第18話 ダンジョン攻略その後
ダンジョンから魔道具を取って施設に帰還。
すぐいつもの部屋に入れられぐっすりと寝た。
そして魔道具を手に入れたという成果もあってか休みをもらえ、いつも通り日課の訓練をして部屋で大人しくしていた。
そしてさらに日数は流れ、施設にダンジョン単独踏破を成し遂げた奴がいるという噂が出回った、という話を秋山さんから聞いた。
「単独撃破、いい響きじゃないか上々の成果だ」
「誰から回ったんですかね」
「攻略班あたりだろう。まあ良くも悪くも尾ひれ背びれはついているが」
そう決して事実のみが伝わっているわけじゃない。
分かりやすいところでは、でかい魔物が数体いたのを倒したとかまあ誇大的に、なんでこんな大きくなったのか分からない。
悪いところでは俺の評価を上げるために自作自演で魔道具を置いて攻略班は付き合わされたとかだろうか、良い噂よりこういう噂が出るほうが理解できる。
攻略班にとっては手柄を横取りされたみたいなものだ。
噂を流したのが攻略班かどうかは分からないけど。
「まあそこまで気にする必要はない。噂の程度も低い。真実は僕たちが伝えた」一応俺は秋山さんの管理下にある。
部下とは違うがこっちもこっちで俺のことを良く言う可能性があるから信用に値するかと言われれば微妙だと思う。
秋山さんの護衛として行った人が真実を言ってくれれば信憑性があると思うけどなんて考えていたら「安心しろ。こっちもちゃんと成果がある」
「成果?」
「ああ、真面目で成果を出して敵対しているわけでもない清心君だ。不当な拘束は問題だと言うことになったらしい、近々引っ越しすることになるかもな」
「……そうですか」そこまで進んでいるとは思わなかったが成果を出したおかげか。頑張ったかいはあったかな。
「ちなみに不当だと言っている人は?」
「新しい戦力だと盛り上がっている人たち」
何かに巻き込まれそうな気がするなとちょっと思った。
とそんな感じで俺の評価も上がり? つつあり最初に閉じ込められたときとくらべ比較的良くなり初めたころ。
俺が部屋で休んでいるとき「清心君」聞き慣れない声、だが聞いたことはある声がした。
開かれた扉の方を見る。
前に訓練終わりに会ったことがある。
強い班という印象を持つ渋谷班の班長がいた。
「なんでしょう?」
「とりあえず来てくれ」
秋山さん不在で俺たちは誰もいない会議室みたいなところに入った。
2人で入るには広い部屋だ、6人ぐらいで会議をするような場所なんだろう。
俺は渋谷班長の向かい側の椅子に座った。
「率直に俺の班に入る気はないか」異動の話、いや異動とも違うのか。
なんだろう……勧誘された?
「なぜ俺を?」
「噂は聞いている。なんでも単独でダンジョンから魔道具を取ってきたそうじゃないか、その実力を評価してのことだ」
実力ね。
一夜明けて色々と冷静に考えたけどラッキーな部分が多かったと思う。
偵察班による事前の情報、ダンジョンの深さ、敵の強さ、それに魔道具だって強かった、色々と上手く重なった結果だと思う。
ダンジョンの調査攻略は複数人でするのが決まりと聞いた。
俺の場合はイレギュラーで、単独撃破という見出しだけが独り歩きしている気がする。
それに本当に1人で潜ったわけでもない、確かに戦闘は実質1人だったから嘘とも言えない。
それでも護衛がゴブリンを倒した事実もある、秋山さんを守るためではあったけど。
「悪い話じゃない。前の班よりよほどいいだろう」前の班か。
「……すみません。荷が重いです」言ってから勝手に断って良いのだろうかと思ったがもう遅い。
それに入りたいかと問われれば、絶対とは言えない。
「そうか、また考えてくれ。そう何度も得られるチャンスでもないからな」そうして話は終わり、俺は部屋に戻った。
後日。
「そういえば渋谷班に勧誘されたらしいな」秋山さんを先頭にして歩いていたら話を切り出された。
「よく知ってますね」
「おっと情報源は聞かないでくれよ殺されちゃう」
この人のこの手の言葉はどこまで信用していいのか分からないな。
「そうですか。断ったんですけどよかったんでしょうか?」
「まあいいんじゃないか」適当だな。
まあ俺はあくまで研究対象だからあまり気にならないのかも。
「ところでどこに向かっているんですか?」秋山さんに付いていっているからどこに向かっているのか知らない、聞かされてもない。
「ここで一番偉い人のところだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます