死に戻りしたら美少女達が俺の童貞を狙ってくる件〜しかもヒロインにヤバい奴らが混ざってるなんて聞いてないんですが〜
アカバコウヨウ
第一話 ブサデブはイケメンになりたい
第一話 ブサデブはイケメンになりたい
かわいい女の子と付き合いたい。
かわいい女の子と合体したい。
それこそが高校二年生、
けれど、それはきっと多くの高校生にとっての夢であるに違いない。
だがしかし。
陸にはその夢を叶えることができない確信がある。
さてさて。
時は放課後、学校からの帰り道。
陸はそんなことを考えながら、商店街——店のショーウィンドウに写る制服姿の自分を見る。
するとそこにあるのは。
デブ。
低身長。
若干の若ハゲ。
そしてブサイク。
「はぁ……モテるわけないよなぁ」
と、陸は思わず呟いてしまう。
思い出すのは一年前。
『好きです、付き合ってください』
と、陸が決死の思いで告白した女の子がいた。
そんな彼女の反応はこうだった。
『え、キモ。一回優しくしただけで、何勘違いしてんの?』
おまけに、翌日からそのことをめっちゃネタにされた。
そこからしばらくイジメも止まらなかった。
「今日も隣の席の女の子が落とした消しゴムを拾ったら、めちゃくちゃ悲鳴をあげられたもんな……俺ってバイ菌か何かなのかな」
階段から落ちそうになった女の子を、なんとか助けた時も酷かった。
「なんか知らないけど、ビンタされた後に先生に『陸くんに襲われた』とか言ってたからな」
あの時は確か、一ヶ月くらい停学にされた。
思い出すとため息しか出ない。
「いったいどうして、容姿だけでこんなに差別されるんだろう」
ブサイクだとそんなに悪いのか。
まるで犯罪者のように扱われる理由がわからない。
「って、こんなところで考えていても時間の無駄か」
と、陸はそんなことを考えたのち、再び帰り道を歩きだす。
テクテク。
トボトボ。
我ながら負け犬感全開のオーラで、ちょうど橋に差し掛かった。
まさにその時。
ドボンッ!
と、聞こえてくる水音。
それも何か重いものが水に落ちたような。
「……まさか」
と、陸は橋から下の川を覗く。
する見えてきたのは。
「っ、女の子!?」
っていうかこれ、自殺じゃないか?
なんせよく見ると、橋に綺麗に靴が並べられている。
「とりあえず警察に……いや、間に合わない!」
陸は鞄をその辺に放り投げ、自らもすぐさま川へと飛び込む。
そして、彼は女の子のところまで泳いで行こうとするが——。
「ごぼ、げほ……っ」
どんどん口の中に水が入ってくる。
それに体が重い。
足もなんだか攣っている気がする。
咄嗟のことでテンパって忘れていた。
服を着たまま川に入るなんて、よくよく考えると自殺行為だ。
それも陸は運動神経絶無なのだから。
(で、でも……あの子は助けない、と)
と、陸は泳ぐとは言えない泳ぎで、なんとか女の子の方へと近づいていく。
そして、彼が女の子の手を掴んだ瞬間。
ついに限界が訪れた。
暗転する視界。
どんどん沈んでいく意識。
死ぬ。
完全に無駄死に。
(助けられ、なかった…….な)
こういう時、イケメンスポーツ万能男子なら、余裕でこの子を助けられたに違いない。
やっぱりブサイクは何をやってもダメだ。
ブサイクな時点で、一生負け犬人生なのだ。
あぁ、できることなら。
(イケメンになってみたかったな、例え死んだっていいから)
女の子にモテモテで。
何をやっても完璧で。
誰でも簡単に助けられる。
(そんなイケメンに、なりたかった……な)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます