第一章 少年時代
少年の儀
第3話 兄と姉のステータス
「
「だめだ。
夕食のたびに、僕は兄の
「ハル君はもうすぐ10歳の『少年の儀』でしょう?それが終わってから考えれば?」
「うん、
10歳になると『少年の儀』という行事があって、ステータスとスキルを貰える。
「
「ああ、いいぞ。いつも言っているが、家族以外には内緒だ」
「うん、誰にも言ってないよ」
▼ステータス
名前
年齢 15歳
職業 冒険者 Dランク
状態 健康 身長170㎝(成長期)
レベル:31
スキル:五段突き、外皮貫通
ギフト:槍術
装備:加護の腕輪(不可視)
加護:主神アルテの加護
兄の
「
「ああ、外皮貫通といって、敵の固さに関係なく体内にダメージを与えられるんだ」
「凄い!」
「だろう?これが手に入ってから人外魔獣もサクサク倒せるようになったんだ」
「無敵?」
「ああ、だけどスキルは魔力を使うから、一日中ずっと使えるわけではないんだ」
「へえ、どんな時に使うの?」
「ボス魔獣とか、鎧を着ている奴だな」
僕は兄から聞く冒険譚が大好物だ。おかずなしでご飯だけを食べられるくらい。
「
「いいけど、昨日と変わっていないわよ」
▼ステータス
名前
年齢 13歳
職業 学生兼冒険者 Eランク
状態 健康 身長156㎝(成長期)
レベル:22
スキル:
ギフト:魔弓術
装備:加護の腕輪(不可視)
加護:主神アルテの加護
「アタシにも見せて」
「いいよ、でも
「アタシもハル兄と冒険者になる」
「はあ?待て待てふたりとも」
義理の妹のさくらは、僕と同じ9歳だ。ちょっと複雑な家庭環境なんだけど。
僕は一人っ子。
食事は、食堂のおばちゃんが作ってくれるんだ。『おばちゃん』て呼ぶと顔をしかめられたから、次の日からお姉さんって呼んだら、ニコニコしていたので、今はそう呼んでいるんだ。別のおばちゃんからは『現金な子ね』と云われた。
現金な子ってなんだろう。
物心ついた時から、僕には六人の親と四人の兄弟姉妹がいたので、一人っ子という自覚は無くて、本当の兄弟姉妹と変わらないと思っている。普通の兄弟姉妹は喧嘩ばかりと友達は言うけど、僕たちは仲良しだ。
ただ、妹のさくらが同じ年なので、事情を知らない人に毎回家族構成を説明するのが面倒。近所の人は知っているけど。ちなみに同じ日に生まれた。僕は朝、さくらは夕方だった。なので、言葉が話せるようになったころには、『ハル兄』とさくらは僕を呼ぶようになった。
「来週、10歳だろう?親父たちが帰って来て、『少年の儀』を受けに行くだろう?」
「うん」
「冒険者になるのは、それから決めろ。無理にダンジョンなんか行かなくてもいいんだぞ?」
「そうよ、戦闘系のスキルがないと、レベルが上がらないから辛いわよ?私の友達も最初はみんなでダンジョンに行ったけど、スキルがない子は怖いからと言ってみんな辞めちゃったんだよ」
何故か兄と姉は僕たちが冒険者になることに積極的ではない。いかに冒険が危険かを教えてくれる。
でも、両親が冒険者、兄と姉が冒険者で、自分も大きく成れば、自然と冒険者の道に進むものだと漠然と思っていたので、今更、他にしたいと思うこともないんだ。ふだん読んでいる本もテレビも、冒険ものばかりだからね。
ただ、
「さくらも、冒険者になりたいの?」
「だって、ハル兄は、アタシが守らないとすぐに死ぬ」
確かにさくらは、僕よりも走るのは早いし頭もいい。なんなら、顔もいい。
僕は平均的な9歳児なのだ。でもスキルがあれば別の話になる、と信じている。
「それに、アタシがパーティ組んであげないと、困るよね?」
「10歳で、ソロでは、ダンジョンに入れないからね」
ソロ活動でダンジョンに入れるのは、レベル20を越えてからと決められているのは僕も知っていた。というか、兄弟でパーティを組んでくれないものだろうか。それを
これは衝撃的な事実を知ってしまった。僕の壮大な計画が崩れてしまった。小説で読んだ寄生プレイとか貴族的レベル上げってやつだ。
「いずれにしても、来週貰えるスキル次第だ」
「うん」
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