第四話 モテすぎて辛い
陸が何故かイケメン化し、家も豪華になってから数日が経った。
無論、今もその状態は続いている。
そうして現在。
時は平日の昼休み、場所は学校。
陸は昼飯を買うため、購買に向かっている最中なわけだが。
「え、誰あのイケメン…….嘘、めちゃくちゃかっこいい」
「あんた知らないの? 二年の陸先輩よ」
などなど。
そんな声が聞こえてきたり。
「うぅ……陸先輩かっこいい。わたしもファンクラブ入ろうかな
「あたしも! たしか陸先輩のブロマイドもらえるんだよね?」
などなど。
そんな声が聞こえてきたりと。
それはまぁモテモテだった。
イケメン力。
産まれてからずっと負け犬だった陸としては、その言葉を痛感しまくっている現在だ。
マジでイケメンすげぇ。
(今だったら空も飛べる気がする……っ!)
きゃーきゃー。
わーわー。
と、陸への向けられる熱烈な視線と声。
彼がそれを一身に浴びながら、体育館前を横切った。
まさにその時。
「ん?」
なんだか今、すごくトラウマなものが見えた気がした。
間違いない。
(一瞬しか見えなかったけど、あの後ろ姿は俺を虐めてた男子グループだったよな?)
そんな男子グループ数人が、女子生徒一人を体育館裏へと連行していたのだ。
不穏な気配しかしない。
「……」
関わりたくない。
例えイケメンになったとしても、あんな奴らとは絶対に関わりたくない。
怖いのだ。
今も両足がガクガク震えている。
しかし。
(俺はモテるためだけに、イケメンになりたかったわけじゃない)
アニメのイケメン主人公のように、人を助けたかったからだ。
そして、アニメのイケメン主人公はこんな時、震えながら見て見ぬ振りなんてしない。
「……ビビるな、俺」
言って、陸は体育館裏へと足を進めるのだった。
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