☆教えて鳳璃さん! 「民は食を以て天と為す」ってどういう意味?


 ここでちょっとひと息! 番外編を挟みましょう。

 このコーナーでは、物語を読む上で役に立つかもしれない豆知識を紹介していくわ。

 人見知りの作者の代わりに私たちが、ね。

 あ、飛ばさないで読むのをおすすめするわよ。

 中華料理や作品世界に関連する知識を知っていれば、私たちの物語をもっと楽しく読めること間違いなしだから!


 初回はこの私、鳳璃が担当するわ。

 中国のことわざ「民以食为天」――「民は食を以て天と為す」について解説していくわよ。


 『史記』とか『漢書』とか、約二千年前の書物にも記されているこの言葉。

 簡単に訳すと「食事は何よりも大事!」なんだけど、実は一言では言い表せないくらい強い思いを持つ言葉なの。


 民にとって、もっとも大切なことは食べること。

 飢えた民を率いて戦って、お腹いっぱい食べさせることのできる者が天命を得て王になる。

 まだ食べ物が十分に得られなかった昔、何よりも食を重んじる民が生み出した思いそのままね。


 でも、これは民を飢えさせれば国が倒れるっていう意味もある。

 天災や大飢饉ならいざ知らず、民に満足な食べ物を出せない、経世済民のままならない王は必ず滅びの道を歩むことになるってこと。

 それくらい、民にとって食は決して欠かせられない大事なものだったの。


 やがて時代は移り変わって、民は毎日の食事に困ることはなくなったけど、この言葉は今でも日常会話で使われていたりするわ。

 駅やビルに張られる横断幕とか、広告でもたまに見る気がする。


 そういえば、中国人は食でいろいろな縁を結ぶことが多いわね。

 相手と仲良くなりたいときは食事に誘うし、なにか頼みたいことがあるときもごちそうをふるまう。

 意外と食は、生きていく上で必要な営みである他に大切な役割を持っているのかもしれないわ。


 「民は食を以て天と為す」っていうのは、今では食の大切さを一言で表す言葉になっているけど、先人たちのたくさんの思いは、きっとどれほど年月が過ぎても言葉と同じように消えることはないでしょうね。

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