第十八話 もう一人のタイムリーパー②
「今日話したい本題というのは他でもないわ。奈々をどうにかするのを手伝って欲しいの」
と、そんなことを言ってくる真冬。
彼女はそのまま言葉を続けてくる。
「代わりに、私はあなたに今後降りかかる『告白』という名の災厄から逃れる手伝いをしてあげるわ」
悪くない話だ。
というか、かなり助かる。
陸だって現在、いつ澪に告白されるかわからない状況なのだ。
(澪を全く傷つけることなく、俺への好意を断ち切らせるのには、真冬に協力してもらった方が確実にいい)
傷つけてもいいなら、いくらでも好意を断ち切らせる方法はある。
だけど、そんなのはイケメンのやり方ではない。
「あぁ、それとあなた……澪に付き纏われているでしょ? あいつ、相当やばいから注意した方がいいわよ」
「ふーん……って、え?」
と、陸はなんとなく聞き流した真冬の言葉に、思わずそんな反応をする。
理由はもちろん。
「澪の何がやばいの?」
「澪とは幼馴染で、ずっと親友だったから知っているのだけれど。彼女はその、幼稚園の時にちょっと……ね」
「な、何かあったの?」
「詳しくはわからないのだけれど。澪の奴、幼稚園の先生のことを好きになったのよ」
「よくあることだよな、その年齢には」
「その先生、二日で幼稚園を辞めたわ」
「え」
「しかも噂だと、その数日後に精神病院に入院したらしいわ」
「……」
なるほど。
とりあえず聞かなかったことにしよう。
その方が、陸の精神衛生的にためになる。
そのために話題を変えよう。
「と、ところでさ。俺達ってどうして、イケメンになったりタイムリープできたり、はたまた『告白されたら心臓が爆発』するんだと思う?」
「タイムリープは全く心当たりがないけれど、他二つには心当たりがあるわ」
と、陸の言葉に対して言ってくる真冬。
彼女はそのまま言葉を続けてくる。
「橋で初めて死んだ時……美少女になる直前、私は祈ったわ。『美少女になりたかった。もし美少女になれるのなら、モテまくれるのなら死んだって構わない』とね」
「つまりそれって」
「居るかはわからないけれど、本当に神様が願いを叶えてくれたんじゃないかしら?」
イケメン、美少女になって。
めちゃくちゃモテまくる——そして、それが叶ったら死ぬ。
なるほど。
陸と真冬が死ぬ直前に願った通りだ。
それにしても。
(いやマジかよ神様……『〜できたら死んでもいい』って、たいていは喜びの裏返しというか、本意ではないからな!?)
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