第二話 ブサデブはやりなおす

「は……っ!?」


 と、陸は目を開ける。

 すると見えてきたのは、見たこともない天井。


「どこだ、ここ?」


 周囲を見る限り。

 現在、陸がベッドの上に居るのはわかる。

 というか。


「俺って女の子を助けようとして…….それも失敗して死んだはずじゃ」


 ひょっとして、全部夢だったのでは。

 可能性としてはある。


 以前もかなりリアルなイジメの夢を見たことがある。

 でも、もしも本当に夢ならばよかった。


「あの女の子、死んでないってことだもんな」


 本当によかった。

 となれば、現在することは一つだ。

 それすなわち。


「で、結局ここ……どこ?」


 言って、とりあえず陸がベッドから上半身を起こした。

 まさにその時。


 バンッ!


 と、開かれる扉。

 そして、入ってきたのは金髪ツインテール……お胸の発育があまりよろしくない制服少女。


「お兄、朝! いつまで寝てるのよ!!」


 言って、布団を剥ぎとってくる彼女こそは陸の妹——獅童奈々しどうななだ。

 義妹だから当然だが、陸とは段違いで抜群の顔面偏差値だ。


(にもかかわらず、口はともかく態度は俺に優しいんだよな)


 本当に嬉しい限りだ。

 などと、陸がそんなことを考えていると。


「何ボーっとしてるのよ! 今日はあたしが朝ごはん当番だったんだから、冷める前にちゃんと食べてよね!」


 と、そんなことを言ってくる奈々。

 陸はそんな彼女へと言う。


「あ、おう」


「何その返事? とにかく早く起きて! 今日からお兄ちゃん二年生でしょ?」


「……は?」


「あたしも今日から高校生なんだから、しっかりしてよね!」


「いや……ちょっと」


「それじゃ、あたしは先に行ってるからね!」


「あ、ちょ……」


 奈々さん、行ってしまわれた。

 何かおかしい。

 だって今、奈々さんこう言ってなかったか?


 今日から陸が二年生。

 奈々は高校生。


 おかしすぎる。

 なんせ。


「だって俺、この前まで普通に高校二年生だったぞ? まさか時間が巻き戻ったとか……なんて、んなわけないか」


 マジでわけがわからん。

 というか、そもそもこの見慣れない家問題すら解決してない。


「で、なんでその見慣れない家に奈々がいるんだ?」


 まさか陸、頭がおかしくなったのか。

 ここは陸の家なのに、それを認識できなくなったとか。


 やばい。

 なんか怖くなってきた。


「と、とりあえず顔洗ってこよ」


 言って、陸はベッドから降りる。

 そして、部屋の外へと歩きだすのだった。

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