第2話 厳しい妹
練習をサボって私がベッドで寝転んでいると、メグミが部屋に入ってきて、
「アイ~! ピアノの練習は? しなくていいの?」
と言ってくる。
メグミというのは、私の妹のことである。
「やるよ」
と私は返すが、そんな気がないことはメグミにはお見通しのようで、何度も練習を促してくる。
ちなみに、メグミはピアノが弾けない。
三姉妹で、私だけがピアノを習っている。
私のピアノはアップライトピアノだ。
それでも、新品で買ったので、それなりの値段がした。
三姉妹の中で、私にだけ高額なピアノが買い与えられ、習い事の月謝もあるので、親はかなりのお金を私に使っていることになる。
妹には、私にだけ親の期待とお金が注ぎ込まれているように見えるのだろう。
「アイだけピアノ買ってもらってずるい! 買ってもらったんだから、ちゃんと練習しなよ!」
これが妹、メグミの口癖になってしまった。
メグミの言うことは、もっともだ。
私はピアノを買ってもらえて、習い事もさせてもらっているのだ。
親に感謝しないといけない。
そして、親の期待に応えないといけない。
分かってはいるけど、私も人間なので、練習をサボりたいと思うときも正直ある。
メグミは、そんな私の怠け心を見抜く能力に長けていた。
妹に言われて練習を再開するのも癪だけど、言っていることは正論なので、しぶしぶ私は練習に戻る。
こんな毎日だ。
一方、姉であるマナは、私のピアノについては、何も言ってこない。
私がピアノの練習をサボっている時でも、英語の勉強をサボっている時でも、
「やりたくない時にやっても効率悪いよね。ゆっくり休んだ方がいいよ」
と、言ってくれる。
それはそれで、ありがたい気もするけど、英語の勉強もピアノの練習も、やらないと上達しない。
優しければいい、ということでもないような気がしてくる。
私は、メグミからやれやれ言われるのも嫌だし、マナからやらなくてもいいよと言われるのも嫌だと思うようになった。
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