第4話 アジト襲撃
森の捜索を終わらせて大内班長に報告したら、次の任務について聞かされた。
「アジトを襲撃、ずいぶん規模の大きいことをしますね」
「そうだ、目の上のたんこぶである魔暴のアジトを襲撃する。最近、能力者の被害が多い理由にこいつらが関わっている。管理所としても無視できない」
聞いたことがある。あまり俺たちの班が関わることはないが、能力者がいる危険団体、魔暴。規模もそこそこと聞く。
魔暴壊滅は魔法管理所の存在意義とも聞いたことがある。
「私たちの役割は周囲に一般人が来ないかの警備、逃げた魔暴の構成員を捕まえることだ」
「戦闘があるんですね?」
「基本的には周囲の警備が優先される。アジトを直接叩くのは別の班だ、無論用心に越したことはない」
用心はもちろんするが、そもそも戦闘特化じゃない俺たちに下される任務だからな。大した期待はされてないだろう。
「了解しました」そうして俺はアジト攻撃中の警備というやったことがない任務をすることになった。
施設は通常業務と敵アジト制圧の準備を進めていた。規模の大きい作戦を進めようとしても、魔道具や能力者の話が途絶えることはない。
俺たちもそれに対処しながら、時間は進んでいきその日がやってきた。
「暗っ。わざわざ夜にやることかね」
「目に魔力を流すか」
園田はぶつくさと文句を言いながらも目線はしっかりと周囲に向いている。それに暗いと言っても何もしなければの話、能力を使えば……徐々に目の前が見えてきた。能力って便利。
「できなくはないけど疲れるんだよな。清心ほど器用でもないし」
器用だろうか? そう思いながら俺も周囲を見る。
山に囲まれた場所に敵のアジトがある、アジト周辺は寂れていて人が住んでもいない。よくこんな場所にあるアジトを管理所は見つけたな。いや逆に人がいない場所だからこそ見つけたのかもしれない。なんでこんな場所に人が集まっているだと怪しんで。
まあともかく、周囲に人がいないという状況は一般人に能力などを隠す俺たちには嬉しくもある。
ただ近くに人がいないだけで、遠くに民家はある。それにもしかしたら、たまたま誰かがこの付近をうろつく可能性もある。
そのためにアジト周辺の一般人が通れるような道は急遽封鎖している。
俺たちは周囲の森で待機して外から来る人がいないかの警備を任された。
今いるのは道からはちょっと離れた森、もしかしたらを危惧して道付近に警備が置かれている。
アジトを壊滅する班が先に行って、後ろにいる班が護衛というか警備をする。
もちろん時間はかけられないから、これを迅速に行う。
この場を任されているのは大内班長、俺、園田。珍しいことに班長も一緒だった。
「想像してたアジトとは大分違うよな」
「何を想像してたんだ」
「こう廃ビル的な感じなのを想像してたんだよ。まさか木造の民家がアジトで周りが木だらけとは」園田は奥にあるアジトを直接見てないけど、事前の作戦会議で知らされている。
「使われてない建物をそのまま使ったのかな。人通りの多い場所にあるより、バレにくいからいいと思うけど」場所によっては誰にも見られずに制圧するのは難しくなる
その点、ここだったら人気も少ない。わざわざ深夜にこの辺りをうろつく人もいないだろうし、多少騒音があっても誰も見ていなければ管理所はどうとでもするだろう。あとは俺たちが一般人の侵入を防げればそれでいい。
しかしかなり急ピッチでここまできた、たぶんもう少しで始まる。そんなことを思っていたら。
「清心、園田。始まったぞ」班長がそう言った。何が始まったかは聞くまでもない。
「なんかあまり始まった感はないな」
園田の言う通り、今いる場所が静かだからかより始まった感じはしない。
「誰も来なければそれでいい。いつの間にか終わっているならそれで」
「そうですね」大内班長の言う通り、何もなく終わればそれが一番だ。
数分が経った。
遠くから足音が聞こえきた、方向からアジト側か。警棒を手に取り、アジトがある方向に体の向きを変える。
見えてきたのはふらふらになった人、一般人か魔暴の構成員か。
「拘束するぞ」
「了解」
アジト側から来たんだ、どっちにしろ拘束対象。
ふらふらになった人を拘束、というか近づいたときにほとんど気絶していた。
とりあえず木に寄りかからせる。この様子だとしばらく起きてはこないだろう。この感じアジトから命からがら逃げてきたんだろうか、だとしたら決着も近いかもしれない。
「班長、人影が」今度は園田が声を上げた。アジト側からまた人が来ている。またかと思い警棒を握り直すが「5人」多いな。その5人には傷があり戦闘をしたんだと分かる。
「対処するぞ」
「はい」
俺たちは向かってくる相手を対処したが2人逃した。
強くはなかったけど、1人相手しているときに逃げられた。
あの感じ能力者なのは間違いない、能力使って逃げられたらさすがに対処できないな。
「弱くない。というか何でこんなことに」園田に関してはちょっと苦戦をしていた。アジト側は苦戦しているのだろうか。
「清心、アジト制圧の加勢に向かってくれ」班長からそんな指示が飛んできた。
「ここの警備は?」
「私と園田がやる。アジトに向かい道中にいるブラボーと合流、対処に当たってくれ」
「……分かりました」どうなってる……とりあえず、すぐ向かうか。
方向を変え走り出そうとしたら。
「清心……危険だと感じたら離脱しろ」その言葉は班長としてどうなんだろうか、そう思いながらも「はい」頷き俺は単身アジトに向かった。
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