完結編 未来は考え方次第で変えられることもある
「じゃあ皆、手はず通りに、頼む!」
元々の集合時間よりも3時間早い時間に皆を集めた俺は、こう言った。
まず動いたのは俺と堀本さんだ。あの獣が降ってくると考えられる場所の調査及び、写真を撮るためだった。なぜなら堀本さんの装備能力は≪写真内部破壊≫《しゃしんないぶはかい》だからだ。周囲も写真に収め、写真を調査したが、特に不審なものは見当たらなかった。
――早く次に取り掛からなければ。そう思ったその時、空から何かが急降下してきた。ブラックバードだ。もうブラックバードの対処はてきている。「オレンジ」を撃ち込み、急降下で攻撃してきたところを後ろにジャンプする。そこに2.3発拳を入れる。そうすれば倒れて動かなくなり数分後に息の根が止まる。ここで手を抜いてはいけない。あのようなことをおこさないためにも。
次に取り掛かったのは出てくるブラックバードとグレータイガーの殲滅だ。俺以外の≪イレギュラー≫には体力を消耗しないためにも休んでもらっていた。俺たちは1人2体の撃破を目標に、戦い始めた。
グレータイガーは飛びかかってきたところを横になり避け、「白」か「オレンジ」、好きな方を打ち込み、殴る。そうすればすぐに息の根は止まる。
――3時間後
空からはあの獣が落下してきた。俺にとっては因縁の相手だ。
「堀本さん!」
「分かってる!」
堀本さんは持っていた写真に何かを書き込んだ。その瞬間、獣がいた場所の足元が崩れた。これで少しの間時間が稼げる。
「隊長!」
「おう!」
「あいつの攻撃を喰らえば一撃で殺されてしまいます。倒すのではなく、時間を稼ぐことに全力を注いでください!」
今度は獣の落ちた場所の周辺も崩れ、少し広めの穴となった。高さは6メートルほどあるため、登るのは困難だろう。だが≪身体強化≫を使った隊長なら飛び越えるのも容易なだけでなく、落下しても安全だ。そして最後の仕上げだ。
「歌鍋!」
「はい!」
最後を務めるのは歌鍋だ。過鍋の能力≪reader≫なら、少し時間がかかる可能性もあるが、相手を確実に拘束したり、殺したりすることができる。歌鍋は穴の近くに行くと、獣の方を向き、言葉を発し始めた。
「
その瞬間、歌鍋を中心として周囲にとてつもない邪悪な雰囲気が立ち込め始めた。獣も歌鍋の方を向き、腕を伸ばした。
「歌鍋の邪魔をするな!」
隊長がその腕に殴りかかる。獣は怯んだ。そして、歌鍋が言葉を発し終えた。
「
獣は言葉なくその場に倒れ込んだ。歌鍋の≪reader≫により殺されたのだ。肝心の歌鍋は血を吐きながら俺の方へ歩いてきている。「
だが俺たちには最後の仕事が残っていた。
≪door≫を閉じることだ。歌鍋は代償により傷を負っているため、歌鍋を除く39名で行う。≪door≫は両開きの門のような構造になっているため、片側には≪身体強化≫を使った隊長と隊員数名、片側には残りの隊員で≪door≫を押す。
押し始めると、少しずつだが、動いていることが実感できた。
――数分後
「あとひと押しだ!踏ん張れ!」
皆は「うぉぉ」だとか「やー」だとか叫びながら≪door≫に全体重を込める。
そして、≪door≫は閉じた。この瞬間、東京に、日本に、世界に、平和が訪れた。
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