第32話 事の真相

 走ってくる男は2人、手にはピッケルを持っている。

 ん? ピッケル。


 ……あっ、裏路地にいた人か。

 道に迷った時と女の子を探した時に2回ほど会った。

 その人たちがこっちに走ってきて、追いかけられている。

 追いかけているのは魔石を取るとき一緒に護衛をしていた人だ。


「そいつらが町に魔物を引き寄せた!」その言葉を聞いて無視することはできない。


 特に大柄な男に近づく「邪魔だ!」大上段から振るわれるピッケル。

 カンッ、横に避けピッケルは地面を叩いた。


 そのまま流れるように足を蹴る「うっ」バランスを崩した男の体を覆って抑える。

 うっ、抵抗が。

「痛っ、暴れるな」

 じたばたされるせいで、ちょっと不格好かも。


 黒瀬さんはどうなった……あっいた。

 男の腕を後ろにして地面に押さえつけていた。

 俺より上手く拘束してる。


「ああ、ありがとう。とりあえず町まで拘束したままでいてくれ」

 なんとか手伝ってもらって、そのまま俺たちは拘束した男たちと倒れていた人たちを連れて町に帰った。




 町は混乱していた。

 周囲に状況を聞いて回っている人もいれば、何かを叫んでいる人など。

 この感じ、町に魔物が入ってくるのは今までなかったのかもしれない。



 俺と黒瀬さんはとりあえず言う通りに男たちを引き渡した。

 そして今回の騒動について教えてもらった、ただ所々歯切りが悪かったりしたからまだ捜査の段階なんだと思う。




 話を要約すると、引き渡した男たちが魔石を無断で取っているときに魔物を引き寄せたらしい。


 なぜそんなことが分かったのか、壊れた壁の方で監視をしていた人が魔物を引き連れて逃げてくる1人の男を見たからだ。その男っていうのは俺たちがさっき捕まえた男のこと。



 男は爆弾みたいなもので壁の扉を壊して逃走、監視の1人が追ってそれを長に連絡して情報が広まった。



 そしてもう1つ決定的な証拠として、男たちの家(俺が迷ったときと少年を探したときに見たあの建物)に穴があった。

 まるで脱獄でもするんじゃないかという穴で魔物がいる場所に通じていた、つまり魔石が取れるところに繋がっていた。


 どうりであんな威圧的だったわけだ、近づいて欲しくなかったんだ。


 家の穴が分かったのは、魔物が数体町に出現してその出処を探したから。そのせいで大分と混乱したらしい。

 俺と黒瀬さん2人しかいなかったのも、その混乱が関係しているんだろう。


 その穴の先も驚きで、魔物討伐計画のときに大量の魔物がいたところと繋がっていた。


 とまあ、今分かっていることとしてこんな感じ。




 後日、その色々な情報からこんな解答が導き出された。


 魔物討伐計画のときの大量の魔物も男たちが引き連れたもので、地面に落ちていた魔石も男たちが落としたものなんじゃないか。


 そうなってくると男たちがなんでこんなときに魔石を取ったのか推理できる。俺たちが魔物を倒したから穴に入って魔石が取れるようになったんじゃないかということだ。


 推理ではあるが事実なら、町を守るために魔物を倒したはずが、結果的に魔物を引き寄せることなった。


 うーんどうなんだろうか、だとしたら皮肉な話だし俺と秋山さんが原因とまでは言わなくともきっかではあるよな。



 流れとしては、男たちは定期的に魔石を取っていて、ある日魔物を引き寄せ家に作った穴に入ることができなくなった。

 しかしその魔物を俺と秋山さんが見つけ町の人たちで討伐。

 再度、男たちは家にある穴に入って無断で魔石を取ることできるようになった。

 しかしまた魔物に追われ、1人が家の穴に、1人が壁にたどり着いて町に入って魔物を引き連れてきた。


 ということが後日出された解答。

 色々と疑問点はあるが、まだそれほど経ってないからいずれ分かってくるだろう。

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