六題目「失敗 月 陰謀」

「……あれ、ここはどこだ? なんで何も見えないんだ?」

「すいませんすいません。ちょっと拘束させてもらっていまして」

「誰かいるのか?」

「私は、月からの使者で縺?&縺っていいます」

「……は?」

「えっと、縺?&縺っていいます。……あ、すみません、翻訳機の調子が悪いみたいで、少しお時間をいただけれるとーー」

「そんなのはいいから、早く解放してくれ」

「それはできないんです。すいません」

「なんでだよ!」

「すいませんすいません! 仕事で、人間を捕まえないといけないんです」

「はあ!?」

「本当はしたくないんですけど、これ以上失敗するとクビにされるので」

「そんなの俺には関係ないだろ。早くここから出せ!」

「……あの、どんなに動いても、取れないと思います」

「ーーはあ、はあ、はあ」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫に見えるのか! ……というか、見えないのか」

「いえ、私たち月の使者は、暗闇でも見えるんですよ」

「待て。ということは」

「はい。あなたがパンツだけなのも見えています」

「最悪だ!」

「人間は寝ている時は、パンツだけとは知りませんでした」

「冷静に分析するな! ……俺の人生、こんなことばかりだな」

「気にしなくて構わないですよ。月の使者も似たような格好なので」

「……もしかして、君は下着姿なのか?」

「どちらかといえば、水着に近いと思います」

「君の要求に従うから、水着を見せてくれないか?」

「別に、構いませんが」

「ありがとう! 本当にありがとう!」

「……あれ、このボタンだったっけ? いや、こっちだったかも」

「おい、まだなのか。早く見せてくれ」

「すいません、ちょっとライトをつけるボタンがわからなくて」

「それで、よく地球までこれたな」

「ーーあ、これかな」

『ただいま、緊急降下中。地球へ、不時着します』『ただいま、緊急降下中。地球へ、不時着します』

「なんか、アナウンスが流れてるんだが」

「すいませんすいません。間違って、緊急着陸ボタンを押してしまいました」

「大丈夫なんだろうな?」

「はい、生きては帰れると思います」

「そうじゃなくて、お前の水着姿は見れるんだろうな?」

「……私、この仕事辞めよう」

「おい、聞こえてるのか?」

『緊急着陸しました。安全確認のため、しばらくお待ちください』

「すいませんが、もう一回眠ってください」

「おい、何するんだ、おいーー」




 パンツ一丁の男性が起きると、そこはゴミ袋の上だった。

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