19 決戦

 

 創造「おわった? 魔女審査委員会はじめていい? 決戦のバトルフィールド創造してもいい?」


 勝利「お待たせいたしました、どうぞ!」


 創造「ヒャッハー、これから魔女をめぐる戦じゃ! 正々堂々我々を打ちのめすがいい!」


 ボルテージが最高潮を迎えようとしているゼロを横目に、クルリは手を挙げる。


 クル「意義あり」


 勝利「この期に及んでなんですか、トイレでも行きたいの?」


 クル「いえ、違います。この審査委員会に先ほど権限を停止された絶対の魔女が参加する理由は何でしょうか?」


 勝利「…」


 ヴィクトリアはしばし考える。さっき査問委員会で偉そうな顔をして謹慎処分を言い渡したそのすぐ後に、査問委員会の審議をひっくり返すのはそれこそ査問委員会をないがしろにする行為であった。


 勝利「アブソリア、貴方はそこで見ていなさい」


 絶対「はーい、承知いたしましたお師匠様」


 創造「それで、はじめていい?」


 勝利「いいわ」


 創造「ヒャッハー!!! さぁ、小娘。魔女のぉ恐ろぉしさを知るぅがいいぃぃぃ!」


 よもやキャラクター性が見えない創造の魔女であるが、魔女一門のだれもがそこには突っ込みを入れないのである。


 クル「はい、質問です。魔法は使っていいんですね?」


 創造「あぁ、使っていいのは魔法だけじゃ。武具など捨ててかかってこい!」


 クル「わかりました。では参ります!」


 勝利「あなたの得意な打撃武器はないわ、心の衝撃はあなたの口で作りなさい!」


 クル「わかりました、それではお手合わせ願います! 私も手加減はいたしま…」


 と、クルリが言い終わる前に創造の魔女が動き出す。


 創造「アタタタタタタタタァァァァァ!!!!」


 魔法により腕を百本作り出して大量の正拳突きを繰り出してくるのである。


 創造「お前に、逃げ道などない!」


 それに対してクルリはしゃがむくらいまで腰を落とし身をかがめた。


 創造「ガードなんて無駄ぁ、無駄ぁ、無駄ぁ!!!!」


 クルリの頭部に集中してくる百本の腕であるが、ここで創造の魔女に問題が起こる。


 創造「なっ」


 100本の腕にはもちろんお互いに干渉するため、一か所に同時に攻撃を仕掛けると腕同士がぶつかり合い、押し合いへし合いする。そして自分の腕と自分の腕で激突しあって、突き指しまくってしまうのである。


 創造「痛!」


 クル「隙ありです!」


 ゼロの重なる指と指それが輪のように連なるちょうど真ん中に向けてクルリは魔導砲を打ち込む。


 魔導砲は圧縮された空気圧を送り込み、ゼロの脳を震わせた。


 クル「覚悟! ゼロおばあ様の魔法属性を反転します!」


 創造「遠隔反転魔術、完成していたの!」


 そのまま、創造の魔女から生えた百本の腕が消滅する。そして、さっきから無駄に高かったボルテージも消滅する。


 勝利「ちょっとクルリ、師匠はどうなったの?」


 それは、クルリにもわからなかった。ただ、創造の逆とは何かまじめに考えてもよかったが…


 創造「もう、何もやりたくない…」


 と、急にやる気を失った様子を見て察する。


 クル「多分、虚無の魔女とかそんなのじゃないですか?」


 勝利「うん、おとなしくなったのはありがたいけども…なんてひどいことを」


 クル「ほら、私の魔法すごいでしょ。これに免じで私を魔女にしてくれませんか?」


 勝利「いえ、ダメよ。やはり勝利の名を冠する私に勝利してから真の魔女と名乗るべきよ」


 クル「ですよね~」


 勝利「茶番は終わりました。勝利の魔女はここに勝利を誓います。さぁ、どこからでもかかってらっしゃい!」

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