんなことを言ってくる真冬。

 なるほど。


 うん。


 やばい。

 奈々に嫌われるのってどうすればいいんだ。

 順当に考えると。


「価値観の相違とか?」


「それはつまり、奈々が考えられないものを趣味にしたり愛好したりということ?」


 と、陸の言葉に対しそんなことを言ってくる真冬。

 彼はそんな彼女へと言う。


「そういうこと。あまりにもお互いの価値観が違ったら、付き合ってるビジョンが見えないんじゃないかな?」


「結果的に告白自体してこない?」


「そういうこと」


「なるほど、たしかに理想的な嫌われ方だわ」


 さて。

 となると、陸が真冬に教えるべきことは一つだ。

 と、陸はそんなことを考えた後、真冬へと言う。


「ありにたりなんだけど、奈々は虫が嫌いなんだ」


「虫の中でも何が嫌いとかはあるのかしら?」


「蜘蛛。奈々は蜘蛛を見るとパニックだよ。だから、真冬の趣味は『蜘蛛を飼うこと』。それで夢は『彼女と昆虫博物館に行くこと』とでも言えば、そうそう告白してこないんじゃないか?」


「もちろん細かいプランは必要だけどな。まぁ、それはおいおい話そう。俺としてはここいらで、澪から嫌われる方法を教えてほしいんだが」


「ええそうね、そうでないとフェアじゃないわ」


 と、そんなことを言ってくる真冬。

 彼女は人差し指を立てた後、陸へと言葉を続けてくるのだった。


「エロよ。澪は超初心だから、ちょっとしたエロでも毛嫌いするわ」

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