18 重大な罪
「クルリ! これから始めるのは魔女審査委員会よ! アーユーレディ?」
「え、えぇ…」
クルリは練習もままならないまま、審査委員会が突然に始まるかに見えた…。
「いえ、査問は査問で実施ます。結論が分かっていてもやらないと意味がないでしょう!」
ヴィクトリアが慌ててゼロを諫めるのだった。
再び、査問委員会がやってくる。左右に絶対の魔女アブソリアと勝利の魔女ヴィクトリア。そして、中央にはアフロ&グラサン姿のままの創造の魔女ゼロが立っている。
勝利「で、掟を破って魔法を使ったということ?」
一同が怪訝な表情を浮かべる。
クル「人助けですよ? 命助けたんですよ? いいことじゃない!」
絶対「何回も言ってるでしょ! あんたのそういう発言が余計なのよ」
また、クルリは母から説教を受けることになった。長くくどい母の説教。しかも、今度はクルリの痛いところを割と的確に貫き通すように変わる。さっき挑発したのが良くなかったらしい。
絶対「だいたい、魔法がないとあなた何もできないでしょ!」
クル「ぐぬぬ…」
クルリはめっちゃ言い返したかった。できないのは母の遺伝子を受け継いだからであると、大きな声で言いたかった。
絶対「もう、反抗期になったのか本当に可愛げなくなってきて…」
クル「ぐぬぬ…」
絶対「せっかくチャンスあげたのに、その機会を棒に振るなんてありえないわ」
しかし、そのやり取りを見てしばらく黙っていたヴィクトリアが急に口を開き始める。
勝利「クルリ、ひとつ聞いても良いかしら。どうして一般人を助けようと思ったの?」
クル「そりゃ、大変な怪我でしたから助けたんですよ」
勝利「どうして禁忌を破って良いと思ったのです?」
クル「まぁ、母さんの知り合いだったみたいだから」
勝利「最後に、アブソリアから未来のこと聞いたのかしら?」
絶対「フフフ…勘のいいおば様は嫌いですわ」
クル(別に、直接は聞いてないんだけど…)
勝利「つまり、アブソリアは査問委員の立場でありながらクルリに便宜を図ったということですか?」
絶対「そう言うことになりますね…」
クル(わたし、記憶にないんだけど…)
勝利「聞きましたか?」
ゼロの方を振り返るヴィクトリアだったが、ゼロは急に話を振られてポカンしていた。そんな、ゼロににっこり笑いかけて、ヴィクトリアが向き直る。
勝利「まず、クルリの判決を言うわ。あなたは封魔の刻印が施されているにも関わらず掟を破り魔法を使いました。しかし、これは人々の命を救うためにやむなく行ったことであり、あなたの行動は緊急回避要件を満たします。よって本件は不問とし、期日通り本日をもって封魔命令を解除します。異論はありますか?」
クル「異論ありません!」
勝利「それで、アブソリア。貴方は査問委員の立場でありながら、クルリに情報を与え手引して便宜を与えましたね。これは重大な委員規則違反です。よって、アブソリアは今後1年間にわたり委員の権限を取り上げ、謹慎処分といたします。異論はありますか?」
絶対「ありません」
勝利「いやに素直じゃありませんか。これにて査問委員会を閉廷いたします」
クル(査問員が処罰されてる…これ、二回目だ…)
閉廷の声を聴いて、またゼロが活性化し始める。
創造「おわった? 魔女審査委員会はじめていい? 決戦のバトルフィールド創造してもいい?」
勝利「お待たせいたしました、どうぞ!」
創造「ヒャッハー、これから魔女をめぐる戦じゃ! 正々堂々我々を打ちのめすがいい!」
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