番外編 ハロウィン ハロウィンの仮装はなんだかんだ言って恥ずかしい
――10月31日ハロウィンとなった。この日の東京といえば、仮装した人もしなかった人も楽しく外で遊ぶだろう。俺はその仮装した人の一人だ。今、吸血鬼の仮装をしている。
夜のスクランブル交差点。多くの人が集まっている。だが俺は歌鍋を探し、走りまわっていた。すると後ろから、
「田楽さ〜ん。」
と聞き覚えのある声が聞こえてきた。後ろを振り返ると、そこには……
とても貧相な仮装?をした歌鍋と思われる人物が立っていた。
「お、おい歌鍋その仮装?はなんだ?」
「これですか?仮装ですよ。」
「なんの?」
「幽霊…おばけ?」
まさか自分でもよくわかっていないというのだろうか。この小学生がやりそうなビニール袋らしきものをかぶっているのは。
「なあ…、自分ではその仮装のクオリティどう思ってるんだ?」
「結構上出来なんじゃないかと。あ、田楽さんのも良くできてると思いますよ。」
俺の仮装ができているのは当然だ。数万円て仮装セットなるものを買ったからだ。だがあんな高く見積もって500円の仮装で歌鍋は恥ずかしくないのか?疑問があるが仕方ない。
「とりあえずそのへん歩かないか?」
「いいですよ。」
そこから数分俺たちは他愛のない話をしながら歩いていたが…その先には見覚えのある人影が立っていた。仮装をしているがあの顔は忘れもしない。そうそれは何を隠そう、俺の……
「親父!!??」
「!?」
親父も驚いた様子を見せている。それはそうだ。ハロウィンで仮装していたら同じく仮装した息子に合うだなんて。こんなことはなかなかないたろう。
「親父、なんでここにいるんだよ。」
「あー、あのな、俺だってもう50だがな、たまには若者気分に戻って、楽しく街を歩きたいんだ。」
気持ちはきっと俺も50になればわかるのだろう。だが何よりもイラッと来たのは後ろでクスクスと笑っている歌鍋だ。あとで一発殴ってやりたい。
その後俺と親父、歌鍋で店に入り、数十分話をした。正直言ってつまらなかった。
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