第11話 続けて実験風景
俺は広い空間にいた。
バスケができる広さプラスアルファはあると思う。
そこに俺1人でいる。
秋山さんはいない。
待っていろと言われた、俺の立場的に1人にするわけにはいかないと思うんだけど不用心だな。
そう思うと同時に1人になったぐらいでこんなこと思いたくもなかったという気持ちもある、なんというか監視されていることが普通になりつつある。
よくないな、監視なんてないほうがいい当たり前だ。
うんうんと自己完結をして見渡す。
誰も来ないな、逃げようと思えば逃げれる? なんて思ってしまったがここは施設の中で扉を出ても施設内である、さすがに現実的じゃない。
さてどうするかなんて考えていたら扉が開いた。
誰か来たのかと思い扉の方を向く。
っ! 咄嗟に下がる。
俺がさっきまでいた位置に、別の人間がいた。
その人の右手には剣が握ってある現代じゃなかなか見ることがない武器。
でもそれがどういう物かは知っているつもりだ。
なんでっ! 近づいてくる! 俺は後ろに下がって振るわれる剣を避け続ける。
だめだ、後ろに下がり続けたらいずれ捕まる。
隙きを見て横から抜けようと思い走ったがあっさりと阻まれた。
まずいと思った瞬間には、相手の左拳が俺の腹に迫っていた。
能力を使っていたが、ノーガードで当てられた。衝撃が腹にくる。
ただ動けなくなるほどじゃない吹っ飛んでもいない。
体を動かし反撃に相手の腹に向けて殴り返す。
手応えは良いものじゃなかった「うっ」蹴られ後方に追いやられた。
瞬間、剣が降り掛かる。なんとか後ろに避ける「うっ」胸辺りすれすれに剣先が迫った、避けてそれなりの距離を取った。傷はない、血も出ていない。
そこから俺と襲撃者はしばらくにらみ合いを続け「もう十分だ」聞き覚えのある声で終わった。
目の前にいる人はこっちに何かする感じはなくなったが、念のため距離を取り続ける。
そして「説明してくれますか?」困惑と怒りが混じってるなと自分でも感じる声音で秋山さんに説明を求めた。
「そう怒るな。しっかり説明するから」申し訳なさがあるのかないのか分からないような声で説明を始めた。
「さっきの奇襲も実験だったんだよ。君の本当の能力を知るための咄嗟の状況にどう対応するのかっていう。そもそも僕が考えたわけじゃない」
「誰が考えたんですか?」にしてもやり方が、結構本気で剣を振ってたぞ。
「君が能力を隠しているかもしれないと思っている人たちだよ。そのために奇襲をした、結果として能力を隠してなかった疑惑は晴れた」
なるほど。俺が思ってるより、自分自身が未知として扱われていることが分かってしまった。
「隠している能力っていうのは具体的には何を?」
「そりゃとんでもない能力持ちとか。はたまた火が出せたりとか」
「魔法使いではないですけど」
「可能性の話だ、水を出したらしいしね。さて実験の続きをしよう」
「……分かりました」なんかどっと疲れた。
さっきの戦闘だけで体力を使い尽くした感がある、奇襲されたのが効いてるんだな。その日の実験はあまり身が入らなかった。
ちなみに実験内容は俺がアジト制圧時に拾った短剣を模した物を使って模擬戦闘をした。剣を持っていた人は俺の模擬戦闘相手だった、さっきみたいな戦闘じゃなく致命傷の心配があまりない戦闘。
これが何の役に立つのか俺には分からないが、きっと何かあるんだろうな。そんな実験というより訓練? みたいな日々が続いた。
そして、ある日の朝。
「やったぞ清心君」秋山さんは扉を開けて俺に言った「魔道具の扱いに許可が下りた」あの短剣を触る機会がやってきた。
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